「耐え難い現実があるからこそ、幻想が生まれる」パンズ・ラビリンス ともさんの映画レビュー(感想・評価)
耐え難い現実があるからこそ、幻想が生まれる
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2022.84本目
苦しく、残忍で、超現実的で、それでいてどこか幻想的で美しい映画。大好物だった!
だいたいのあらすじ自体は知っていたし、ジャンルは「ファンタジー」なので、「3つの試練や、王国の中での話がメインなのかな」と思っていたけど、
実際は現実の部分(両親とのやりとりや内戦の描写)がメインになっていたのに驚いた。ファンタジーはファンタジーでも、現実の部分をこれでもかと見せてくるファンタジーだった。
なんだかんだで1番印象に残ったのは、医者のおじいさんの、
「何の疑問も抱かずひたすら従うなんて、心のない人間にしかできないことだ」
というセリフ!死に際も美しく、カッコよく見えた!
残忍で人の心を持たないような人間ばかりがこの映画に出てくるので、より一層このシーンが輝いて見えたのだと思う。勇気をもって自分で正しい道を選択した彼が、とてもカッコよかった。
と、今書いていて思ったけど、
オフェリアの3つめの試練の選択も (弟を犠牲にしなかった)勇気のある選択だったな。
過酷な現実の中で、勇気ある選択をすることはとても難しいし幻想に思えるけど、美しい。
グロテスクな描写やモンスターにばかり話題や印象がいきがちだけど、オフェリアやメルセデス、医者の内面の美しさや輝きにもっとスポットが当たるべきだと思う。
一応ファンタジー映画なのに、お母さんやメルセデスから「人生はおとぎ話じゃない」と何度も言われるのも印象的だった。
耐え難い現実があるからこそ、幻想が生まれる、幻想が輝く。
これが真のファンタジー映画か、と妙に納得した。
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