パンズ・ラビリンスのレビュー・感想・評価
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恐怖の口裂け男!
1944年のスペイン。内戦終了してもフランコ政権に反発するゲリラが闘争を繰り広げていた山間部。劇中ではノルマンディー作戦らしき情報も入っていたことから6月くらいなのだろう。スペイン内戦について詳しくは知りませんけど、内戦後も相当ひどい弾圧があったことは、ビダルの残忍性を見れば想像に難くない。そんな状況下で、新しい父親のもとへ母に連れられて向かう少女オフェリアが神秘的な世界へと迷い込む・・・
ビダルの子を宿したオフェリアの母カルメンの心情はよく伝わってこなかったけど、「一人じゃ生きていけない」との言葉から察すると、弾圧を逃れたい、娘オフェリアを守りたい母性が感じられました。一方、ゲリラ側からメイドとして潜入していたメルセデス(マリベル・ベルドゥ)にもオフェリアへの愛情が感じられ、彼女たちの物語だけでも成り立ちそうな関係でした。
鬼才ギレルモ・デル・トロ監督によるダークファンタジー。ファシスト政権対ゲリラの構図を少女の目から映し出し、悲しさ切なさ溢れる作品となっているのですが、中には残虐な拷問シーンや血も涙もない冷徹軍人の姿も浮き彫りにされている。「この世から逃げ出したい」と言わせてるとおり、平和な時代からは考えられないほどの現実逃避をちょっと不気味なファンタジーに仕上げているのです。
全てがオフェリアの空想?と思ってもみるが、マンドラゴラやチョークのエピソードがある限りそれはないのか。ひょっとするとラストシーンだけが夢なんじゃないかと考えると、もっと悲しくなってしまう。メルセデスの忠告にあった「パンに近づいたらいけない」という言葉が重くのしかかってくるのです。しっかり現実を見つめないといけない・・・ような。
すすめてもらってよかった
海外行きの飛行機で、同じツアーの女性からシェイプオブウォーターをすすめてもらい、観終わった後面白かったと伝えたら、同じ監督のこれもおすすめと教えてもらったやつ。グロい、救いがないと聞いていたから身構えながら観たけど、それよりも世界観に魅了されて、最後まで面白く観れた。たしかに最後も救いがあるんだかないんだか、妄想なんだか現実なんだか、、でもその悲しさや残酷さもこの映画の世界観だなぁと感じた。ダークファンタジーいいかも。グロいシーンはちょっと手で隠しながら観たけど、、。
衝撃がすごかった。
ずっと気になってた映画。
どのレビューを見ても「グロい」と書いてあるので、
この監督&ダークファンタジーということから、
出てくる妖精やら怪物やらがエグいのかと思ってたら、
生きてる人間がエグかった…
あの目玉の怪物もキツかったけど。
母親は、たとえ淋しいからといってもあの大尉を選んだのは間違いだったと思う。
そして大尉。
まわりの部下もドン引きするほどの独裁者。
残酷さ。残忍さ。
でも作品の中で、
ずっと父親の時計の事を気にしてる所からして、
自分も父親のようにならなければ、という
プレッシャーに押しつぶされてた感もあるなぁと思った。
父親のようになりたい、ならなきゃ、
その想いが間違った方向にいっていたような…
最後、息子には名前すら伝えないと言われていたけど、きっと彼にとっては、
戦で負けるよりもツライ事だろうな、と感じた。
なんか、救われない映画だった。
魔法の根よ パンがくれたの
【パンズ・ラビリンス:おすすめポイント】
1.オフェリア役イバナ・バケロのお茶目な行動とドキドキ感が最高!!!
2.「3つの試練」の各種生き物や色々ある不思議なシーンがいいなぁ!!
3.衝撃的なラストへの展開が凄すぎる!
