劇場公開日 2007年9月15日

「逃げるで!」包帯クラブ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0逃げるで!

2018年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 他人の痛みを知ること。世界中の人々ができたなら、イジメや暴力、そして戦争なんて起こるはずもない。奇想天外なことをするディノこと井出埜辰耶(柳楽優弥)は、周りから見ると単なる“不良”という言葉で片付けられてしまう高校生。彼なりの“他人の痛みを知る”努力は、そのまま優しさと思いやりに繋がっているのです。その難しい役をこなした柳楽くん、大木こだまのようにだみ声の関西弁がとても強烈!下手な関西弁という設定なので、それがとても自然に感じてしまう。

 女4人、男2人のグループ、彼らそれぞれの心の傷も描かれている。それが人間には誰にでも心の傷があるものだと気づかせてくれる。また、ボランティアのように人助けをしているつもりが、それによって傷つく人もいるんだとバランスよく反証材料も与えてくれるし、社会的な意味で現実の厳しさをも教えてくれるのです。包帯という突飛な発想ではあるけど、様々な可能性を考えてある内容だったように思います。

 難民問題や中東の戦争をも想像させられる内容だったし、いじめや自殺、児童虐待、それに勝ち組・負け組などといった社会問題をもさらりと取り上げている。単純な青春ものとは一味違った映画でした。石原さとみも等身大の演技だったし、やっぱり柳楽優弥の上手さなんでしょう・・・象とかキャラメルとかではがっかりさせられたのですが・・・

 「逃げるで!」と公共物に包帯を巻いたら、写真を撮って後はほったらかし。罪の意識は全くない純粋な高校生たち。建造物等損壊罪などが考えられそうだけど、容易に取り外すことができるので多分当てはまらない。高崎市はどうなのかわからないけど、条例によって美観を損ねる云々の罪を問われるのかもしれない。写真を撮ったのなら、はずしましょうよ・・・

kossy