エディット・ピアフ 愛の讃歌のレビュー・感想・評価
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ピアフの翳
ピアフの曲は幾つか知っているが、彼女についてはほとんど知らない。
きっと私だけでなく、ほとんどの日本人がそうだろう。
だから、彼女の野卑にも感じられる行動をこの映画で見て、
どうして側近の人々が彼女に尽くすのかが見えてこなかった。
きっと畏れずに自分をさらけ出せる強さと、
親しみやすくコケティッシュな魅力を持った可愛い女性だったのだろう。
そして圧倒的な声量と天才的歌唱力でフランス国民をはじめ、
全世界の人々を魅了していったのだろう。
マリオン・コティヤールの演技は素晴らしく、かつ凄まじく、
部分的には引き込まれる演出もあったが、
ピアフの人間的魅力が描ききれてないように感じた。
感情移入を妨げる複雑な時系列と、
彼女の明るい面があまり描かれていない事にもよるのだろう。
演技は圧巻!
マリオン・コティヤールがすごすぎ
エディット・ピアフという日本でも有名な「愛の賛歌」とかを歌っていたシャンソン・シンガーの自伝映画ですが、正直、私にはなじみのない人です。でもフランスでは国民的歌手ということで、今でもレコードが売れ続けているんだとか。日本だと美空ひばりとかみたいな感じなんでしょうかね。
映画のほうは、そのエディット・ピアフの波乱万丈の人生を描いたものなんですが、なんといってもMarion Cotillardという女優さんの演技が圧巻です。まじで。昨年、ジェニファー・ハドソンの演技というか迫力に圧倒されましたが、この女優さんの若年から老年まで全てを演じきる迫力に圧倒されました。いや、本当にすごいです。人間てすごいなー。外国語(フランス)映画なのに、オスカーの主演女優賞!!
ぜひ大会に!
時系列がバラバラなのが裏目に
シマウマとライオンが抱き合ってるパチンコのCMの曲が、実はあんなに壮絶な人生を送った人の歌だったなんて!
そんなピアフを熱演したマリオン・コティヤールは、言うまでもなく素晴らしい。どうやったらあんなに老けられるのかっていうぐらい、晩年の老女のような姿にはショックを受けた。
勿体なかったのはバラバラの時系列。場面が変わる度に、「今のシーンはピアフの顔がシワシワだから晩年か」「こっちのシーンはまだ20代ぐらいか」といちいち登場人物を見て判断しないと話を追っていけないので、見ていて面倒だし感動も半減した。
どうやら監督はあえてそういう描き方をしたらしいけど、絶対裏目に出たと思う。役者が素晴らしかっただけに残念だなぁ。
愛と歌で駆け抜けた生涯。
両親のその後を筆頭に,
あらゆるドラマが中途半端。
素行の悪いピアフを好きにもなれず,
時間の長さを感じて退屈を覚えはじめた時に訪れる
白眉の演出で描くの訃報のあたりから,
気持ちを理解できるようになり,
人生を反映させた感情を歌詞にのせて
歌い上げる音楽の数々が彼女の姿に溶け込む
終盤の濃密なドラマの感動に泣いてしまった。
過去と現在を交差させながらも,
ややこしく感じさせず,
ジンワリと余韻を植え付けてゆく構成も見事。
そして何よりも主演のマリオン・コティヤールが素晴らしい。
人間的魅力を持つエディット・ピアフの短い生涯の
歩んできた過去を年輪のように顔に刻み,
姿だけで,バックボーンを想像させる熱演に拍手。
渾身とは,まさにこの事。
50点
主人公の演技はプロフェッショナルで完全に本人のようでした。
モデルが実在する人物で比較対象できるだけに彼女の演技力の高さが見受けられました。
唯、個人の演技力がずば抜けているのに、演出や編集が付いてこない感じがしました。
ステレオタイプでまとめる「フランス人」が作った映画でしたと言うのが率直な意見です。監督の自己主張が目立った気がします。
観る前にエディットピアフや映画の見所、このサイトのレビュー等を勉強・参考したので、まだ感情移入できる点がありましたが、何も知らないで観た彼女や見終わった後の観客の言葉をダンボにして聞くと「訳わかんなかったね」と言った言葉を多く聞きました。
非常に期待していただけに、そこ至る映画ではなかったのが残念です。
観客の期待に応えてこそ映画だと思うのは僕だけですかね。
ラ・マルセイエーズに心酔。
ひたすら重く胸に迫るピアフの不幸人生
意外と重い
ピアフの人生の切り取り方はこれで?
マリア・カラス、ビリー・ホリディ、美空ひばり。ジャンルは違えど歌姫の波瀾の生涯は“白鳥の歌(遺作)”とともに記憶に残る。シャンソン歌手ピアフの栄光と挫折を丹念につむいだオリヴィエ・アダンの演出は冷徹なまでに彼女の“美醜”を露わにする。主演のマリオン・コティアールの化けっぷりに驚嘆だ。日本が誇る永田鉄男のカメラに注目。 最愛の男を失った悲しみを込めて歌う「愛の讃歌」や、自分の過去を後悔していないと歌う“白鳥の歌”「水に流して」の歌詞が胸に沁みる(ひばりの「川の流れのように」のように!)。
だが、ピアフの人生を描く時、はたしてこれでいいのか? という疑問が湧く。晩年のピアフはまるで「道」のジュリエッタ・マシーナのような道化顔(ピエロ)だ。醜すぎるのだ。脚本の構成上、“影”の部分にばかり目を向けて、2時間20分は長すぎる。陰々滅々とした話にしか感じられない。“ハレ(光)”の部分が少ないのが原因だろう。「私の回転木馬」のような快調なシャンソンをもっと入れて、全盛期を輝かせるべきではなかったか。ピアフの人生ならば、3時間でも短いぐらいだもの。
マーティン・スコセッシ監督だって伝記映画を描くのに、成功と失敗はある。ジェイク・ラモッタを描いた『レイジング・ブル』ではボクサー時代と晩年だけに絞って中間をすっ飛ばした。ハワード・ヒューズを描いた『アビエイター』では少年期と後半生を削った。
この映画はとてつもなく素晴らしい題材(ピアフ)だが、“光”が弱く“影”が際立ってこないのが、とても惜しい。
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