あゝひめゆりの塔のレビュー・感想・評価
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彼女達はアメリカ軍“だけ”に殺された訳ではない
台詞の中に出てくる『最後まで頑張る』って何に対して『頑張って』言うことなのだろうか?『ここから脱出を頑張る』って、何処へ脱出するのだろう。『生きろ!』って言われておきながら。『なんかおかしい』と気づかなかったのか?大変に残念ながら、師範学校の教養ある人達がこの程度だから、沖縄の庶民はいったいどうだったんだろう。
現在では、正解は一つだけだと思う。白旗立てて、米軍に投降。『ありえない、現実的でない』とのたまわる方もいるだろうが『白旗少女』の事実がある事も忘れてはいけない。
『日本はもうダメだ』って言って、殴られる。なんでなのだろう。1968年上映の映画の中で、そんな事言って殴られると言う演出(筋書き)。なんかおかしいと思う。事実戦争は負けているし。事実を語って殴られると言う演出。演出としておかしいと思わないのだろうか?
兎も角、歴史なのだから、結果は必然。事実なのだから、救いは無い。しかし、1968年の俳優たちが肯定的行動として演じている。その気持が気になる。主演のアイドルが、一方で原爆の悲惨さを朗読したり、反戦を訴えても、全く信用できなくなってしまう。
知り合いの所で旧国営放送を観ていたら、その元アイドルがビキニ環礁の被曝について語っていた。
リベラルな老域に達した日本を代表する美人だとは思うが、それ故に大変に残念な事だ。
もっとも、AIに支配されたマスコミ。そう言う発言しか出来ないのかもしれない。大変に大変に残念だ。
核兵器廃絶を訴えるのは異論は無い。しかし、ビキニ環礁で被曝した事実を訴えると同時に、福島原発での3人の作業員の被曝も訴えるべきだと思うが。むしろ、人を狙う武器よりも怖い。故意でなくとも殺傷してしまうものなのだから。
核兵器だけで無く、核で被爆して亡くなられた方々の冥福を祈る。
2024年7月17日
やはり戦争はあってはならないな
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沖縄で師範学校生だった吉永らが看護師役として従軍することになる。
やがて米軍が沖縄上陸、日々空爆があり怪我人も絶えない。
吉永の弟はそれで死に、母も乗ってた船が沈められ死亡。
そんな中でも明るく強く生きてた吉永だったが、戦局は日々悪化。
尊敬してた先生や友人も次々に死んで行き、ひめゆり部隊も解散となる。
そしてそこで強烈な爆撃があり、防空壕内にいた仲間がみんな死亡。
吉永と友人1人だけが生き残ったが、絶望した二人は手榴弾で自決。
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普通の明るい女の子達が悲劇の運命をたどる、史実ベースの話。
ひめゆり部隊だけが有名だが、他にも多々あったらしい。
迫力ある爆撃の映像を見てると、本当に怖かっただろうなと思う。
毎日が不安で仕方がないだろう、今の時代の平和は本当に貴重。
また当時は鬼畜米英に捕まると酷い目に遭わされるとのデマがあった。
だから退路を断たれたら自決せよとされてた。
そんな中でも校長先生は、死ぬ直前に言った。
自決するだけが勇気じゃない、最後まで生きのびようとして欲しいと。
人間一個人の感覚としては、これが正しいんじゃないかと思う。
それでも最後、吉永らは自決の道を選んでしまう。
校長を心から尊敬してたのに、どうしても希望が持てなかったのだろう。
そりゃそうよな、降伏するなら死んだ方がマシと信じ込まされてるし、
逃げ回るにしても毎日爆撃があり、どこに隠れようがいつも危険。
食う物だってない。生きてたって楽しいことなんて何一つない。
あんな過酷な状況じゃ、死を選んでも仕方がない。
やっぱり戦争はあってはならない。そう思わされた映画だった。
ふるさと
