劇場公開日 2007年8月18日

「【中国経済成長を代表する三峡ダム建設により、人生を狂わされた人々の姿を描く。現代中国で、この作品は上映されることを許可されたのだろうか・・。】」長江哀歌(エレジー) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【中国経済成長を代表する三峡ダム建設により、人生を狂わされた人々の姿を描く。現代中国で、この作品は上映されることを許可されたのだろうか・・。】

2022年10月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■長江の景勝地・三峡の畔にある古都・奉節は、ダム建設によって水没することが決まっている。
 別れた妻子を探す炭鉱夫・サンミンは、16年振りに故郷を訪れ、妻子が住んでいた場所がすでに水没したことを知る。
 一方、音信不通の夫を探すシェン・ホンは、夫の工場を訪ねるが…。

◆感想

・三峡ダム建設により、中国は莫大な電力を確保した事は、周知の事実である。日本で言えば、黒4ダムの様な位置づけであろう。

・今作では、三峡ダム建設を賞賛する訳でもなく、淡々と建設により家族と引き裂かれた人々の姿を描き出している。
ー 現代の中国でこの作品は上映出来たであろうか・・。つい最近も、何の理由もなく上映中止に至った作品が4作もある。-

<今作では、若き名匠、ジャ・ジャンクー監督が、ダム建設で水没する古都を舞台に人間の生の瞬きを描き出す。たばこ、酒、茶、あめという中国人に大切な4つの品を題したパートで構成されている作品である。>

■優れた映画監督がいる国で、映画製作、公開が困難な国が複数ある。
 一つは中国であり、もう一つはイランである。中国では、チャン・イーモウ監督が上手く立ち回っているが、イランはアッバス・キアロミスタという名監督がいるにもかかわらず、ジャファール・パナヒ監督は「これは映画ではない」などを公開しつつ、頑張って良作を発表している。
 映画は、娯楽であるが、その国の文化度を表すモノであると私は思っている。
 今作は、そのような意味でも重要な作品であると、私は思うのである。>

NOBU
KENZO一級建築士事務所さんのコメント
2022年10月15日

 NOBUさんへ
何もかも共感するばかりのコメントを頂きまして大変恐縮いたしております。
小生、若い頃は、建築的にも魅力多い国でしたので、北京・上海・蘇州・香港と旅行いたしましたが、今後は中国を訪れることはないかと思います。スマホを調べられて逮捕されるのもいやなので。天安門事件の時が中国が変われる最後のチャンスだったと思うと残念に思います。

KENZO一級建築士事務所
KENZO一級建築士事務所さんのコメント
2022年10月14日

 NOBUさんへ
同じ観点での共感や新しい気付きを頂きありがとうございました。
本当に有能な才能が発揮出来ないままになっていないか心配です。それは人類の損失ですものね。
今後共、NOBUさんのレビューを楽しみにいたしております。

KENZO一級建築士事務所