劇場公開日 1963年1月3日

「日本映画のオールタイムベストにランクインしているのは1949年版の方ですが、本作もなかなか楽しめる良い作品です」青い山脈(1963) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0日本映画のオールタイムベストにランクインしているのは1949年版の方ですが、本作もなかなか楽しめる良い作品です

2019年9月28日
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鑑賞方法:DVD/BD

いやあ、楽しい映画でした

1947年のベストセラー小説が原作で、何度も繰り返し映画化されています
本作は三回目のものになります
日本映画のオールタイムベストにランクインしているのは最初の1949年版の方ですが、本作もなかなか楽しめる良い作品です

誰もが知る大ヒット曲の主題歌は、その1949年の原節子主演での最初の映画化の時のものです
オリジナルは藤山一郎と奈良光枝が歌っていますが、本作のものは神戸一郎と青山和子による新録になっています
アレンジも歌唱もオリジナルに全く忠実なようです

本作は1963年正月の公開で、同年6月には橋幸夫の高校三年生が、共に大ヒットになっています
それは団塊の世代の人々が、ちょうどこの年に本作やその歌とおなじ高校三年生になったからだと思います

本作には明るい未来と希望に満ち溢れています
まぶしいです
21世紀の青春から失われたものです

本作に登場する高校生達は今73歳です
この高校生達のこの先に待ち受けている運命の変転と行く末を私達は知っています
一人一人の運命を想像できてしまうのです
そのような視点で観るとまた感慨深いものがあります

映画として良くできています
城下町彦根に舞台を設定することで、古い日本の社会の考え方を背景で象徴し、戦後生まれの高校生達との対比を雄弁に語らせていて効果的です
その上、城下町の風情、美しい琵琶湖の湖水と背景が目を楽しませてくれます

役者達の配役、脇役に至るまでいい演技を見せてくれます
クライマックスでの有名な変しい変しいのラブレターを読み上げる先生役の演技は最高です
オールドミスの先生の発言の演技も見事です
脚本も優れて面白いです

吉永小百合はやはり美しいのですが、それよりも島崎先生役の芦川いづみの美貌と演技に目を奪われました
見事な配役と演技です

監督の西河克己は後年伊豆の踊り子などで三浦友和と山口百恵のカップルでヒットを何本も飛ばすのですが、本作の二谷英明の容姿は三浦友和と良く似ています
山口百恵も本作の芦川いづみのような雰囲気を持っています

三浦友和と山口百恵の黄金コンビも、実は本作に源流、原点があるように思いました

芸者梅太郎役の南田洋子が、杉本彩にとても良く似てました

果たして21世紀に本作のリメイクが可能とは思えませんが、なんかどんなものになるか逆に観てみたくなりました

あき240
明英さんのコメント
2022年5月30日

この映画には長野県松本市にある松商学園高等学校の管理棟が使われています。松商学園に沿うように薄(すすき)川という川が流れています。吉永小百合さんが自転車で走り抜けるのはこの薄川の土手です。
驚くべきことに令和4年現在でも松商学園の管理棟も薄川の風情も殆ど変わっておりません。

明英