「素敵なラブストーリーだった」レディ・チャタレー mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
素敵なラブストーリーだった
原作は英国のD・H・ローレンスの小説、あの有名な『チャタレイ夫人の恋人』。
1928年の小説のようなので、100年近く前の作品ですね。
発売当時、露骨な性描写のため猥褻文書として見なされ物議を醸したらしい。日本でも伊藤整が翻訳した本は、チャタレー事件にまで発展して、問題の部分が削除されて出版されたとのこと。
さて、この映画ですが、チラシには「性は賜物、無限の慰め。枯渇した生命の泉がよみがえる。」とあるのですが、思ったよりも地味でおとなしい感じ。チャタレー夫人を扱った映画やドラマは多数あるので、あくまでも、それと比較してということですが、戦地の負傷により下半身不随となったチャタレー卿(コニーの夫)も、多少、ヒステリックに描かれておりましたが、それほど屈折しておらず、どちらかといえば紳士でした。
とにかく、森の大自然がびっくりするぐらい美しい。揺れる木々や葉っぱのせせらぎ、リスやニワトリなど森の動物の登場にも思わずうっとりしました。性愛描写も大胆とはいえ、それほど過激だと思いませんでした。「解放感」に重点を置いているように思いました。チャタレー夫人、森番パーキンの2人も、それほど美男美女ではなく平凡そのもの。特にパーキンは普通のおじさんだった。(パーキン? 森番の名前は確か、オリバー・メラーズだったはずだが??)
二人の秘め事は、ある意味、とても純粋でして、「あれ?チャタレー夫人の物語って、こんなに子供みたいなラブストーリーだっけ?」と思いました。過去に、いくつか、別のものを観たような記憶がありますが、大昔なのでよく覚えていません。(ケン・ラッセル版は、2人が美男美女で森番の人もセクシーだったとような) 雨の中、二人が無邪気に走り回るシーン、お互いが、お互いの大事なところに花を飾りあうところが印象的でした。
この映画を観賞後、同タイトルの『レディ・チャタレー』(1989)を観ましたが、これはちょっとヤバい「性倒錯」の世界が描かれており、チャタレー卿もコニーも、みんな変態です。😅 イタリアで大胆にアレンジされているという感じでした。自分は好きではありません。