「眠り(死)に誘う子守唄。忘れ去られた永遠の物語。」パンズ・ラビリンス コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
眠り(死)に誘う子守唄。忘れ去られた永遠の物語。
内容は、1944年6月頃スペイン独裁政権統治下に於けるスペイン🇪🇸の田舎が舞台。主人公の少女と母親が継父の元へ来る所から始まる。過酷な現実とそれに向き合う寓話を織り混ぜた(認識論)少女の魂の救いの物語。好きな言葉は『妖精を信じる?』の問いに『子供の時は信じてた。昔は沢山の物を信じてた。でも、今は違う!』誰しもが通る道もまた寄る年月や人によって違う厳しい言葉。共感しました。食事の時に牧師が語る『神が既に彼等の魂は召されている。肉体になど意味はありませんよ!』嘘っぽくて軽くて面白かった。『世の中は残酷よ!例え傷付いても学ばないと!』ここでマンドラゴラが焼かれる姿はなんだか苦しい。映像的には、デルトロらしくCGと特殊効果が巧みに組み込まれていて上手かったので話が分かりづらくなったのかなぁと感じました。stigmaの様に、掌に👁を付ける子供を食べるペイルマンこれは怖い!^_^鳥肌物です。この時に映像的には真ん中の扉のはずが左を選ぶ。『違う!これだわ!』鍵穴3つの内一つを選ぶ理由が分からなかったです。カエルに🐸食べさせる乾燥無花果似の石やペイルマンの食卓上の豪華な料理と葡萄🍇無垢な血🩸の献上など、モチーフをふんだんに使い世界観を表していて、凄かった。その根底に流れるテーマ、安楽死でさえ人を殺す者は、自分自身も殺される必然性や自己顕示欲の物語は語り継がれる事はない等、作家性として伝わってきました。童話と寓話の組み合わせが上手い。自分もC・アンデルセンやグリム兄弟やオスカーワイルド等は好きです。デルトロ監督は、自分が信じる世界へ自分を送り出す少女の物語。その中ではもはや少女の肉体の生死は意味を成さない。と言っている様に永遠について、虚構が現実で現実が虚構だという表現は残酷でグロテスクな効果でわかりづらくなって観る人を選んでしまうのが残念。最後の無花果の幹につくことのない花(希望の印)が咲く事が僅かな元気を感じる事もでき苦い終わりは物語の冒頭の子守唄のシーンを思い出す。伏線回収でとても綺麗。とても変態チックで素晴らしい作品。個人的には、神の王国の表現は予定調和で怖かったです。流石ダークファンタジー子供に見せるモノでも子供には見せれないよなぁ。。。
オフェーリアが見た彼女の真の深層心理、つまり、夢だと僕は思いました。この映画自体が全て彼女の夢だと僕は思いました。いまわの悪夢です。現実はただ一つ彼女の死。
あまりにも過酷ですが、そう考えると矛盾点も払拭されると思います。