劇場公開日 2007年10月27日

「勿体ないです。」自虐の詩 ノリミッチーさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5勿体ないです。

2013年8月25日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波

泣ける

笑える

楽しい

ある一点が気になって、面白さ半減でした。

映画としては、役者さんに救われている部分が大きいな、と思います。
阿部寛さん演じる『葉山イサオ』は、まるでサイレント映画を見ているかのような寡黙ぶりで、楽しませてもらいました。
中谷美紀さんも、実在する人物かと見紛うぐらいの、幸薄い『森田幸江』を披露してくれました。
素晴らしかったです。

物語は、ありきたりで普通です。
それでも、コメディパートから、少しずつ夫婦愛に流れて行く構成は自然でした。

しかし、どうしても気になった点が一つありました。
それは、『葉山イサオ』の惚れたキッカケが、描かれていない事です。
そこはハッキリと見せて欲しかったです。
そうでないと、『森田幸江』に『葉山イサオ』がどうして惹かれるのか、人柄なのか生い立ちなのか、どちらか解らず感情移入が出来なかったからです。
何でもかんでも説明する映画も嫌ですけれど、そこを説明すれば、その後の二人の情報は断片的な方が面白いと思うのです。
足りない部分は、視聴者の脳内補正に任せておけるはずです。
イサオの変貌も、『世間の厳しさに打ちのめされたんだろうな』なんて想像で、私は楽しんで見ていました。

役者さんが良い演技をしているだけに、勿体ないと思います。

笑いの中でもホロッとしたい方にオススメです。

ノリミッチー
tyshiさんのコメント
2019年4月19日

『葉山イサオ』の惚れた理由を明確にしなかったのは、恋愛を哲学的にみて「恋愛に理由などない」と行った意味が込められているのでは?と感じました。幸せの定義はないことをテーマにしたこの映画独自の表現をうまく提示していたと思います。

tyshi