青い山脈(1963)のレビュー・感想・評価
全13件を表示
なぜこの映画を観たのか?
同名ヒット曲に映画があることを知らなかった。1960年代製作で90分の丁度よさもありセレクト。ところがドッコイとても練られた映画で爽快感が残った。
主演は吉永小百合。
以前観た「光る海」のように、快活でストレートな物言いと、射るような瞳での演技、とてもノッている感がある。
バイクや自転車をノーヘルでグイグイ乗りこなすのだがヒヤヒヤしてしまう。
落ち着いた小百合さんしか知らないので、この活発さは何? のGap感がスゴい。
そして大発見だったのは、南田洋子と芦川いづみがとても美しいことだ。
この両女優に魅入ってしまった。
二人は自然体だけど独特の雰囲気があり、主役に負けない存在感があった。
◆
この映画のハイライトシーン、一つの手紙(ラブレター)を巡って、校長や生徒の親、町内を巻き込んだ役員会議が開かれるのだが、この裁判チックなシーンは本当に聴衆を引き込ませるものだ。
この場面で急に全体のテンポがゆっくりになるのも面白い。
参加者のそれぞれの心境が変化していく様子や展開が読めない先……、裁判ものは最高のエンターテインメントだとつくづく思ってしまう。
PTA長老、左卜全のハリのある声。ここぞの時の発声と抑揚、今あんなふうに話せるヒトいないだろう。
◆
レトロな教室や職員室、舗装されていない道、雑貨商店や俳優陣の衣服など興味深い映像が続く。。
わずか50数年前なのに、この違いよう。
これからの50年後も同様の変化があるのだろう、と想像する。
主な撮影地は彦根城周辺のようだ。
後半の海辺岩礁での「好きだあー」のシーンや自転車で走る海沿いはいったいどこなのか?
彦根以外のロケ地も気になった映画である。
屹立する若さの山脈
Amazon Prime Videoで鑑賞。
原作は未読。
吉永小百合主演の青春映画、初めて観ました。若さ漲らせ屹立する若者たちを、「青い山脈」と表現しているのかもしれません。青春の熱情迸るままに突き進む感じ、懐かしいなぁ…
吉永小百合の存在感、素晴らしいです。脇を固める浜田光夫と高橋英樹も若くて爽やかな魅力を振り撒いていました。
民主主義の根幹を体現するようなPTA総会のシーンがとても面白い。意外な伏線の効いた逆転が痛快でした!
ただし、このシークエンスでは吉永小百合は全く出て来ず。自分も関わる出来事なのに不自然な感じがしました。
【”好きだあ!と最初から素直に言えば良いじゃない。”。封建的恋愛観と新しい恋愛観のぶつかりをコミカルに描いた作品。吉永小百合さんの美しさと共に、芦川いづみさんの美しさにビックリした作品でもある。】
■とある女子高校に、恋愛騒動で前の学校を退学になったといううわさの寺沢新子(吉永小百合)が転校してきた。
しかし彼女は悪びれることなく前向きで明るい女の子。そんな中、新子の元に謎の「ラブレター」が届く。
さらにはそれが一大騒動に発展する。
◆感想・・・・に余りなってません。
・寺沢新子を演じた吉永小百合さんの美しさと共に、新しい思想を持つ島崎雪子先生を演じた芦川いづみさんの美しさにビックリした作品である。
慌てて調べたら、「和製オードリー・ヘップバーン」として大人気だったお方だそうである。
そして旦那さんは、藤達也さんだそうである。ウーム。
これから、少しづつ鑑賞させて頂こう。
・物語としては、コミカルに進む、特に、新子の元に届いた謎の「ラブレター」をお偉いさんが”一言一句そのまま読みます。”と言って”変しい、変しい。”(恋しい、恋しい。と書きたかったらしい。)というシーンは脳内爆笑である。
ー もう少し、漢字を勉強しようね。封建的恋愛観を持つ女生徒諸君。-
<ラスト、海に向かって新子が六助(浜田光夫)の事が好きよ!と叫ぶシーンや、それに乗じて、沼田先生(二谷英明)が島崎先生にプロポーズし、島崎先生が恥ずかしそうに受けるシーンなどは、可なり恥ずかしいが良かったなあ。>
