あの空をおぼえてるのレビュー・感想・評価
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原作の良さが粉々に…(*_*;
この映画は見ないで、原作を読んでください。 山田玲司氏著作『絶望に効く薬』で知った原作(ありがとうございます)。 原作は、主人公ウィル(この映画では英治)が”あの空”にいる妹ウィニー(この映画では絵里奈)にあてて書いた手紙の形で綴られる児童文学。 (原作原題の直訳『ウィニーは翼を持っている』) 一緒に行ったはずなのに、妹は光にあふれた”あの空”にとどまって、笑っていることを兄は知っている。 兄だけが、”この地”に戻り、これからの”生”を生きる。そこには、いろいろな”問題”があり、そして兄が感じる心を妹に打ち明け、相談する。でも、妹への手紙だから、時に弱音も吐くけれど、どこか前向きで…。そんな日々の移り変わりが、切なく、面白く、言葉にされていない気持ちに胸つまされ、そして…という物語。 読後、心に灯がともったような気分にさせてくれた作品が映画化されると知って、喜び勇んで映画館で鑑賞した。 なんだ、これ?原作の持ち味を殺している。なんでここまで空々しい作品になってしまったんだ。 怒りを通り越して唖然として仕舞った。 原作は、悲しみ・寂しさ・臨死体験の残像、それを周りに理解してもらえない辛さ。それでも生きていかなければならない中で、親をはじめとするいろいろな人の無神経さに傷つけられた心が、少しずつ再生されていくと同時に家族も再生されていく様子を、主人公の少年の目線で綴った名作。 だのに、映画の視点はどこを向いている?息子?父親?中途半端。 モノローグ形式の文学を映画化するのは、とても難しいと知っている。 (直接表現されていない登場人物の心情や動きを、映画スタッフで作り上げなければならないから) 思い入れのある原作の映画化だから、評価が厳しめだとは思う。 それでも、この映画はひどい。 あの家の造りも、原作にもあったツリーハウスなども登場させて、日本舞台では違和感を感じるが、それなりに原作を尊重した作りと、百歩譲って良しとしよう。インテリアやエクステリアのしつらえが、テーマパークかと間違えるような作りも、原作尊重をした姿勢と仕方ないと諦めよう(原作も、日本版の挿絵もあんなテーマパークではないけれど)。 でも、人物設定が、あまりにもありえないので興ざめ。 一番ひいたのは、カウンセラー。あんな近づき方したら、どんな子どもも心を開かないよ。心の再生って笑顔にすればいいってもんじゃない。リサーチしたのかなあ?聞き上手なのは当たり前。それが商売道具の一つだもの。言葉で説明するんじゃなくて、寄り添う姿で表現してほしかった。 そして家族が家族していない。夫婦が夫婦していない。事故の前から親が親ではない。他人同士の共同生活。遊んで豪華な食事をするだけじゃ家族にはなれないんだよ。守るためには躾けなきゃいけないんだよ。おむつ替えとか、汚れ仕事も後から後から際限なく発生するんだよ。 インテリア・エクステリアのしつらえだけでなく、家族関係に生活臭がない。 作品中、重要なエピソードとなるオルフェウスも、日本ではどうなの?唐突に見えた。USAやヨーロッパなら、教養としての位置づけがあって原作ではすんなりと読めたが、日本舞台の映画では違和感ありあり。 と、脚本・演出がグダグダ。 舞台を移しかえるにあたってもっと練っていただきたかった。だた、なぞるだけじゃなくて、物語の本質はどこなのか、変えられるのは?変えられないのは?筋からシーンを選ぶのではなく、主題からシーンを厳選してほしかった。 いや、原作を尊重・なぞっているように見えて、この映画は原作をかなり改悪している。 元々少年目線の話を、家族を俯瞰してみる脚本にしている。それは映画化するにあたってよく使われる手法だ。それ自体は悪くない。 そこに安易に臨死体験・あの空(あの世)の英治のイメージと、在りし日の妹の残像を織り交ぜる。そんなイリュージョンを組み入れるならば、現実をしっかりと描かなければ、映画が絵空事になってしまう。だのにこの映画は、ディズニーランドのような家や、トレンディードラマの役者、上っ面だけのセリフ等、現実的・生活感がまったくないからプロモーションビデオのようだ。 