明治百年記念芸術祭参加作品。
Amazon Prime Videoで鑑賞。
原作は未読です。
ふるさとが蹂躙されていく。
日常が奪われ、無惨に砕かれていく。
家族や、友人が、恩師が、目の前で斃れていく。
沖縄戦において従軍看護婦として駆り出され、若き命を散らしたひめゆり学徒隊の悲劇を決して忘れてはなりません。
美しき乙女たちの純真さが過酷な戦場において蝕まれていく様は、時に目を背けたくなるような残酷さがありました。
全てを根こそぎ破壊してしまう戦争の悲惨さが、凄絶な描写で描かれており、戦争への怒りがこみ上げて来ました。
~沖縄戦没者追悼式の日に本作を観て~
※修正(2023/11/21)
戦争に翻弄され忘れらた女学生達
内容は太平洋戦争末期の沖縄戦による女学生『ひめゆり学徒隊』についての原作者石野径一郎による小説をもとにした作品。実際は想像も出来ない過酷な世界だったろうと考える一方。人間は全て忘れる生き物だという事。集団心理の恐ろしさと人間の本性を感じさせた。歴史の中に埋もれてしまうであろう痛みや恐怖を少しでもわかった気になる作品。ラスト分かっていたが救いの無い終わり方は重かった。自決用の青酸カリが牛乳と呼ばれている事。国家の責任と無責任な対応に振り回される人々が痛かった。カラー映画がとれる時代に白黒で撮ったので流血シーンが見易くなった気がする。
彼ら・彼女達はどこにでもいる普通の人だった…
アメリカの本土上陸に備えて、男だけでなく女も敵と戦う準備をします。
彼女達は特別に兵士になる訓練を受けた訳でもなく、特別な能力があった訳でもありません。時代は違えど、令和時代に生きる10代~20代の人とほとんど変わらないのです。
近くに美人がいれば声をかける。イケメンが横を通れば、女性達からは黄色い歓声。
どこにでもいる10代が戦争に巻き込まれたら、どうなってしまうのか…。
1968年に製作された映画だからこそ、説得力がありました。もし2020年代に全く同じ内容の映画を制作すれば、説得力がなく浮いた映画になっていたかもしれません。
和泉雅子も可愛かった
2020年10月18日
映画 #あゝひめゆりの塔 (1968年)鑑賞
戦争末期に、沖縄師範学校女子部と沖縄県立第一高等女学校の生徒と教師で構成された女子学徒隊は陸軍病院の看護要員として動員され、多くが戦死
前半の楽しく若々しい雰囲気から、徐々に戦況が悪化して重苦しくなり、ラストの悲しい結末に
スーパーアイドル戦争映画
脚本の出来が今ひとつ。
何故、尊敬していたとはいえ死んでしまった校長の亡骸の回収を、ヒロイン吉永小百合は、好意寄せる浜田光夫にさせようとするのか?予想通り射撃の的となる浜田はイヌ死にで、納得がいかない。
周りにも登場人物にも悪い奴は誰もいず、米軍の姿も全く見えず、戦争という名の天災?に襲われる学徒達の姿を描いた様相。沖縄戦に対する考察は、取り敢えず無しにすることにしたらしい。
要するに、その時代のスーパーアイドルたる吉永小百合をいかに可憐に美しく魅力的に見せるか、その舞台設定がひめゆり学徒隊と戦争と思ってしまった。まあ、アイドル映画と見れば、踊って歌って、久しぶりの水浴での水着姿?まで見せられて、良く出来ているとも言える。
飛んで来る敵機とそこからの銃撃はそれなりに迫力があった。また、手榴弾による自爆や青酸カリ牛乳による自死は悲惨で、自分的には無意味(あっさりと死ぬくらいなら、捕虜になってチャンス窺って再度戦うべきことを教えるべき)。自分も多少そうだが、この映画が引き金となり、ひめゆり部隊、沖縄戦、さらに前の大戦の歴史的事実に関心が向けば、それは意義があるでしょう、というのが制作側の言い分でしょうか。
先日亡くなった若き日の渡哲也が水先案内人として登場しているのは、嬉しかった。また、沖縄での熾烈な地上戦があったからこそ、本土決戦が避けられ今の日本が存在することの認識の必要性を改めて思う。
画面に繰り広げられるあまりに酷い日々、そしてこれは現実なのだ。映画...