ハラスメントの教材になる
吉永小百合さんを主人公に起用した学園もの青春ドラマです。今とは隔世の感があります。この映画について、3つのポイントを
1)ハラスメント満載
セリフの端々に、今ならイエローカード、レッドカードが出るようなものがありました。時代が変わったんだ、ということを実感できます。当時の価値観では何ら問題にならなかったでしょう。女の人を前にしても、女のくせに・・・って普通に言いますからね。今なら制作、配給ともにアウトです。
2)美しさの競演
吉永小百合さんも美しいですが、個人的には伊豆の踊子の方が好みです。芦原いづみさんはヤル気に満ちた女先生の役がフィットしていました。ヒアルロン酸もアートメイクもない時代に、見とれてしまう美しさです。
3)戦後の明るい時代を感じられる
戦後しばらくした頃の舞台設定です。キスではなく、キッス。異性と何かあるとハレンチ。いい時代です。オープニングで流れる藤山一郎さんの歌声がいいですね。明るくなります。
青い山脈は滋賀県にあった
舞台は長野県あたりと思い込んでたが彦根だったのだな。どちらかと言うと山並みより彦根城と湖水の美しさが映えるが、さらにそれを上回る女優陣の美しさよ!この時代特有の早口なセリフ回しがまたキュートさを爆上げ。戦後の男女共学化による嬉し恥ずかし青春物語かと思ってたら舞台は女子高なのだね。かつ内容は民主主義萌芽期のリベラル対古き因習と結構お堅いテーマ。皮肉にも多数決で勝つには裏工作が必須という民主主義の闇の部分も詳らかにしちゃってるが…。まあそんな事より総天然色で小百合様、いづみ様、洋子様(どっかに松尾嘉代も出てたらしいが)の輝く笑顔を拝める事で充分幸せ。
時代を感じて意外と面白かった
田舎の封建的な気風と闘う戦後世代のヒロイン達が印象的なストーリー。
主人公の女子高校生も転任してきた若い女の先生も、逞しいというか、むしろ野蛮というかw、男子高校生の先頭に立って実力行使したり、反射的に手が出たり(男性にはむしろ喜ばれるので問題無いらしいw)、会議でも本当は資格のない学生を参加させたり、まあまあな手段に出ていた。芸者さんの発言がなかったら負けてたかも…。
ラストの海岸での場面は全員が盛大にきゃっきゃし過ぎて、彼女や彼達はこういうことをしたいがために闘ってたのでは、と勘違いしてしまいそうだった。笑
私の知る吉永小百合さんはとても静かなイメージの女優さんだが、本来は本作のヒロインのような活発で自分をしっかりと持っている女性なのかな、と思った。
また、芸者の駒子役の松尾嘉代さんもとても良かった。
変しい変しい私の変人
8月11日は山の日
山に因んでタイトルに山がつく作品を観ることにした
鑑賞方法はU-NEXT
『マークスの山』『八甲田山』『傷だらけの山河』『山田村ワルツ』『山田ババアに花束を』など次々に候補は浮かんだがまだ未鑑賞の名作を思い出した
それが『青い山脈』
この作品は映画だけでも49年57年63年75年88年と5回も制作されている
テレビドラマは62年66年74年の3回
なんといっても観る前から古めかしい印象
作中の人物と年が近かった88年の時点で今まで一度も観たこともないのに今更感はあった
そのためか88年を最後に一度も映像化はされていない
この作品の原作は日本国憲法が制定された翌月から朝日新聞で連載開始された新聞小説で新憲法の精神を学園ドラマの形で描いた青春コメディーである
メディアは今でもなにかといえば戦争を振り返るのにも関わらず『青い山脈』は賞味期限が過ぎたのか
保守系知識人西尾幹二は作品発表から半世紀が経ち役割を終えたという
そうかもしれない
古い体制は今となっては戦後自由民主主義であり現代の新たな自由民主主義との対立が生まれた背景があるのかもしれない
