「青空のように」青空娘 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
青空のように
田舎で祖母と二人暮らし。
その祖母が亡くなる直前、父の愛人の子である事を告げる。
上京し、父の邸宅で住む事になるが、継母や義姉に女中扱いされ…。
あらすじだけ見ると、薄幸のヒロイン物語。
しかし、湿っぽくならないのは、このヒロインのお陰。
明るく、前向き、懸命。気持ちいいくらいの快活ヒロイン。
育った田舎に広がる青空のように。
若尾文子が魅力的。魅力的過ぎ!
白いブラウスにロングスカートのお嬢様スタイル。着こなすファッションがどれもお洒落。
そう、本来はれっきとしたお嬢様なのだ。
父は大きな会社の社長。
恋に落ちた女性従業員との間に出来たのが、ヒロイン。
そういった経緯から、継母は忌み嫌う。
本来は恵まれて暮らしている筈の身分。
が、不幸な生い立ちや境遇にもめげない。悲観する素振りなんて一切見せない。
そんな彼女の存在は周囲に影響及ぼしていく。
先輩女中とは好やり取り。(ミヤコ蝶々が好演)
生意気な義弟とは喧嘩して勝って、真っ正直からぶつかって慕われるように。
義姉の“13人目のお相手”である御曹司と卓球対決。快勝して、あっちはホの字に。
継母や義姉とは溝埋まらず。
父は優しい。父からは正妻の子らよりも愛娘。
そんな父の後ろ楯を頼りにせず、寧ろ父にビシッ!と一言。
母を愛しながらも一緒になる事はせず、自身の家族関係を崩壊の危機に。
全てお父様のせい。
別れを告げる。自分が去る事によって、この不幸な家族の幸せの為に。
実母探し。あっさり見つかる…と言うか、あのシーンですぐ察し付いたけど。
恋のお相手は、卓球対決で負かした御曹司と高校時代からの憧れの先生。三角関係も爽やかに。
ツッコミ所やご都合主義、上手く行き過ぎる展開は多々。
だけど、それも許せちゃう…と言うか、それすら爽快。
恋の行方も、実母や家族関係も、ヒロイン像も。
青空のように。
本当に心が晴れ晴れと。
後に名コンビとなる増村保造監督と若尾文子の初タッグ。1957年の作品。