画面に繰り広げられるあまりに酷い日々、そしてこれは現実なのだ。映画に描かれた少女、青年の純粋さが美しいほど負けの見えていた戦争を継続した国家があまりにも許し難く罪深い。吉永小百合が戦争の語り部となった心に触れた気がする。
白黒の情景が心に突き刺さる映画
ひめゆり学徒隊の映画はこれまで見る機会がなかったが終戦記念日ということもあり録画したこの映画を見てみた。
白黒でありながら悲惨さが伝わってくる佳作である。
前半の学校や家庭での生活と後半の戦場シーンとの対比が際立ち、特に後半は一気に時勢に押し流される展開となり個人の力ではどうにもこうにもできない様が映し出される。
年頃の娘を持つ身としては本当にキツイ映画である。ただの反戦映画ではなく生身の人間が抗いようのない歴史の波に呑まれていくことを映像を通して感じ取れるのではないか。学童疎開児を含む1484名が犠牲となった対馬丸の件(くだり)も悲しかった。
今年で終戦から75年経過。大戦での犠牲者のみならず多くの悲しい思いを抱えて旅立った魂に弔意を捧げます。
機会があれば1953年の初代ひめゆりの塔も見てみたい。
沖縄戦の無情
儚く散った師範中学女学校の生徒(吉永小百合さん)
を取り巻く、戦時下の日々を丁寧に描いた作品。
母、弟、恩師、そして友人との死別、若い彼女達の日常を、青春を、夢を、そして命をも奪った戦争の悲惨さを強く印象付ける力作。
多くの方々に観て頂きたい作品。
NHK - BSを録画にて鑑賞
沖縄戦の悲惨さを描く。冒頭、戦後たかだか20年でもうこの悲惨さを忘...
沖縄戦の悲惨さを描く。冒頭、戦後たかだか20年でもうこの悲惨さを忘れる若者たち。知らないから仕方ないのかもしれないが、今後も日本が平和ボケになってきたら必ず見なければならない作品だ。
調べてみると、ひめゆり学徒隊、ほぼ全員が…言葉をなくします。今、戦争になどなれば日本人全員がひめゆり学徒隊のようになってしまうでしょう。
反戦教育は本作を鑑賞させるべし!さすればサユリストも永遠に増え続けていくことでしょう(笑)
ねぇ、みんな向こうに川があるわよ
映画「あゝひめゆりの塔」(舛田利雄監督)から。
戦時中の沖縄が舞台の作品なので、あまり関心を示さなかったが、
実は、私の住む町の国天然記念物「柿田川」がロケ地の1つだったと知り、
どんな場面で使われたのか、興味があって鑑賞した。
もちろん、吉永小百合さん主演とあり、その関心度はより高まった。
戦時中の映画は、今までに何作も観てきたが、
今回、とてもショッキングなシーンを目にすることとなった。
それは「敵国の攻撃から逃げているにもかかわらず、
近くに落ちた爆弾、爆撃の衝撃、音にも反応せず、ただ黙々と歩く姿」
当初は爆弾一発ずつに恐怖を感じ、反応していたにもかかわらず、
後半には、日々の攻撃に慣れてしまったのか、ぴくりともしない。
人間の慣れって恐ろしいな、と悲しくなってしまった。
しかしお目当ての「柿田川」のシーン。
「なんでこんなに静かなんだ」というくらい敵の攻撃がなくなり、
「ねぇ、みんな向こうに川があるわよ」と「柿田川」に入り体の汚れを洗う。
「普通の女子学生に戻る風景」というか「人間として生き返るシーン」に
柿田川が活用され、撮影されたことは、とても光栄であるが、
最後、その清流が血に染まる光景に、胸が痛くなった。
柿田川に「ひめゆり」が咲いていたら、大切にしたいな。
吉永小百合
ゴーゴーを踊る若者たちを描くオープニング。渡哲也が沖縄の歌をリクエストして、インタビュワーに質問される。同じ年代の若者たちが戦時中の沖縄でどういう思いだったかを推し量る。
運動会の映像。和泉雅子がラッパを吹く姿が楽しい。デビュー当時はやはりふっくらとしていたんだなぁ。吉永小百合は青春映画で活躍していただけあって、かなりいい演技だ。
学童疎開の子供たちが乗った船が撃沈させられたという報道。和子の母も乗っていた。やがて卒業式がやってくるが、女子部の卒業生・在校生ともに看護隊を結成させられ、抵抗を続ける日本軍を陰から支える。和子の弟の死や狂ってしまった女子生徒。青酸カリ入りの牛乳を飲む和泉雅子、兵隊の足を切る手伝いをする吉永小百合の演技が生々しく映る。海軍記念日に安堵して水浴びに興ずる看護隊が一時の幸せを感じるがそのままB29の空襲に襲われる。彼女たちが楽しそうに歌うだけで泣けてくるシーンだ。
アイドルと使っていることが戦争の悲惨さをある程度弱めてしまっているが、ほのかな恋心みたいな部分をカットすればもっと良くなったのかもしれない。沖縄民謡を歌うところは素敵!
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