かつ、ウィルが書いた手紙で使われていたような説明調のセリフ(手紙の受取人・ウィニーが理解できるように説明するための文章)を会話の台詞としてそのまま入れるので、会話が他人行儀で、家族が家族していないし、子どもが子どもしていない。 映像表現として成立させるんじゃなく、たんになぞっているだけ。 ウィル≒英治の気持ちを、本当に理解しようとしたのだろうか。理解したつもりになっているだけにしかみえない。だから、登場人物に命が宿らない。 改悪しているのは、目線だけではない。 原作は、自分が死んだらどうなるのか、生きるとはという命題にも応えている、心の再生物語だ。”あの”トンネルを駆け抜ける勇気を持ち”あの空”でのびのびと駆け回っている妹と、駆け抜けられずに引き返してしまって、現世にいる自分(ウィル)との対比が繰り返し出てくる。 だが、映画は、少年のその葛藤はスルーしてしまって、安易な家族の再生物語にしてしまった。 だったらもっと真正面からリアルな家族を描くべきなのに、家族そのものの現実味がない。 何もかも中途半端・上っ面だけ。 加えて、竹野内氏、水野さんの演技がリアリティをもたない。演技を一生懸命にやっていることはわかるんだけれど、その佇まいやセリフに、子どもたちを育ててきた歴史が見えない。苦しんでいるさまが空回りしてしまっている。 子どもが生まれて子どもと共同生活していたけれど、心が親になり切れなくて、この出来事を経て”父”に”母”になる過程を映画で描き出したかったんなら、せめてラストには”親”の顔になっていて欲しかったが、それもなかった。 かえって子役の方が活き活きと演技していた。 かつ、父・母の設定が安易。 原作は兄の目線の物語。だから、兄の視点のオブラートがかかっている。ある誤解から、父は〇〇と思っているという見方。 だが、本来の人は、ある人が「こう見える」という面だけではないはずなのに、この映画では、兄視点から見た両親の姿しか表現しない。 最近よくある、「ある誤解」を知ってから見ると、兄視点以外の解釈もできるような演出をしていない。 だから、人物造詣が薄っぺらになってしまっている。 この映画のスタッフはこの映画で何をとりたかったのだろう。 ただ、トレンディードラマの役者を使っておしゃれに撮りたかっただけなのだろうか? 生と死に向き合う気合を持って作っていただきたかった。 作品自体は原作を冒とくしているようにも思えて本当は☆マイナスにしたいが、子役に免じて☆1つです。
オルフェウスのバカ~
最近の水野美紀の出演作としては、『口裂け女』、『図鑑に載ってない虫』しか記憶にないので、まともなキャラだとどうしても違和感があった。へんてこなダンスを竹野内豊と一緒に踊るシーンによって爆笑態勢になっていたのに、感情は泣きの方向に・・・ 物語は、娘を亡くした悲しみに暮れていた両親が立ち直り再生の道を歩むという、どこにでもあるような設定なのですが、兄である小4の少年目線で描く作り方がユニークなため感情移入しやすいし、最初から最後までのめり込んでしまいました。 あらすじを知らずに観ていると、まず、交通事故に遭った兄の英治(広田亮平)が死んでしまう物語なんだと錯覚するのです。死んだはずの妹絵里奈(吉田里琴)はちょくちょく英治の目の前に現れるし、誰も死ななかったのか?それとも『シックスセンス』のパターンか?などと勘違いさせられる。やがて、ツートンカラーのサングラスや英治の松葉杖によって過去の映像がフラッシュバックしていることに気づき、英治の目に焼きついた妹像だとわかるのです。極めつけは、中盤まで“絵里奈が死んだ”という事実が一言も語られない!こと。 トンネルの探検、父の撮った写真、快活な性格の妹との楽しかった思い出など、英治が中心となり父(竹野内)や母(水野)の記憶とともに観客も一傍観者家族となってしまう演出。特に、絵里奈の名前を口にしただけで父親に怒られる強迫観念は痛いほどよくわかるのです。広田亮平の演技もさることながら、『ごめん』でも思春期の少年の心理を鋭く描いた冨樫森監督の才能なのでしょう。もしかすると、秘密基地のおかげかもしれませんが・・・ 学校カウンセラーの小日向さんは聞き上手という設定のキャラ。誰かに悩みをしゃべるだけでふっきれることってあるよな~という感じで、ワンポイントとして効いていました。ただ、残念なのは学校の先生である小池栄子の存在。演技力の問題じゃなく、あのシチュエーションでオルフェウスはないだろうな・・・キツすぎるぞ!
