3時10分、決断のときのレビュー・感想・評価
全11件を表示
2人で走り出すまで退屈だった
正直、特筆する部分もなく50分以上が過ぎてしまった。連行される段取りになっても印象に残った部分がない。映像美を感じる場面もない。いい人クリスチャン・ベイル、悪い人ラッセル・クロウ。ただ、それだけで進んでいった。まぁベン・フォスターの悪役ぶりはクセ者感あって、主役の2人より最後までインパクトあったかな。嫌な役が似合いますね。
稼ぎは悪いが真面目に生きるC.ベイルと、強盗殺人で大金を得てきたR.クロウ。生き方が逆で「それなのに借金かよ。俺なら(妻に)家事させねぇで楽に暮らせるようしてやるぜ」と挑発する場面は、現代にも通ずる。コツコツ真面目に働くのとギャンブルや怪しい仕事して一獲千金を求める生き方と捉えられるけど、肝心の映画が面白くないまま進んでいく。
中盤になっても
・いい人すぎるC.ベイルにイライラ
・意気盛んな息子が心配
・嫌味ばかり言われ崖に放り出されて死んじゃったオジさんは気の毒 → 言い返したい気持ちはよくわかるが相手が悪かった。「そんな...あんまりだよ~。これじゃ若い人の力には勝てない」それしか感想がなく何かすごく後味が悪い場面だった。
クライマックスへ、汽車に乗せるため二人で走って向うシーンは緊迫感あります。「ベン・フォスター軍団」だけではなく、金に目がくらんだ一般人にも標的にされ、ようやくファイトを出すC.ベイル。心に引っかかる葛藤を克服するため、走りながら殻を破ろうとしているように見える。過去戦争で味方に撃たれて負傷した「屈辱の片足」を引きずってでも走る。それは息子にいい所を見せるだけでなく、自分に対し「俺だってやり遂げた」心の勲章を実感するために!
けど、R.クロウを乗せた時は撃たれると容易に想像できる場面だったなぁ。
R.クロウは良心を捨てなかった点が「◎」だったので、もっと二人が理解しあえるシーンが沢山あった方がラストが活きたように思いました。
3時10分に汽車が到着してない部分は「仕方ない」「おいおい白ける」「ギリギリ間に合う展開だったらいいのに」等々、色んなこと考えてしまった。
気に入ったらオリジナルも探そうと思いましたが、残念ながら今作だけでおなか一杯になりました。
父が見せたい背中
まずこの思わせ振りな邦題が良いね。1950年代の初作でこれを決めた配給会社に拍手。原題のユマ行はイマイチだから、護送列車ぐらいにしそうなもんだけど。
主演のお二人はいままでの役柄から逆じゃないと思わせる。善人が似合うラッセル・クロウと、怪しい二枚目のクリスチャン・ベールだもんな。物語が進むとなるほど。名誉の負傷はそうでもなく、次男の病もあり、牧場主が人生に悩み苦悩する本音を打ち明けられ、ボスは協力する気になったか? 脱獄の自信もあり、もはやミッション達成して父親復権を助ける。ここで主役は完全に逆転。妙な絆の2人と長男の危なっかしい協力も絡み、物語はテンポ良く進む。
男親は特に息子に強く正しい父親を見せたい。これは万国共通で時代も関係ない。牧場主のやや見栄っ張りの意地らしい姿に共感を覚えるお父さんの一人として、なんだか心地よさも。
ガトリング銃を装備し、完全武装
ダン(ベイル)の一家。いきなり馬小屋に火を放たれ炎上する。借金のカタに牛まで取られてしまったのだ。ダンは戦争で片足を失い、もっと悪ければ年金ももらえてたのになどと嘆く・・・
リメイク版の駅馬車はちょっと様子が違う。ガトリング銃を装備し、完全武装しているのだ。襲われたときには4人のベンの手下を殺している。こりゃ銃撃戦になっても正当防衛てのがどうなるのか・・・と、保安官が正当な裁判でベン・ウェイド(クロウ)を裁くなんて台詞もないし、とにかく悪い奴だったんだと思わせる。グレン・フォードとラッセル・クロウ。一見していい人に見えるという点ではグレン・フォードの勝ちだ(笑)。そして、このリメイク版は人がかなり殺されてる。
冒頭からダンの息子たちがかなりクローズアップされてるのも事実。特に14歳の長男ウィリアムは勝気で勇ましい。
オリジナルでは描かれてなかった、ダンの家からコンテンションまでの道のりをかなり詳細に描いていて、護送に同行するのは、バイロン(なんと、ピーター・フォンダ)という賞金稼ぎと彼の怪我を治した医者(実は獣医)が追加されていた。しかも、その追加の二人も命を落とし、おまけにベンが暴れたときにダンの息子ウィリアムが助けに入るのだ。凄いぞ!少年。しかもドッジシティの売春婦の話に生唾を飲み込むほどお年頃・・・彼の存在があるため、今回はアリスがコンテンションまでやってこないのね(あれは意味なかったようにも思う)。
それにしてもベンの凶悪ぶりはバイロンだけでなくタッカーも殺してしまったことに表れている。それもフォークでめった刺しにして・・・なんだかホラー映画風味だったりもする。そのタッカーはダンの家に火を放った張本人!そして、手錠を切るために一旦は逃げ出したベン。護送の一行が乗る馬をも盗んで、中国人が働く鉱山に入るが、そこではベンを仇として憎む奴もいて、拷問されていた。護送団がようやく鉱山にたどり着いて、ベンを救い、鉱山を逃げ出すという展開。その直前にはアパッチのくだりもあったりするが、インディアン蔑視のため衰退した西部劇へのアンチテーゼなのかもしれない。