【パンズ・ラビリンス:名言名セリフ】
1.オフェリア役イバナ・バケロの名言名セリフ
→「あなたは妖精? これが妖精よ」
→「魔法の根よ パンがくれたの」
2.Dr.フェレイロ役アレックス・アングロの名言名セリフ
→「何の疑問も抱かずにひたすら従うなんて、心のない人間にしかできないことだ」
3.メルセデス役マリベル・ベルドゥの名言名セリフ
→「あなたの名前さえ教えないわ」
薄幸な少女の美しさ
少女が見るおとぎ話は出てくるキャラクターも魅力的で引き込まれるし、
それと対比した独裁政治の悲惨な光景のコントラストも美しい。
少女の強さとか、大人になる恐れとか。
薄幸なほど美しく見えていく様とか。
なんだか観ていて、バルテュスの
絵画を思い出した。
ただ最後が、、、
お願いだからそうなるなよぉ〜と思っていた展開でがっかりした。
せっかく最後少女がおとぎ話を振り切って現実と対峙したのに、、、、あの勇気ある決断が台無しになるような最後だった。
あれが最後本当に少女が望んでたことなのかな。
おとぎ話は少女の願望なのに、なんか最後だけ可哀想だから誰かが後付けしたみたいな感じ。
結局、物語全てがおとぎ話みたいになって、過酷な現実からも目を逸らしてしまいそうになる。
そのつもりなのかもしれないけど。
ファンタジーとはなにか
ファンタジーとは何か改めて考えさせる契機となった作品。血で血を洗う内戦さなかのスペイン。残酷な現実に生きる読書好きで夢見がちな少女が見ていたあの世界とはなんだったのだろうか。
メルヘンと呼ぶにはあまりにおどろおどろしいホラーのような地下世界。悪魔の化身のような守護神パンと、妖精と呼ぶには不快な案内役の巨大カマキリ。少女は石の欠片を拾ったことから地下世界の王家の女王であることを試すための3つの試練が与えられる。
試練の一つ目は木の根に住む不気味な巨大カエルから黄金のカギを奪うこと。2つ目は目玉を手のひらに埋めた怪物の目を逃れ宝を持ち帰ること。最後の試練は弟を生け贄に差し出すこと。
冒険と呼ぶにはあまりに現実的な残酷さをもつ空想世界。母を救うためにパンが教えた方法というのも、奇形の胎児のような木の根っこをミルクに沈め血を与えるというものだった。大尉である義父の日常的な殺戮、妊娠により血を流す母、現実の世界の残酷さを象徴するかのようなその世界は少女にとってどんな意味があったのだろう。
現実の宴では食べなかった裏で、同じ構図で並べられる宴の食べ物。口にしてはいけないという禁を破った少女はパンの怒りを買うことになる。義父に見つかり母の命を支えていた魔力は消え母は死に、反政府ゲリラを支援していた養母役のメルセデスとともに殺されかける。パンは最後のチャンスを与える。ゲリラの反撃によりメルセデスは助かるが少女の命は失われてしまうことになる。最後の最後、弟を差し出さなかったことで義父に射殺されてしまうのだ。しかし少女はその行動で地下世界の王女に迎えられる。
プロローグで血を吐いていた少女のシーンに繋がるエンディング。少女の判断は間違っていなかったというにはあまりにも残酷なエンディングではないか。現実は残酷でそれは彼女を結局殺してしまった。ファンタジーが現実を救うことはなかった。
改めて問う。ファンタジーとはなんだろうか。現実から逃げるための空想か。現実を変えるための希望か。ファンタジーの多くは後者の思想で描かれている。ファンタジーの主人公はいつも不幸だ。残酷で理不尽な世界に生きている。それでも純粋さを失わない主人公。現実に抗うように正しさを求め汚れなき魂で世界に立ち向かいその冒険がやがて現実の世界をも変えていく。
そういう希望に満ちたものがファンタジーの王道だったはずだ。残酷な現実を具現化したようなおどろおどろしい空想世界。それでも最後には魔王を倒すことで正義がもたらされる。そういう勇気を与えてくれる世界、それがファンタジーに期待されるものであり、そのカタルシスがあるからこその絶望であり、不幸だったはずだ。
でもこの映画はまったく違う。空想の世界では王女として認められた、そのラストシーンを見せられた視聴者は希望どころか絶望を突きつけられる。結局何も救われなかった、空想は妄想に過ぎなかったと。
でも実際のファンタジーとはこういうものなのかもしれない。空想は空想でそれは妄想に過ぎない。現実はなにも変わらない。現実はいつもと同じ残酷なもの。だからこそファンタジーという逃避が必要なのだと。
