「めっけもん。」包帯クラブ いきいきさんの映画レビュー(感想・評価)
めっけもん。
「包帯一本巻いて世界が変わったらめっけもんやん」
心に傷を負った人々の声をネットで募り、
その原因となった場所に包帯を巻いて、写真を撮り送ってあげ、
癒してあげようという、包帯クラブ。
包帯を巻いたぐらいで癒されるわけないだろう、と言う人の方が、
偽善だと言ってしまうような人の方が、
意外にこの作品を めっけもん と思ってしまうかもしれない。
その辺のドラッグストアで買った普通の包帯なので、
もちろん包帯自体には心を癒す効果なんてない。
クラブの面々が傷を負った人々のことを彼らなりに考え、
どんな風に包帯を巻けばいいか、どんなアングルで撮ればいいか、
その小さな行いが、浅い傷にも、深い傷にも、
人に言えない傷を抱えた人々の為に考えていることが伝わり、
他人の彼らが自分たちの為になって動いてくれていることが、
少しでも傷を和らげてくれる手助けになっていき、
クラブの面々自身も抱えていた傷を癒していこうとする。
ディノ(柳楽優弥)が巻いた包帯を見てワラ(石原さとみ)が感じたように、
ワラが巻いた包帯を見てタンシオ(貫地谷しほり)が感じたように、
僕が何かを感じれたかというと、映像にそこまでの力は感じなかったが、
何か行動を起こせば上手くいかないこともあり、
乗り越えようとする姿に、若々しい眩しさに、おっさんは涙する。
堤幸彦監督の トリック や 大帝の剣 での分かりやすいらしさは、
エキストラの使い方や、押さえ気味の画面の揺れで感じられる程度で、
どちらかと言えば 明日の記憶 よりの演出で、
若々しさを活かすほうには働いていて、
明日の記憶 は渡辺謙さんの力が大きかっただけではないんだな、
と思ってしまった。
下手な関西弁で、奇行を繰り返すディノを演じた柳楽優弥は、
傷を負った少年を大げさに演じ、
しかし何か抱えていることを感じさせてくれ、
ワラを演じた石原さとみとのコンビも絶妙で、
この作品がただただ暗くなってしまわない雰囲気を作り上げていて、
終盤の展開には監督のセンスもあって、すごくよかった。
今は ちりとてちん の若狭にしか見えないけど、
貫地谷しほりも明るくしてくれていてよかった。
僕には めっけもん でした。