この道は母へとつづくのレビュー・感想・評価
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坊や、私を捜しているの?
映画「この道は母へと続く」(アンドレイ・クラフチューク監督)から。
ロシア映画って感じが、全体に表現された作品だった。
作品の冒頭、ガス欠で車が立ち往生した時、
凍てつく外の風景をじっくり眺めるシーンがあり、
「ほら、まさにロシアって感じだ」と呟くシーンが
私の印象とダブり、違った意味で面白かった。
さて、気になる一言は、映画のラストシーン。
母を探すために孤児院を脱走したという少年の実話を基に
製作されたという映画だけに、どんな終わり方をするのか、
母親がどんな顔をするのか、とても興味があったが、
顔は出さず「坊や、私を捜しているの?」の台詞だけ。
(たぶん、私の聞き間違えでなければ、
病院で主人公を追っかけていた男を手当てしていた病院の看護婦が、
本当の母親である彼女だと思うのだが・・)
その優しいイメージが、この台詞を引き立たせた。
このあと、思い切り抱きしめたことは、誰でも想像ができる。
「僕を孤児院に預けたの?捨てたの?」なんて、野暮な会話はいらない。
それほど、このフレーズは、インパクトがあった。
この言葉だけで、どんなに苦労して訪ねてきてくれたかを察し、
もう2度と離さないからね・・と泣きじゃくるシーンさえ浮かぶ。
「坊や、私を捜しているの?」声が震えていた気がする。
う〜ん、ロシアって感じの作品・・・観終わってもう一度、呟いた。
絆は続くよ、どこまでも。
我が日本にも名子役と呼ばれている俳優がいますけれど、
いやはや~今作に出てくる主人公の男の子・ワーニャの
名演技には、一人として叶わないんじゃないかしら…^^;
ビックリしました。ものすごく自然体だし。
今作も、観たいな~と思いつつ、名画座待ちだった一本。
顔も知らない母親を探し求めて、
孤児院を脱走した少年の実話を映画化したという本作。
ベルリン映画祭で「少年映画部門グランプリ」を受賞した
ということですが、それは~そうでしょうと納得できます。
これ、どう見たって人身売買だよな~と思うほかない
ロシアの養子縁組斡旋組織。それと深く繋がっている孤児院。
貰われず成長した子供達は盗みと売春に明け暮れ、
年下からはチップの小銭をふんだくってプールしている。
共産主義から市場経済に移行して以来、ロシアは経済格差が
広がる一方、その結果がこういう社会問題を生んだようです。
運よく理想的なイタリア人夫婦に貰われると決まったワーニャ
でしたが、その直後、貰われた友人の実母が孤児院を訪れて、
泣きながらワーニャに想いを語ったのち、自殺してしまいます。
「もし僕のお母さんも、こんな風に訪ねてきたら…」
そんな想いから養子縁組を蹴り(すごい決断!)まだ見ぬ母を
探す旅に出るワーニャなのですが、まぁ~とにかくこの子が
とっても賢くて大人も顔負けするくらい行動力があるのです。
話そのものはまるで「母をたずねて三千里」なのですが^^;
字は独学で学ぶわ、孤児院の金庫から母の居所を見つけるわ、
あっという間に年長者の女の子がパトロンにつき(爆)
まんまと脱出に成功。途中で独りにされ街を彷徨いながらも
出逢う大人達からの親切により、なんとか辿り着いてしまう。
彼は果たして実の母親に逢えるのでしょうか。。。
追手のマダムや用心棒とのバトルなどサスペンス要素もあり、
ただのお涙頂戴映画では終わっていないところも面白いです。
(この子、日本だったら日テレかTBSで活躍したかもな~^^;)
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