コンテンションのホテルに到着し、ベンがダンを多額の金で誘惑。金の魅力にどんどん汗を噴き出すところも演出・演技が優れていた。そして、息子ウィリアムの存在が大きくなり、息子たちに蔑まれた目で見られた父親の名誉回復といったテーマの比重が大きくなる。悪を野放しにできないと言ってた台詞も、ベンに「頑固者!」と言われてようやく重たい口を開き、次男マークが結核にかかり、乾燥した土地でしか生きられないとか告白を始める。短い時間の間にベンのダンに対する友情が芽生え、手下の人数がどんどん膨れ上がるのに、自分も協力して駅へと向かうのだ。
激しい銃撃戦を潜り抜け自ら囚人用の車両に飛び乗ったベン。そこへ残忍なチャーリー(ベン・フォスター)を筆頭にダンの前に立ちはだかる。ベンの「やめろ!」と制止する言葉にも耳を貸さず、ダンを射殺・・・オリジナルと全く違う、涙なしでは見られない展開となった。「俺には誇れることが一つもない」との最期の言葉。列車まで護送するという名誉をこの男に与えてやらねば自分の男がすたる。何しろ、ウィリアムがずっと睨みつけているのだ。そして、ベンは自らの銃で仲間を全員撃ち殺してしまうのだ。ウィリアムは銃口をベンに向ける。が、撃たなかった。うん、これじゃなきゃいけない。ウィリアムが撃ってしまうと、彼の人生も変わってしまうはずだ。撃たれなかった・・・だからこそ自らもう一度檻の中へと戻ったベン。このシークエンス最高!全く違った結末だったけど、オリジナルを完全に超えた。
倫理とか善悪とか、越えた先にあるもの
ぶっちゃけ言って展開的に訳わかんないですよ
何で急にベンが協力したのか、忠実な重宝する部下を撃ち殺したのか
本人たちにも分かってないではないでしょうかね?
でも極限の中で男達は分かりあったんではないでしょうか?
男ってのは”プライド”ってのがないと生きていけないんですよ
えぇ、わかってます。ちっぽけですよ。ほんとにちっぽけ。
でもそのプライドがあるからどんなクソ野郎に身を落としても
生きようという意思が生まれるわけです。
女性には分かんないでしょうね。しょうがないです。
でも男ってそういう生き物なんです。
本作はそんな”プライド”にこだわった上質な漢の映画だと思います。
ベンの決断に勝手な解釈をくわえてみた
勝手な解釈だけど、ベンがダンに協力し始めたのにはちゃんと理由があったのだと思う。
ベンが積極的に汽車に向かうのは、ダンが誇れるものがない、と言うことを語った後なので、ベンは誇れるものが何もないと言うとこの苦しみを誰より知っていたのかもしれない。そしてベンは2度も脱獄していることから今回も脱獄できるという自身があった上でユマに向かおうとしていたと思う。
チャーリーを打つ前に銃についていたキリストを見たことから誇れるものが何もない苦痛を知っていたと解釈してもいいと思う。
ベンは幼い頃聖書とともに母に置き去りにされているので、あの瞬間そのことを思い出したのではないだろうか
だがベン自身母を恨んでいる様子はなく、幼少期全てを失ったのに、原因である母を恨めなかったという苦痛があったのかも。
と、わかりにくい上かってすぎる解釈をしてみました。
全体の感想としては、西部劇はあまりみたことがないので、どこを楽しめばいいのかわからなかったけれど、ガンさばき等々すごく格好良かったです
ラッセルが演じた中でベンが最も格好良いとおもいます。
主人公の二人はかっこいいけど、物語の展開は理解できない
総合70点 ( ストーリー:50点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
元の作品である「決断の3時10分」があまりにお目出度くてかなりひどい作品だったので、これをわざわざ再映画化したらどうなるのだろうか。そんなことを思いながら観ていた。しかし今作品は全く生き様の違う二人を演じたクリスチャン・ベールとラッセル・クロウの演技と存在感が良かったし、クロウの部下といった脇役も良く、演出も悪くなくて途中まではそこそこに面白かった。
しかし元の作品同様にやはりよくわからないのが、今まで凶悪犯罪を重ねてきたクロウは、何故突然に自ら破滅の道を選んだのかということ。逃げようと思えばいつでも逃げられただろうに、わざわざ苦労して自分から縛り首にされに行くというのが理解できない。しかも命懸けで自分を助けに来た部下たちを殺してまで自らを殺す道を選ぶというのが理解できない。クリスチャン・ベールと知り合ってから短期間に、凶悪犯罪者であった彼を変えたものはなんなのだろうか。「決断の3時10分」よりはだいぶん理由をつけてきたが、それでも彼の過去と行動を目のあたりにしたというだけでは説得力が弱すぎて、無理やりまとめたという印象ばかりが残りすっきりしない。
やはりウエスタンは良い
ジェイムズ・マンゴールドの演出は常に骨太で歯ごたえはあれど味は薄い。脚本家としても同じ。でも、今回は脚本は『ウォンテッド』のコンビに任せて演出に専念した。これがアタリ。演出はウエスタンの骨太世界に凄くマッチしており、話のツイストも効いている。それぞれの人物像も全く不可解なところが無く(息子や鉄道会社の描写に感心した)、これぞ大人の男の世界だ。
クロウはカリスマティックで危険な悪党を好演している。ベイルの切実な演技も良い。ベン・フォスター、体の動きでキャラクター(冷酷で神経質)を示している。ピーター・フォンダ、異様な迫力だが勿体ない使い方。
いや、やっぱウエスタン良いわ。
全11件を表示