アンダーカヴァーのレビュー・感想・評価
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反目しあう兄弟の深い結びつきに思わず感動。けれどあっけなく敵が捕まってしまうので、もうひとひねりがほしかった
スリリングな展開とアクションが期待できそうな作品と思っていたら、意外や意外。
反目しあう兄弟の深い結びつきに思わず感動してしまいました。
主人公のボビーは警察一家のなかで唯一の跳ねっ返り。厳格な父親の描いた自分の跡継ぎとなる模範警察官の道に素直に従った兄ジョゼフとは好対照に、裏社会とも繋がるナイトクラブのマネージャーに収まっていたのです。
一方ニューヨーク警察では、麻薬捜査に乗り出した捜査官が次々に殺されてしまうという緊急事態に陥っていました。麻薬を扱うロシアマフィアたちは、警察をあざ笑い何となれば、片っ端から殺せばいいとタカをくくっていたのです。
正義感の高いジョゼフは、麻薬捜査の担当に自ら名乗り出て、ロシアマフィアの追及しだします。そしてロシアマフィアの立ち寄る店がボビーの店だったのです。
兄弟なのに、何の前触れもないガサ入れにボビーはカンカンになってジョゼフに詰め寄るわけなのです。
この兄弟げんかは凄まじいこと。まずはジョゼフがボビーを一家の面汚しとなじれば、ボビーもジョゼフを親父の操り人形となじり返し、激しい取っ組み合いの喧嘩となりました。
この激しいシーンがあったので、兄が打たれたときの項垂れるボビーの表情がとても印象的でした。ボビーを演じるホアキン・フェニックスの苦悩の表情がよかったです。それでも捜査協力には、どちらの側につくか苦悩するボビー。あれほど嫌っていたのに、父にも危険が及んだときマジで苦悩するホビーには、やはり人の子なんだなぁ~と思いましたよ。この辺の心理描写が、アクションよりも本作の見せ所といっていいでしょう。
そしてボビーが捜査協力に転じて以降、あることで決定的に兄弟が和解し合ってロシアマフィアに復讐しようと共に立ち上がるときの台詞がグッとくるわけですね。ジョゼフはボビーに嫉妬していたというのが意外でした。ジョゼフもまた親父がお膳立てした模範警官への一本道に圧迫感を感じていたのです。自由なホビーが羨ましいと。
けれどもボビーもまた正義感の赴くまま悪と対峙している兄と父を誇りに思っていたようです。その思いはラストでボビーがどんな道を選択したかで分かることでしょう。
もう一つの見せ場は、潜入捜査のスリリングな展開。ボビーが協力者となってロシアマフィアのアジトに手下になると偽り潜り込むところでは、ボビー目線で描かれてグ~です。カメラはキョロキョロあたりを不安定に回しながら、いつ真相がばれるかという感じをうまく演出できていて、ドキドキされられました。
そしてロシアマフィアの反攻にあい、ボビーたちの乗車した車列が襲撃されるカーチェイスシーンは、思わずのけ反るほどの迫力でした。
但し、ロシアマフィアが覚えとけと反撃を予告する後半からは、割とあとの展開が読める展開が惜しい!
なんで警察の情報が筒抜けなのかというところでは、ふた癖も三クセも織り込んで、どんでん返ししていく24シリーズとは違ってあっさりしたもの。
最後の大捕物も割とあっけなく捕まってしまうので、もうひとひねりがほしかったですね。
根底に有るものは「家族愛」
潜入捜査に端を発したリベンジ・アクションの背景にあるものは、
家族の愛である。
このテーマを骨太にオーソドックスに
変にテンションをあげる事もなく、
ジワッと目頭が熱くなるように描いていた。
ホアキン演じるボビーは警察一家に生まれ育ったというのに、
マフィアが経営するバブのマネージャーをしている。
父と兄はその店で、麻薬の取引が行われているのを突き止める。
たが兄がマフィアの凶弾で重傷を負うに至り、
ボビーは潜入捜査の協力を名乗り出る。
今年初めに
「アメリカン・ギャングスター」を観たが、
それよりも私は気に入った。
最後に背の高い竹藪にボビー一人で入り込んで、
復讐を遂げようとするくだりは、思わず、
「あにぃぃ~ッ」と叫びたくなった。
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