娘を失った家族の再生物語。 原作の素晴らしさが感じられます。ジャネ...
娘を失った家族の再生物語。 原作の素晴らしさが感じられます。ジャネット・リー・ケアリーという方の作品のようです。 とにかくエンディングの親子の会話、感動です。 家族のキャスティングはまずまず。娘役の吉田里琴って子が秀逸。息子役の子も頑張ってましたが、この作品彼への負担があまりにも大きすぎる。 その他諸々のキャストがどうにもいただけない。品川をはじめ、おちゃらけ要素が強い。本作には合ってないと思う。 決して失敗作ではないし、よくできていると思うのですが…映像化がかなり難しい作品のような気がします。 見る価値はおおいにありですが、原作で味わう方がよりいいのかも(笑)
ここまで涙が止まらなかったのは、はじめてかも
以前にも書いたことがあるのですが、
私は、基本『死』で涙や感動を誘うのは嫌いです。
これほど、簡単に人の感情を揺さぶれるものはないから。
でも、同作の場合、
予告編から、そこにかなり重きを
置かれているのは、知っていましたので、
どのようにストーリーを運ぶのかを、
楽しみにして、見ることにしました。
そして、上映開始。。。
まず、冒頭のシーン、まだ人、
全く出てきてないのに、いきなり胸騒ぎスタート。
家族みんなで楽しく笑顔で食事。
テーブルは丸机、もちろん食卓にテレビなし。
兄弟も、本当に仲がいい。
妹は、男勝りの元気のよさで、
いっつも唄っているか、走っているか、
なにかいたずらをしているか、とにかく
止まってない、動きっぱなし。しかも、
いっつも、体温が伝わってきそうな、
満面の、ぬくもりのある、愛くるしい笑顔で。
そんな妹を、兄は、
ブツブツ言いながらも心配そうに見守っている。
こんなシーンが20分くらい続くのかな。
もう、この時点で、今も書きながらもなんですが、
涙が溢れてくる。先、わかるんです。この兄弟の
いずれかが、死んでしまうんだって。それを
想像すると悲しくて、悲しくて。「お願いだから、
こんなに、いい兄弟を、親から奪わないで」って
もう、此処からラストシーンまで
要所要所で、泣きっぱなし、号泣に近い。
劇場からも、鼻水をすする音が、そこら中から聞こえてきた。
妹が死んでから後は、
過去と現在を、行き来させながら話は進んでいく。
過去は、生前の妹の家族との触れ合いが中心。
現在は、
「自分のせいで、娘を死なせた」と娘の名前を
口に出来なくなってしまい、家族とも、まともに
会話が出来なくなるほど、自分を責め続ける父。
妊娠中であるにもかかわらず、
食事を口にすることが出来ないほどふさぎこむ、母。
そんな、両親を元気付けたいと、
頑張るけれども「絵里奈にはなれないよ」と、
落ち込む兄、英治。
3者3様の、絵里奈への思いを
抱きながら、話は、進んでいく。
そのエピソード一つ一つに、
また、泣けてきてしまう。
絵里奈が写った、
一番のお気に入りだった写真を叩き割る父、
ピアノ教室で、子供をあやす母親を見つめうろたえる母、
届くはずもない絵里奈への手紙を書き続ける兄。
もちろん、
話は、暗い絶望だけでは終わらない。
「時は悲しみを癒してくれ、
影があれば、光がある」のだ。
新しく産まれてくる子供のため、
母と英治は、絵里奈の部屋を片付ける。
思い出を、噛み締めながら。でも、それは
後ろ向きではない、新しい未来へ向けての一歩なのだ。
しかし、父親だけは、殻に閉じこもったまま。
