「エリザベス女王の女性らしさ、賢さ、尊大さ。戦争という危機で得た国民を動かす力」エリザベス ゴールデン・エイジ Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
エリザベス女王の女性らしさ、賢さ、尊大さ。戦争という危機で得た国民を動かす力
シェカール・カプール監督による2007年製作のイギリス映画。
原題:Elizabeth: The Golden Age、配給:東宝東和
前作を見ないでの鑑賞。エリザベス女王役ケイト・ブランシェットと彼女の寵愛受けウォルター・ローリー役クライブ・オーウェン、2人の主役をどうも好きになれず、映画自体としては今一つのところもあった。ただ、それを補っても余り有る歴史的事実の面白さ、興味深さに、引き込まれてしまった。
エリザベス女王の時代になお、カトリックとプロテスタントで英国が二分化していたとは、恥ずかしながら驚き。更に、ライバルのカトリック信者スコットランドのメアリー・スチュアート女王(サマンサ・モートン)は何と斧で断首されるとは、知らなかった。
エリザベス女王のお気に入りの女官ベス・スロックモートン役アビー・コーニッシュの美貌には見入ってしまったが、彼女がウォルター・ローリーの妻になり子をもうけることが事実とは。また、スペインとの戦争の際に、エリザベス女王は兵士達の前に行き、軍を鼓舞することを言う。作り話だろうと思っていたが、これも史実らしくて驚かされた。スペインとの戦争という大きな危機が、エリザベスを女王らしくしたのだろうか?
まだ発展途上というか、いつ潰れてもおかしくはなかった英国が、男の王様の時代ではなく、あの女王の時代に、スペインに勝利し、大きく発展したことに驚きを覚える。映画では偉大さよりも女性らしさ・賢さ・尊大さが強調されていたが、国民を動かす何か(国と国民を愛する熱量?)を持っていたということなのだろうか。
製作ティム・ビーバン、エリック・フェルナー、ジョナサン・カベンディッシュ、製作総指揮デブラ・ヘイワード、ライザ・チェイシン、マイケル・ハースト。脚本ウィリアム・ニコルソン、マイケル・ハースト。撮影レミ・アデファラシン、美術ガイ・ヘンドリックス・ディアス、衣装アレクサンドラ・バーン、編集ジル・ビルコック、音楽
クレイグ・アームストロング、アル・ラーマン。
出演はケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ、クライブ・オーウェン、リス・エバンス、ジョルディ・モリャ、アビー・コーニッシュ、サマンサ・モートン、エディ・レッドメイン、トム・ホランダー、アダム・ゴドリー。