「“ゆるゆる”だけではない、哀愁漂う一品」転々 ダース平太さんの映画レビュー(感想・評価)
“ゆるゆる”だけではない、哀愁漂う一品
クリックして本文を読む
「時効警察」の三木監督が、藤田宜永の原作を換骨奪胎して作り上げた本作は、ゆるネタ中心で構成されていたこれまでの作品と少し毛色が違う、どことなく哀愁漂うロードムービー。
原作はストリッパーの元恋人に恋い焦がれる主人公が、再び彼女を求めんと逡巡し、借金取りの福原とともに東京を彷徨う様を丁寧に描いているが、映画では主人公の元恋人に関するエピソードはバッサリとカットされ、三木監督お得意のゆるネタと東京の街を彷徨う男2人のドラマが絶妙のバランスで積み上げられた一品に仕上がっている。おそらく三木監督が、これだけ“物語る”ことを意識した作品は初めてなんじゃないだろうか? 今度、三木監督がどんな作品を作るか楽しみだ。
また、消えゆく東京の町並みを捉えた風景もまた魅力。映画を観ると、東京の街を散歩したくなること請け合いだ。
コメントする