絵里奈の部屋を片付けたことで、夫婦喧嘩をしてしまう。
母は「そうよ、あなたが絵里奈を殺したのよ!」との
泣きがらの、叫びを残し、家を飛び出してしまう。
そんな2人を、もう一度結びつけたのは英治。
絵里奈との思い出の地へ、山へ行き、遭難。
また、一人愛する子を失ってしまう恐怖に
かられた両親。特に、また自分のせいでわが子を
うしなうかもしれない、自分の愚かさに、ようやく
気がついた父親は、過去の思い出を紐解きながら、
英治のもとへ、辿り着き、かたく抱きしめあう。
晴天の翌日、絵里奈が大好きだったログハウスを
家族3人で片付ける。「絵里奈のものがこんなに
でてきたよ」絵里奈が事故で死んだ後、ようやく
父親が絵里奈の名前を口にした瞬間だった。
終盤、絵里奈の部屋を新しく産まれてくる
赤ちゃんのため、家族で壁の塗り替えをしていたとき、
英治が、これまで親には口に出来なかったことを話し出す。
事故の直後、自分の身体から離れ空を飛んでいたこと、
それも、絵里奈と一緒に。そして、自分の身体に戻って
来たときに、父親が呟いた一言が頭を離れなかった、と。
「どうして、絵里奈なんだ・・・」
英治は
「父が絵里奈でなく英治が死ねばよかったのに」との
意味で言ったと思い、どうして自分が生き残ったのかと
自分を責め続けていたのだ、と。
ラストシーン、
産まれてきた赤ちゃんと家族4人で、
絵里奈との思い出の地へ、ハイキングへ。
家族それぞれが絵里奈へ綴った手紙を
風船に結びつけ、青空へ飛ばして、映画は終わる。
ここまで、ストーリーを覚えてることって、
お恥ずかしい話、滅多にないんですね。
それくらい、強烈なインパクトを与えられた。
特別に好きな役者さんが出ていたわけでもなかったんです。
なのに、妙に引っ掛かるものがあった。
その、引っ掛かりは、私にとっては、
感謝すべき、引っ掛かりでした。
素敵な涙をありがとうございました(笑顔)
俺みたいな聞き上手は、めったにいないで
映画「あの空を覚えている」(冨樫森監督)から。
妹が交通事故で亡くなり、落ち込んでいる兄に対して、
小学校のスクール・カウンセラーが、傍に近寄り、こう呟いた。
「俺みたいな聞き上手は、めったにいないで」
なかなか心を開こうとしなかった少年が、
少しずつであるが、このスクール・カウンセラーに
話し始めるのだが、この台詞が利いていたと振り返った。
事務的に「悩みがあったら、何でも話して」よりも、
「俺みたいな聞き上手は、めったにいないで」の方が、
きっと話しやすいと思うからだ。
私の意見は・・とか、あなたのためのアドバイス、なんて
聞きたくない。
ただ、黙って私の話しを聴いてくれるだけでいい。
悩んでいる人は、きっとそう思っているに違いない。
そういえば、最近、飲み会でも自分の話をするより、
相手(メンバー)の話を聴く方が、私には向いていると感じていた。
私にとって「聞き上手さん、今日暇ですか?」が
最高の飲み会の誘い文句かもしれない。(笑)
(結局は、飲みたいだけかもしれないが・・)
素晴らしい家族
とっても理想的な家族が描かれていて、凄く伝えたいことがわかってくる作品で とても泣けます!!感動的でした。 回想シーンもとても素晴らしく、しっかりとつながっていました。 家などもかわいらしいくてすんでみたいと思ってしまいます【●´Ι`】* 1人1人が個性的でとても面白く感動できました!!