それでも88年を最後におよそ35年もリメイクされないのは流石に淋しいものだ
ネット社会なりの青い山脈があっても良いんじゃないか
とはいえ安倍晋三元総理の国葬で対立する今の世相を忖度無しでありのまま事細かに描いたらとてもじゃないがやばすぎる
今やるなら転生ものか
原作未読
原作は石坂洋次郎
この本を読み若い頃の大島渚も感銘を受けたらしい
監督は脚本は『伊豆の踊子(1963)』『伊豆の踊子(1974)』『スパルタの海』『生徒諸君!』『一杯のかけそば』の西河克己
脚本は他に『伊豆の踊子(1949)』『伊豆の踊子(1957)』『江分利満氏の優雅な生活』の井手俊郎
原作の舞台は原作者が教員を務めた弘前市がモデルらしいが1946年のロケ地は静岡で今回の作品は滋賀
PTAの役員が『〜まんねん』なので違和感を感じたがそれもそのはず滋賀は近畿地方で冒頭の城は箱根城
本来なら49年ものを観るべきだが前編後編合わせて3時間なのでコンパクトで評価が高い今回の作品をまず選んだ
非暴力を謳った49年に比べ今作は60年代初め当時の今風にアレンジしている形となっている
今風(1963)の考え方の新子と担任の島崎先生VS封建的で古い考え方のクラスメートや大人たちの対立をユーモラスに描いた傑作
2人とも東京から移り住んだ余所者で対立する古くからの地元民というのがミソ
結局数々のいざこざもなんやかんやでPTA会議の話し合いと投票で解決するという民主主義のお手本
エロティックバイオレンス映画のような展開にはならない
芸者梅太郎と町医者沼田のやりとりが特に面白い
夜中の野外で赤牛の子分3人が沼田を襲撃するシーンがあるが殴る蹴るがあきらかに偽りでいくら芝居とはいえ下手糞で当たりが弱すぎる
殺人のシーンは本当に殺すわけじゃないんだから濡れ場で本番までする必要はないと主張する市民活動家の言葉を借りれば本当に暴力を振るう必要は無いがそれにしたって興醒めした
教学の他校から転校して来た養鶏業の娘・寺沢新子に吉永小百合
両親が外泊中に金谷商店の店番をしている浪人生・金谷六助に浜田光夫
貞淑女子学院高校の教師・島崎雪子に芦川いづみ
芸者の妹で寺沢の高校の後輩・笹井和子に田代みどり
金谷の母校の後輩でラグビー部の富永安吉に高橋英樹
富永の子分・吉村に高島稔
新子のクラスメートで彼女と対立するグループのリーダーで貞淑女子学院高校の伝統を重んじる松山浅子に進千賀子
貞淑女子学院高校の若手体育教師の田中に藤村有弘
島崎に渡したつもりの田中のラブレターを誤って受け取る形となった貞淑女子学院高校のベテラン教師・白木に北林谷栄
PTA会議で偽装ラブレターを読み上げる貞淑女子学院高校のベテラン教師・岡本に井上昭文
PTA役員の長森老人に左卜全
武田校長に下元勉
八代教頭に織田政雄
元裁判官で養鶏業を営む新子の父・寺沢修蔵に清水将夫
新子の弟・寺沢栄一に小沢茂美
PTA会長で市議会議員の赤牛こと井口甚蔵に三島雅夫
笹井和代の姉で芸者の梅太郎に南田洋子
芸者で梅太郎の妹分・駒子に松尾嘉代
地元の開業医で貞淑女子学院高校の校医を兼務する沼田玉雄に二谷英明
因みに映画comの今作のキャスト紹介は一部間違いがあるので修正を求めたい
青春が胸に沁みました
5回制作されたようですが、この度1963年版を観ました。
楽曲のイメージでモノクロかと思ってたのですが、カラーしかもリマスターなのか映像がすごい綺麗、何というか立体感があります。
本当に冒頭、切りつけたような歌の入れ方が素晴らしい。一気に世界に持ってかれる感じでした。
それと失礼なのですが、ヒロインの吉永小百合より先生役の芦川いづみがとても魅力的。
これは完全に個人的な好みもあるので何とも言えないのですが、それにしても美しいです。
作品の小物も意外とおしゃれ。沼田先生なんて町医者なのにカブでなくベスパですよ。
それと何だか台詞の一つ一つが小粋なんですよね。
