赤いグラス

劇場公開日:

解説

「男の紋章」の甲斐久尊がシナリオを執筆、「野郎に国境はない」の中平康が監督したアクションもの。撮影はコンビの山崎善弘。

1966年製作/86分/日本
配給:日活
劇場公開日:1966年5月18日

ストーリー

一等航海士速水弘志が暴れ者のジョーと共に港へ帰ってくると、恋人の典子から悲しい事件を知らされた。弘志の育ての親で東洋海運の速水社長が何者かに射殺されたのだった。弘志は自分をここまで育ててくれた社長のために犯人を探し出そうと決心した。副社長の神崎が怪しかったが確実な証拠は何ひとつなかった。典子の兄で医師の相原恭二が何かを知っているらしかったが、ある日、行方不明になってしまった。弘志は行方を知っている女須賀子から、恭二が神崎の家にいることを知った。そこに向う途中、弘志は何者かに襲われたがジョーに助けられた。神崎は、駆けつけた弘志に、恭二が運転を誤って車もろとも海へ落ちて死んだと言った。手懸りが矢なわれてしまった。その時、ジョーが青という男が犯人を知っていると言った。弘志は青に会った。青は犯人は殺し屋兄弟だと教えてくれた。弘志は建築現場に兄弟を呼び出した。だが、兄弟は殺しの依頼主の名は、がんとして言わなかった。激怒した弘志は二人と格闘になり、兄弟は転落して死んだ。真相を知る者はいなくなった。ところが典子の知らせで、恭二がまだ生きて神崎の別荘にいることがわかった。恭二は事件の目撃者だったのだ。別荘に乗り込んだ弘志は激しい拳銃戦の末、恭二から真相をきいた。神崎が保険金欲しさに会社の船「さつき丸」に爆薬をしかけ、それを知った社長が殺されたのだった。恭二は射たれて死んだ。弘志は杉浦刑事と共に変装して「さつき丸」に乗り込み、間一髪のところで導火線を踏み消した。その足で神崎一味を粉砕するべく別荘に向ったが一味の抵抗は激しく、ジョーは弘志をかばって射たれた。だが一味は逮捕され、事件は終った。弘志は典子の想い出を胸に抱いて再び海へと去って行くのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0鬼神のごとく強い哲也兄さんのノワール的マドロスもの。

2020年4月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

渡哲也俳優生活55年記念特集にて

貨物船の航海士の哲兄さんが、日本に帰国すると、船舶会社社長の父親が、何者かに殺されていた。婚約者の静止を振り切り、その背後の犯人と組織に戦いを挑む。

日活アクションに多いマドロス(船員)物。

今回の特集には、哲兄さんのマドロス物が今作も含めて3本も!あるのて渡哲也兄さんのマドロス三部作と勝手にします。

監督は、「狂った果実」1956年で裕次郎をブレイクさせた映像技工派の中平康。

この監督作品で、個人的に、とても好きなコミカル・アクション映画の傑作「危いことなら銭になる」(1962年)があるのだか、60年代中頃から、酒に溺れてスランプになった頃の作品なので、不安だったが、冒頭の哲兄さんとアイ・ジョージの船上でのナイフ投げのやりとりからの、映画タイトルがどーんと映るカッティングの切れ味と格好良さにシビレれる。

フィルム・ノワールを彷彿とさせる陰影の強いモノクロ撮影が醸し出すムードで、めちゃ強いマドロス主人公が悪党を殺しまくる無茶なストーリー展開もあまり気にならない。

中平監督は、残酷描写をサラリと挿入するので、本作も結構な暴力に溢れた作品だと思う。

殺陣やアクション演出を日活映画で、お馴染みの高瀨 将敏ではない、人が担当(名前は失念)していたが、匠なアクション演出で感心するばかりで、特に空手や柔道の有段者の哲兄さんの体技を活かした、格闘場面がとてもいい。

コンパクトな打撃と鋭い蹴りの連続で迫力とスピード感があり。

空手アクションを全面に押し出した主演第1作目の「怒りの裁き」よりこちらの殺陣の方が好み。

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