幸福は脆い。でも、家族は強い。
何と竹野内 豊 主演作としては、「冷静と情熱のあいだ」以来7年ぶり2本目なんだそうです。幸せな家族を、突然襲う悲劇。そこから懸命に立ち直ろうとする父、母、息子。こんな殺伐とした時代だからこそ、多くの人に観てもらいたい…そう思える映画です。 『一番悲しいのは、誰なのか?』人は、悲しみの前には、全く無力です。この映画では、一緒に事故に遭って、1人生き残ってしまった、まだ子どもの英治が最も悲しいはずなのです。けれども英治は悲嘆に暮れる両親に、『何とか元気を取り戻してほしい!』と、健気にも一生懸命に明るくふるまうのです。ホントは大人(親)がもっとしっかりして、子どもを守ってやらなくちゃいけないんですが、どちらかと言えば大人の方が何も出来ないのです、こういう時。『大人の方が弱いな…』と、観ていて、悲しくて情けなくなりました。偉そうな事言ってますが、吾輩も恐らくこういう立場に立たされると、同じような状態になってしまうと思います。 でも、時が経つと前を向こうとするのも人間です。英治の一生懸命な気持ちが、やがて雅仁や慶子の心を少しずつ解きほぐし、“絵里奈の死”を現実のモノとして受けとめ、そしてソレを乗り越えて、家族として新しい命の誕生を迎えていく…。その過程は、観ている側としては、悲しくてどうしようもないのですが、この映画は一連の時の流れを、とても優しくスクリーンに描き出しているので、本当に清々しい感動を得ることが出来ました。涙が溢れて吾輩ホント、困りました…(^^;。 出てくる人みんなが“いい人”ばかりで、良かれと思ってしたことが、少し空回りしてしまう…と、いったシーンがちょくちょく出てくるのですが、誰もがみんな一生懸命なんだってことは、充分に伝わってきます。それがこの映画の最も良心的なところじゃないかな~?と思います。決して大作なんかじゃないですが、観る人の心を温かくしてくれることは、間違いありません。保障いたします。 俳優陣も皆、一生懸命な芝居を見せてくれます。特に兄妹役の子役の2人は素晴らしい!ただ、妹役の吉田里琴ちゃん、ちょっと芸達者すぎるぞ~って、思ってましたら、この子実年齢・8歳なんですね。役の設定より少しお姉さんてことで、納得いたしました。だってウチの子、今年6歳ですが、劇中の絵里奈より、全然子どもですから…(^^;。 また、ラストに流れる平井堅が歌う主題歌が、またイイ!映画が表している世界観に実に上手くマッチしていて(歌詞も曲調も)、この歌だけ別の場所で聴いても、吾輩“キュ~ン”となってしまいましたわ(>_<)。
もう少しひねった部分があれば
先日見た「パラノイドパーク」も死の話だけど、心地よい感じで眠くなりながら見ていたけど、こちらははじまってすぐに眠くて目が開けていられなくなりました。ストーリーが読めてしまうこと、制作者の感動させようと言う意気込みが見えすぎてしまうことなどが気になりすぎて映画に入れませんでした。使い古されたストーリーなので、もう少しひねった部分があれば良かったのですが残念です。
お父さんはこう言ったんだ・・・
