劇場公開日 2007年11月3日

「いいか、よく聞け、BADMAN」犯人に告ぐ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0いいか、よく聞け、BADMAN

2018年12月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 いいか、よく聞け、BADMAN。小澤征悦はニュースキャスターの色香に迷い、悪徳警官の道へと一気呵成に沈んでいくんだ!・・・って、関係ないやん・・・でも震えてるぞ!

 コメディもシリアスドラマもこなしてみせる豊川悦司は日本のジム・キャリーか?とも思える説得力のある演技。ヤクザ映画でもないのに、「今夜は震えて眠れ!」という捨て台詞が妙に決まってしまう男なのです。『理由』と同じくWOWOWでテレビ先行放映していたなんて気付かずにもったいないことをしたものだと、こちらも震えてしまいますよ・・・

 さすがに先行放映するだけあって全体的にTV向けの映像でしたが、ストーリーや演技重視の作品なのでスクリーンに釘付けとなってしまいました。サスペンスではあるけれど、主人公巻島を中心とした刑事物語。6年前に犯人を取り逃がした上、誘拐された少年を殺されてしまうという失態の名誉挽回の含みもあり、捜査責任者がテレビに直接出演するという前代未聞の“劇場型捜査”にて犯人を追いつめていくストーリーです。

 難事件を捜査するという単純な本線に、主人公にも犯人に狙われる対象となる息子がいたり、6年前の未解決事件や、ボンボンの二世刑事(小澤征悦)の嫌味な行動や、巻島を信頼していると見えて実は保身のためだけに行動する上司(石橋凌)の存在という、警察の恥部とも思える伏線が効いている。そして、マスコミと警察の互いの自己利益のための取引というのも見どころの一つと言えるかもしれません。また、マニアックな映画ファンならば、片桐礼子の白い胸元によって『北京原人 Who are you?』を思い出す方もいるのかもしれない・・・いや、小澤征悦ならば思い出していたに違いない・・・

 映画そのものも面白かったし、原作もかなり面白いのでしょう。特に6年前の事件の被疑者をずっと張り込みしていたという刑事の執念には驚かされたし、部下からの篤い信頼を受けていることや津田(笹野高史)という見事な人選にも巻島の魅力を感じてしまいます。残念だったのは6年前に難産だった妻(松田美由紀)が助かったのかどうか(てっきり妹だと思っていた)が不鮮明だったし、一部フィルムの順番が間違っているんじゃないかと錯覚してしまったこと(自分の勘違い)。

 小澤征悦はこの後石橋凌をどう陥れていくのだろうか?放っておいたら自分は足柄署に左遷されるのだから、全く何もしないなどとは考えられない・・・

kossy