「果てなく続くハッピーなダンスと唄」ヘアスプレー The Dudeさんの映画レビュー(感想・評価)
果てなく続くハッピーなダンスと唄
ミュージカル映画は苦手だ。映画館で唄とダンスを観ていたら何故か眠くなる。大体、昨今ブロードウェイ作品の映画化が続いているが、どれも大抵ろくでもない。
『ヘアスプレー』は、そんな苦手意識を根底から吹っ飛ばす。出だしから変質者ジョン・ウォーターズ出現だもの。これではノれないわけがない。それからも間髪置かずに曲が流れるが、どれも耳障りが良く体が踊る。マーク・シェイマンという人の曲作りに屈服した感じだ。エンドタイトルのオリジナル曲"Come So Far"もいい感じ。ついでに誰がデザインしたか、エンドタイトルも見心地良い。
これを作った監督アダム・シャンクマンが振付師とは知らんだ。コメディの雇われ監督くらいのイメージしかなかったが、舞台のプロとしての頑張りを称えたい。最近のミュージカルは唄・ダンスの垂れ流しか、細かいカット割りのごまかし(『シカゴ』とか)が多かった。シャンクマンは、じっくりと唄・ダンスを見せ、ほどよいところでカットを入れる。実に誠実で緩急のある見せ方であり、私でも十分楽しめた。美術・撮影にも手抜かりないのもGOOD。
役者については箇条書きにて…
・ブロンスキー…凄いタマの新人。後半ちょっと喰われた感も。
・トラヴォルタ…もう少しじっくりした見せ場があれば完璧。
・ウォーケン…流石ダンスが上手い。あり得ぬ好キャスティング。
・ファイファー…復活。程良い悪女ぶりが良い。やはり美人。
・バインズ…斜めからの表情が可愛らしい。存在感あり。
・マースデン…これは凄い。白い歯とステップのインパクト強烈。
4パートも続きながらも勢い止まらぬ"You Can't Stop the Beat"。トラヴォルタ&クリス・ウォーケンの夫婦ぶりに初め笑い、後に涙な"Timeless to Me"。この映画のハッピーな余韻は未だに残っている。是非もう一度楽しみたいもんだが、じっと座って観ているのは勿体ない。「踊れる映画館」というのはないものか。