あと令和の今見てもほろ苦い気持ちが伝わります。
中でもガンちゃんが最高に可愛い、得意だという難しい演説がこれまたw
あと役柄もあるのでしょうが、浜田光夫が田中圭にしか見えませんでした。
全体的に構成がすごくうまく、締め方も素晴らしかったです。
改めて「青い山脈」という楽曲の素晴らしさを再認識させられました。
機会があれば他の年代の物も観てみたいと思います。
何というか、青春が胸に沁みました。
日本映画のオールタイムベストにランクインしているのは1949年版の方ですが、本作もなかなか楽しめる良い作品です
いやあ、楽しい映画でした
1947年のベストセラー小説が原作で、何度も繰り返し映画化されています
本作は三回目のものになります
日本映画のオールタイムベストにランクインしているのは最初の1949年版の方ですが、本作もなかなか楽しめる良い作品です
誰もが知る大ヒット曲の主題歌は、その1949年の原節子主演での最初の映画化の時のものです
オリジナルは藤山一郎と奈良光枝が歌っていますが、本作のものは神戸一郎と青山和子による新録になっています
アレンジも歌唱もオリジナルに全く忠実なようです
本作は1963年正月の公開で、同年6月には橋幸夫の高校三年生が、共に大ヒットになっています
それは団塊の世代の人々が、ちょうどこの年に本作やその歌とおなじ高校三年生になったからだと思います
本作には明るい未来と希望に満ち溢れています
まぶしいです
21世紀の青春から失われたものです
本作に登場する高校生達は今73歳です
この高校生達のこの先に待ち受けている運命の変転と行く末を私達は知っています
一人一人の運命を想像できてしまうのです
そのような視点で観るとまた感慨深いものがあります
映画として良くできています
城下町彦根に舞台を設定することで、古い日本の社会の考え方を背景で象徴し、戦後生まれの高校生達との対比を雄弁に語らせていて効果的です
その上、城下町の風情、美しい琵琶湖の湖水と背景が目を楽しませてくれます
役者達の配役、脇役に至るまでいい演技を見せてくれます
クライマックスでの有名な変しい変しいのラブレターを読み上げる先生役の演技は最高です
オールドミスの先生の発言の演技も見事です
脚本も優れて面白いです
吉永小百合はやはり美しいのですが、それよりも島崎先生役の芦川いづみの美貌と演技に目を奪われました
見事な配役と演技です
監督の西河克己は後年伊豆の踊り子などで三浦友和と山口百恵のカップルでヒットを何本も飛ばすのですが、本作の二谷英明の容姿は三浦友和と良く似ています
山口百恵も本作の芦川いづみのような雰囲気を持っています
三浦友和と山口百恵の黄金コンビも、実は本作に源流、原点があるように思いました
芸者梅太郎役の南田洋子が、杉本彩にとても良く似てました
果たして21世紀に本作のリメイクが可能とは思えませんが、なんかどんなものになるか逆に観てみたくなりました
民主主義とはなにか
当時の青春モノの代表格なのでしょう。戦後10数年経って高度成長期を迎え、高校生の価値観がよくわかる映画。“恋しい”を“変しい”と間違えるというところはあまりにも有名で、その個所が出てきただけでうれしくなってしまった。この終盤のPTAの会議も面白く、教育勅語の時代に戻ろうとする古い考えや真の民主主義が何かを問うような内容になっているところもよく出来ていた。
島崎先生(芦川いづみ)と沼田医師(二谷英明)のコンビも若くて清々しい雰囲気でした。
昭和エンターテイメント
どうも昭和すぎてついて行けないと思ってしまうところもあったけれど、好きなものを好きと言えないのは苦しいと先生が言ってらして、そうだなぁと共感。
最後の好きだーって叫ぶシーンは素直で良かったなぁ
そう考えると、素直さは後天的に身につくものなのかもしれませんね。勉強になりました。
全13件を表示