この物語の真相はわからない。少女は救われたのか。それとも無惨に死んでいったのか。ただ一つわかっていることは彼女にとってこの世界は残酷そのもので、そこから逃れようとして見た妄想は、彼女にとっては紛れもない現実の世界であったということ。そうであるならば、やはり彼女は救われたのだ。そのはずなのにこの絶望感はなんなのだ。
常に刺激的
戦争の残酷な現実と、ファンタジックでグロテスクで驚異的な幻想が隣り合いながら、物語が進行する。
全く違う表情を見せる複数の幻想のシーンが現実のシーンで挟み込まれており、さらにそれらとおとぎ話が響き合って、快い変化のリズムを味わえる。
その幻想のシーンは、ことごとく全てが魅力的で刺激的で最高だ。
泥、虫、ドロドロした物質、血のイメージなどなど・・・
さらに、木の洞、狭い入口、ベットの下等、狭い空間の不安感が巧みに組み込まれていて、効果的だ。
狭さは、彼女の空想、自分の内の世界という感覚ともつながっているかもしれない。
かと思えば現実の方でも、潜入、銃の抗争、拷問など、フルパワーの緊張が持続し、目が釘付けになる。
そしてそれらはただ刺激的なのではなく、センス良く発想・デザインされた、上質な刺激である。
悪役の軍の大尉は、自分の誇りのために他人の不幸を顧みない最悪な人格なのだが、だからこそ悲しい人であり、可哀そうにすら見える、味わい深い人物だ。
彼が一人で部屋にいる様子も描いていて、無言の表情やしぐさが彼の心情を想わせる。彼の成功を願う気持ちにはなれないし、共感もできないが、どこか愛せる余地があっておもしろい。
・・・幻想と書いたが、実際のところファンタジックな要素が少女の幻覚なのか、それとも現実の中に隠れて実在するものなのか分かりづらい。
大尉にパンが見えてなかったということはやはり妄想?でも少女が見ていないところでも妖精が動いていたりするし、「となりのトトロ」みたいに子供にしか見えない?
でも、そういう謎めいた不思議な感覚の中に漂うのも気持ちがいいので、分からないでいるのも良いように思う。
グロい化け物が出る病み映画
軍の大尉の元に育った娘が、不思議な世界に迷い込んでいく。怪しげな妖精パンと出会い、妖精の世界の王女に戻るべく試練をこなしていくが…
グロい、痛い、辛い、死ぬ、マイナス面しかないけども!!
グロい化け物みたさに最後までみてしまったけど、最後はオフェリア撃たれて、妄想の世界でハッピーエンド…なのか??何だこのバッドエンドは(笑)
ラスト「息子にはあなたの名前さえ教えないわ」と言われて撃たれる大佐をみて心が少しスカッとしたけど、全編通して負のオーラしかない。
病みたいときにあえて観るにはオススメなのかな(笑)
意味不明。
何が言いたいのかわからない映画だった。辛い現実から逃れるために見た幻想ってのはわかるけど、ナイフで裂かれた唇を縫うシーンとか必要ないでしょ。そもそも試練って戦争と関係ないじゃん!
2つの物語を同時進行するから、期待しちゃった。2つの物語が何か関係してて、どんでん返しがあるのかと思ってたら無関係!!
いつ面白くなるのかなぁーと見てたら何もないまま終わった。何がアカデミー賞8部門受賞だよ。ポスターもファンタジーっぽいのにグロいし。詐欺じゃないか。
幻想的な要素とグロさを混ぜただけの映画。「うまいもん同士を混ぜたらうまくなるだろう」ってなんか、ジャイアンみたいな発想だな。なかなかに最悪な映画だったぞ。
意外とグロい
少女が主人公だったので子供向けかとおもったんですがダーク・ファンタジーで意外とグロかったです。
RPGの様に一つ一つ問題を解決して進んでいくストーリーは面白かったですね。
オフェリアとゲリラの二つのストーリー展開でしたがゲリラは必要だったのかな?
オフェリアの幻覚なのかファンタジーなのかがわかりづらい終わり方だったので、うーんって感じです。
brutal fantasy
スペイン内戦後、母親の再婚相手と住む為、森深くにある住居兼要塞へ引っ越すことになった少女。義父は情け容赦ない冷酷な大尉。
軍対ゲリラの戦と、少女の悲しい現実との戦いが並行して描かれています。空想好きの孤独な少女が逃げ込んだ妄想なのか、彼女は王女として王国へ帰ったのか。前者だと思いましたが、そうなら何とも救いのない物語です。
①大カエルと戦う→他人を助ける勇気と度胸はあるか。
②禁断の果実を口にしない→誘惑に勝てるか。
③赤ん坊を生贄に差し出す→利己的にならずに判断を下せるか。
おとぎ話を卒業して、大人になるための試練とも捉えられますが、評論家の方は初潮うんぬんだと書いていますね。オブラートに書くとこんな感じ…?
