Little DJ 小さな恋の物語のレビュー・感想・評価
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プロ野球実況放送の真似をする神木隆之介
その神木隆之介と同じく天才子役として注目される福田麻由子。3月に公開される『犬と私の10の約束』では田中麗奈の子供時代を演じているのですが、姉妹なんじゃないかとも思えるくらいにそっくりな2人なのです。しかし、この『LittleDJ』では広末涼子の子供時代を演じている。さすがに広末涼子は冒頭とラストにしか出てこないものの、一旦田中麗奈を思い浮かべたら脳内で広末を田中麗奈に置換しながら鑑賞するしかありません。号泣できた人にはスクリーンがかすんで見えるので丁度いいのかもしれません・・・
ストーリーはベタな難病モノ。1986年を中心舞台とした『世界の中心で、愛をさけぶ』とは男女の違いと、その9年前の1977年という時代設定の差こそあれ、両者とも日本骨髄バンクがまだできてない時代。白血病が未だ不治の病なのです。院内の昼休み放送でDJを経験させるという展開となるのですが、選曲されたクイーンの「愛こそすべて」など、邦画界では楽曲使用料の問題で敬遠されがちなのに大胆に流している・・・これは本物だ!この興行収入採算度外視の心意気に胸打たれるのです。
セカチューが30代の人に支持を得られているのなら、このLittleDJは40代の琴線に触れること間違いなし。なにしろ前述クイーン以外にも、当時の日本のティーンネージャーを号泣させた『ラストコンサート』が前面に出てくるのです。この映画のメロディをリトル麗奈が口ずさんでた時点で驚いてしまい、フィルムそのものが登場したときには、すでに緩んだ涙腺も全開でした。その他にも光石研に泣かされ、タエさん(森康子)に泣かされ、石黒賢にも泣かされ、とどめを刺してくれたのは伝説のDJ小林克也でしたね・・・泣かすなよ!個人的思い出で函館山もツボ(しかもなぜか1977年だ)。
もちろん70年代を楽しむアイテムはてんこもり。スカイライン(ケンメリ?)も見られるし、病院長(原田芳雄)の部屋の棚にぎっしり揃えられたLPレコードやオープンリールデッキ、かなり普及していたラジカセなど。そして音楽にはシュガーベイブやキャンディーズも。プロ野球ファンだったら王貞治のホームラン記録には声を出してしまうかも・・・
サブタイトルにも表れているように『小さな恋のメロディ』がモチーフとなっているように思われるし、リトル麗奈がトレーシー・ハイド、神木くんがマーク・レスターであると思えば、それも納得。悲しい結末を味わうよりも、院内のどんよりとした空気を明るくさせたり、DJによって人と人の心が繋がっていくことを思えば、とても優しい映画なのです。そして父親の贖罪、大人になったたまき(広末)の贖罪、人のことを思い遣ることで再起をかけるテーマまでもが伝わってくるという、難病モノにしては人の温かさがいっぱい詰まった作品でした。
【2008年1月映画館にて】
キャストはいいんですが……
試写会行ってきました。
う~ん、「男の子が病気になって、いろいろ頑張るけど最後は死んじゃう話」でした。
上の世代が『ALWAYS 三丁目の夕日』を「懐かしい」と感じるように、作品の舞台が僕らの世代にとって懐かしい1977年。その当時の世相やアイテム、音楽が盛り込まれて、甘酸っぱい初恋があって、難病(これも不快用語らしい)ものだから泣けるかなぁと思ってたんです。が、演出サイドが仕掛けてくる「泣きのツボ」が見事なくらいに僕をかすって、文字通り右から左へ。
キャスト的には申し分ないんだけど、なんなのでしょうね? 物語開始から30分しないうちに主人公の死亡フラグが立ってしまうあたりでダメでした。それでも会場のあちこちでは、クライマックスに近づくにつれグズグズ、ズビズビと涙や鼻水をすする音が。だんだん自分が人でなしのように思えてきました。
クイーンの「愛にすべてを」という邦題と"SOMEBODY TO LOVE"という原題の落差を使った観客のミスリードとか、それなりに評価ポイントはあるんですが。
でも、福田麻由子の成長後を演じるのが広末涼子ってのはどうなの? あ、そこが僕が入り込めなかった最大のポイントか!(苦笑)
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