劇場公開日 2007年9月8日

「目を閉じていたら見ることを忘れてしまいそう」ミルコのひかり kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0目を閉じていたら見ることを忘れてしまいそう

2020年12月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 テープレコーダーに興味を持って、何でも録音してしまう・・・自分が10代の頃にやってたことと同じだ。などと、不思議と懐かしさまで感じてしまいましたが、純粋さでは負けている自分に気がつく。ミルコは目が見えないから素晴らしい音響編集ができたんじゃなく、音が与えてくれる直観力や想像力を信じていたからだろうな・・・

 実話を元にしたドラマ。実際に『輝ける青春』などの映画でサウンドデザイナーとして活躍するミルコ・メンカッチの少年時代を描いています。不慮の事故で視力を失ったトスカーナに住む10歳の少年ミルコ(ルカ・カプリオッティ)がジェノヴァの全寮制盲学校に寄宿することになった。わずかながら視力が残されていたせいもあって、学校には馴染めず、ある日古いテープレコーダーを見つけたことから録音マニアぶりを発揮。管理人の娘フランチェスカも手伝って音だけのドラマを作り始めた・・・

 風の音、指を叩く音、等々繰り返し録音し、テープカッティングまでやってのける。点字の定規なんかを使って作業する光景なんて微笑ましくもあり、ここにも古いしきたりに反発する気持ち表れていた。もともとミルコは映画が好きな少年であり、生まれながらにして目の見えない同級生にも映画の魅力を教えてあげるほどなのです。事故の前には『続・荒野の用心棒』を観ているし、同級生たちとはコメディ映画を楽しんでいた。35歳で学校に入学した金庫破り・・・タイトルが思い出せないけど、面白そう~

 1975年までは盲人は一般の学校に入れなかったという社会的背景もあって、クライマックスの音の舞台劇よりもデモ隊を学校前に集めたシーンに力が入ってたようにも思えます。感動を与えてくれるのはミルコではなくジュリオ神父だった!というサプライズ(と感じた)があったのです(その前のおばちゃんの助言もよかったのだ)。もちろん一番泣けたのは故郷に帰ってからでしたけど・・・

【2008年2月映画館にて】

kossy