冨樫森監督の前作「天使の卵」は小西真奈美のプロモ的映画な 感じがかなり微妙だった関係で今回の作品は半信半疑でした 映画の最初は幸せな家族の楽しい日常でテンションが高いが 娘が交通事故で亡くなってからは一気にテンションが下がり それからずーっとローテンションです 娘の死を悲しみながら明日に向かって立ち上がる母(水野美紀)の 演技は良かったですね、母親の気持ちを上手く表現できている 妹を亡くした兄(広田亮平)も言い出せない悩みを抱えながら明るく 振る舞う姿には考え深い物がありました この映画はこの子が主役と言っても過言ではありませんね 一方どん底からなかなか立ち直れない父(竹野内豊)は見ていて 腹立たしいぐらいダメ親父ぶり(当然演技ですけど) がんばれよ親父・・・と叫びたくなる、母、息子の気持ちを考えず 一人ふさぎ込んでいる、実際に同じ境遇の父親ってこんなものか? 竹野内豊は良い父親役にはハマっているが、落胆する父親の演技 がまだ若い、もう少し経験を積んで欲しい気もする 淡々と映画は進み、盛り上がりのないまま終わるのかと思ったら 終盤、娘の部屋での息子のひと言で物語が急転、胸が痛くなる 「お父さんはこう言ったんだ・・・」 (続きは劇場で!) 家族という絆はお互いがお互いのことをしっかり見てあげて初めて 成り立つのでは無いでしょうか、冨樫森監督ナイス映画でしたよ!
どうぞ泣いて下さい
劇中の竹之内パパと水野ママが織り成す温かい家庭にものすごく憧れます。 どうぞ泣いて下さい、と策略がわかっていても、悔しいくらい劇中泣きっぱなし。 (隣の友人は悔しいから、泣かなかったらしい)
もし自分が身近な愛する人を失くしてしまったら
もし自分が身近な愛する人を失くしてしまったらという喪失感をテーマにした作品です。最近の映画でも多いパターンではあります。 ただこの作品の面白いと思ったところは、子供が思うほど、大人は強くなく、大人が思うほど子供は弱くないと言うことでした。人の死を数多く見てきた大人の方が、娘を事故で失ったとき、取り乱してしまうのに、子供の方は悲しみを表に出さずひとりで耐えようとするのです。 辛い現実を受け入れない父親は、家族にも八つ当たり。口論のあげく母親は、家を出てしまう。そんに立ち直れない両親が、見つけたのはわが子の意外な気遣いだったのです。 死んだ妹あてに綴られたわが子の手紙から、どんなに悲しい思いを封印して、けなげに何事もなかったように普段通りの表情を取り繕ってきたか、思い知らされることになります。そんなわが子の思いが、悲しみにとりつかれた両親の心を氷解し、家族の絆を深めていくのでした。 妹と同じ事故に遭って、自分だけが生き残ってしまった罪の意識。少年の心には、それがどれだけ思い現実として覆い被さっていたかしれません。しかも夢の中では、父親は何で妹が生き残らなかったのかと言うのです。 妹が生きていた方がいいと思っていたのじゃないのと告白したとき、父親は少年を抱きしめます。そんなことないだろうってね。その瞬間が、事故でバラバラになっていた家族の気持ちが一つに結ばれたような気がしました。 皆さんの中にも、愛する人を失したことがある人はいることでしょう。この映画のように立ち直れず、未だに尾を引いているかもしれません。でも、この作品のように誰かに 愛されていることを自覚できれば、喪失したうつろな気持ちが変わっていくのではないかと思いますよ。 作品では、そんな思い話を韓国映画みたいに直球で投げ込んでいかずに、本当に少しずつ少しずつ、心が揺さぶる展開になっているのです。 主人公の絵里奈の死も冒頭では明かされません。むしろ絵里奈を交えた歌と踊りに明け暮れる楽しい一家の団らんがこれでもかと繰り返されます。そして少しずつ絵里奈がいない現実が描かれていくのです。 絵里奈は、自由奔放な性格で、限りなく可愛い少女。そこにいるだけで家族が笑顔と活気に包まれていました。