①木の入り口から中→子宮…
②「誘惑」Eveと同じ過ち
③母親としての資格
母親は生活のため権力者(男)になびいた弱い女性。
ゲリラのスパイ家政婦は、権力に立ち向かう強い女性。かつてお姫様を夢見た女性達の現実は厳しいのでしょうか。
妖精も守護神も、呼び名とは裏腹に、悪魔や魔界を思わせる姿。少しオカルトの要素が入った悪夢のような、大人向けダークファンタジーです。
何故かいつもラストが思い出せない・・
2022年2月5日(土)、4回目の視聴となった(今回はアマゾンプライム)。何故か印象としては傑作のイメージがあるにも関わらず、自分のベストムービーリストに入っていない。今回はその謎を解くために再視聴。そしたら判明した。この映画は『フランダースの犬』なんだと・・。しかも生理的に受け付けない肉体の痛みを随所に表現している。これも記憶を自動消去する要因になっていた。基本子供が傷つく映画はベストに入れない。どんなに救済構造にしてあってもだ。それ以外映画としては非の打ち所のない作品であることは今回も再々確認した。
果たしてハッピーエンドなのか違うのか
大学でスペイン語をやってるのでスペイン語の聞きたさだけで鑑賞。のはすが、思った以上に重くて、深くて、観終えた後のなんとも言えない感情が、、どっときてしまいました。疲れてる時に観るのはお勧めできませんね。
オフェリアは、王宮を復活させるためにパンに利用されたんですかね?女王様のように持て囃してみたりきつく言いつけをしたり、、
パンは、王宮への道を開くには無垢な人間の血が必要と言ってましたね。だから義父にはパンの姿が見えなかったのでしょうか、、でもオフェリアのお母さんを治した不思議な植物と、チョークは見えていた、、謎だらけ。
映像が綺麗でとても世界観に引き込まれた。
そして何よりラスト。ハッピーエンドともバッドエンドともとれる。でも、どちらにせよオフェリアは息苦しい現実から解放されたわけだからハッピーエンドなのかな?と私は思うのですが。
解釈が多岐にわたりますね。でも、投げやりな感じはゼロなので後味の悪さは無い。
あと、あのペールマン?とかいう手に目のついたオバケは印象不快ですね。夢に出てきそう(笑)
話の筋がぼやける
扉の中の世界やグロテスクなシーンなど、緊張感のある場面はあるが、単発的。
現実とファンタジーで混成されている上、ストーリーもあまり惹きつけられず、ぱっとしない。
大傑作
現実とファンタジーが絶妙にまじりあう感じが素晴らしい。ファンタジーなんか現実には存在しないのだけど、もし存在するとしたらこんな感じがリアルなのだろうと思わされる。
現実が厳しいからと言って空想世界が癒しになるかと言えばそうでもなく、化け物に叱られたり殺されそうになったりして、そっちも厳しかった。
DVDを持っているんだけど、イオンのシネパスで見返したらやっぱり腰が抜けるほど面白かった。とにかく世界観とストーリーが面白すぎる。
世界は残酷、でも夢は魅られる
思ったのと違った。こんな話だったとは。アリスや千尋のような不思議な世界に迷い込むという説明だと、もっとメルヘンチックな感じかと思うけど、非常に残酷で痛い痛いスプラッターな中で話が進む。ここまで残酷な描写だと、少女が現実から逃避するために夢想してるんだと推測するが、エンディングではその通りの結末になってしまう。
結末には賛否あるようだけど、もっと夢想なのか現実なのか判断に迷うさじ加減にして欲しかった。
ダーク
ナルニアみたいに、別世界繰り広げられるファンタジーだと思って観たが…
別世界に行くまでの過程のストーリーだったか…
パンズ・ラビリンスは、不幸な生活のなかで現実逃避として幻覚のようにみたものだったのだと感じた。
自らの死をもって試練を終え、自分の行きたかったところに行けた。せつないラストだった。
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