パンズ・ラビリンスのレビュー・感想・評価
全45件中、41~45件目を表示
ダークファンタジー
第二次世界大戦中の独裁政権支配の真っ只中という時代設定がすでに"ダーク"な感じだと思っていたら、やっぱり・・・な展開でした。
悲惨な現実からファンタジーの世界に逃避しようとした少女の悲しい物語。
果たして少女が見た物は現実だったのか、それとも夢だったのか。
現実世界の悲惨さを思えば、
あの後、少女は魔法の国のプリンセスとして幸せに暮らしていると思いたい。
そう願わずにはいられない。
そうでなければ、遣り切れない。
美しくも残酷なファンタジーです。
ダークで骨太なファンタジー
)Pー12の『パンズ・ラビリンス』、娘と一緒に観ました。
面白かった 。
事前に無意識に想像してたものとは、ちょっと違ってた。少女が主人公のファンタジーと云うからには通過儀礼が描かれてるのがお約束。でもこの作品の中の、言ってしまえば「大人には見えない世界」は、簡単に通過儀礼だとか現実逃避だとかの言葉で片付けてしまい得るものとは、だいぶ趣が違ってました。
大人たち(一見“記号”っぽい人ばかり、その実みんな丁寧に過不足なく描かれてる)の居る凄まじくシリアスなリアルと、シリアスなリアルに身を置く少女の抱くファンタジー、二つの世界が、どちらかだけに重点を置かれるでなく、けれど杓子定規に2分割されるでも無く、絶妙に融合して作品として成り立ってるのがとても好い感じだった。平行して交わらないようなものではなくて、でも境目が分からないような混沌とした混ざり具合でもなくて、何だろう上手く言葉が見つからないけど、少女ただ一人が主人公に据えられているのではない、その融合のさせ具合が、作り手の真摯さを表している気がした。夢のような儚さ心もとなさは無く、厳しく美しく骨太なファンタジー。泥濘や血溜りに彩られ、過酷な痛みに溢れていて、どこまでもダーク。切ない。
やっぱりバッドエンドじゃないと面白くないと嘯く娘は、エンドロールでぐすぐす鼻すすってて、いたく気に入った様子。それを見ていてふと、思春期に観て、その下地をもってこの歳でもう一度観たい映画だったかも、と思った。叶わないわね(遠い目)。
そうそう、劇中の子守唄が良くて(ウェブサイトでBGMになってるの)思わず口ずさんじゃう。でも気がつくと、メロディがいつの間にか『アズールとアスマール』の劇中の子守唄に変ってる(似てない…?)。
複雑・・・
いや、いい映画なんですよ。スペインの内乱の切なさを良く描いたという点ではすばらしい映画と思います。ただ、私にはファンタジーの世界観が浅いように感じること、賢い少女のはずなのにありえない行動を取ったりするように見えて、すっきりと「いいよ!」とは言い切れない映画になりました。
圧倒的なダークファンタジー
そういえば昨年はテリー・ギリアムの「ローズ・イン・タイドランド」があったなと思いつつ、少女がつらい現実から幻想世界に逃げ込むという設定は同じだが、それでも逃げようのない鬱屈した現実に根ざした「パンズ・ラビリンス」のほうが、より圧倒される。クリーチャーの造詣も秀逸。オフェリアが幻想世界に逃げ込もうにも、最後までそれを許さなかった現実(=義父)。観ていてつらくなるほどだが、しかし、迎えたラストにはオフェリアへの救いがあったと見えた。
全45件中、41~45件目を表示