そんな快活な少女を演じる吉田理琴はこの役にピッタリでしたね。 監督は、家族の幸福のシンボルとして絵里奈を描いているので、事故のシーンもなく、ずっと笑顔ではしゃぐ姿ばかりでした。それが次第に絵里奈のいない現実が描かれていくことで、残された家族の淋しさが際だって伝わってきました。 母・慶子を演じた水野美紀心身共にやつれ衰えていく様子は見事であったし、切れまくる父親役の苦悩ぶりを竹野内豊が好演していました。 冨樫監督は、ファンタジックな映像が得意なようです。絵里奈の死んでいく様も空を飛んでいく天使のように、あるいは『死のトンネル』の先にまぶしい光明が包み込むように、どこまでも神秘的に描くのです。 それに相まって、明るい鮮やかな映像も印象的でした。原作が海外小説であることか、オシャレな家や明る目のインテリアと衣装も取り入れ、少し日本の家庭のイメージを感じさせない映像に仕上げていたのです。 ただそういうロケーションや大道具だけの問題ではなく、家族の絆に危機感を感じてメガホンを採ったという冨樫監督の人を見つめる視線が暖かいのではないかと思います。 どこかふぁ~とした暖かさを感じさせてくれる映像でした。 あとエンドロールで平井堅のテーマ音楽が流れながら見せる一家のスティール写真が良かったです。死んだ絵里奈も交えて、なんだか本当の家族のようです。さぞかし幸せだったのだろうと思いますし、これからも新しい命を足して、新たな幸せを家族で見つけていく予感たっぷりの写真ばかりでした。 追伸 いまいじめ対策として文科省が躍起になって導入を進めている"スクールカウンセラー"が登場していましたが、あまり機能していませんでしたね。皆さんもあんなカウンセラーではいじめの解決ににはならず、小日向文世が劇中語るようにホンの気休め程度にしかならないことがお解りいただけたと思います。 ところで何で英治は無謀に山に向かっていったのでしょう。試写や映画館で本作を見たマイミクさんからのご意見をお待ちしています。
けなげ
竹野内豊の父親役に違和感無く、年齢を感じました。 父親が娘に抱く感情は恋人以上のものなのでしょうか? 母親がやきもちを焼きたくなるぐらいの思い入れと喪失感がちょっと理解できませんでした。 最後に流れる平井堅の歌がとても映画と合っていて良かった。
心がきれいになる映画
前半部は若干分かりづらく「なんだこれ・・・」感が強いが、後半に入ると引き込まれ、見終わると心が洗われたような気持ちになる映画。 内容自体は単純で、人によってはつまらないと感じるかもしれないが、子役のかわいさとどこか懐かさが感じられる風景で満足。
天使をみた
登場人物は皆、憎めず、それぞれに共感してしまいます。 妹の絵里奈はかわいすぎでした。明るくておてんばで度胸があって誰からも好かれるような、愛すべきキャラ。子役としての活躍も要注目です!お兄ちゃん役もかわいくて、微妙な表情・演技が光っていました。竹野内さんはホットケーキダンス(?)が良かった。水野さんはふんわりしていて妊婦はまり役かも!? 子供は大人が思っているほど子供ではなく、大人は大人だからって割り切れるものではなく。事実を受け止めるには力が要るのですね。少年の後ろめたい気持ちを言葉として知った時には、切ない涙が止まりませんでした。 平井堅さんの歌がいつでてくるかと思っていたら最後だけなんですね。途中で流れたら、更に泣いてしまいそうだから逆に良かったけどね。
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