夕凪の街 桜の国のレビュー・感想・評価
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原作にない場面や過剰演出で興醒め
2018年に川栄李奈・常盤貴子のW主演で放送されたテレビドラマ版の方が、原作に寄り添った脚本で、主人公の哀れさが伝わってきた。
映画版の本作はドラマの10年前の作品。原作と異なる演出で、悲劇感を誇張しており、要らない部分が多すぎた。
主人公ミナミとウチコシさんのほのかな恋が実るかと思った矢先の悲劇。
原作でのこの2人の別れの描写は切なくて、読者の想像力をかき立てるものだった。
あっという間に別れがきてしまうのは原作に忠実なのだから、仕方がない。無理に引き延ばそうとしないでほしかった。
映画版は、原作にないものを作りすぎていて、想像もさせずに見せるばかり。過剰演出にかえって興醒めした。
麻生久美子、吉沢悠、藤村志保のキャスティングがすてきだっただけに、もったいなかった。
満点評価にならなかった理由は、漫画を超えるには至らなかったから。 ...
今でも続いている‥
広島に原爆投下された爪痕!! 私は幸せになっちゃいけんのか?
昭和33年、戦争のあと、母親と平和に暮らしていた皆実。
あれから、10年の月日が経っても
心と体の傷は癒えないでいた事実。
皆実にそっと手を添え、包み込む愛情を
くれた打越。
川に石を投げる、『水切り』をする男性の姿は
新鮮なものに出会えた!
もっと貴方を知りたいと言う潜在的な感覚を感じました。
白地に茜色の金魚の刺繍がされたハンカチーフ𓆛
もっと生きたいと思いながら散っていく生命に儚さを感じました。
夕凪や瀬尻の性や水つよし
平成19年になって皆実の弟である旭が
時が現代になっても、亡くなった姉の皆実を
思いながら、生きている場面は過去の出来事
である戦争を風化させてはならないと
思いました。
広島に赴く旭は娘の七波に姉の皆実の若き日の姿を見ていました。
七波が自分が生まれてきた由来を知るシーン
は、海の波が押し寄せるように
想いを巡らせる気持ちになるストーリーでした。
たぶん原作を知らなければ
人生ベスト10に入れたい。
大感激😭😭
原爆を扱った映画では最初で最後くらいの完成度ではないか。最初から最後まで涙がとまらない。
麻生久美子と田中麗奈はこの映画がベストワンになるんでは?
細やかな顔の表情の変化やしぐさ、本当に素晴らしい演技でした。
麻生久美子が、私は生きていていいの?
生きていてくれてありがとう。彼氏の言葉の重み。
麻生久美子、原爆は落ちたんじゃないよ、落とされたんだよ。
私が何年も経って殺された。
殺せて良かったと思ってるかな。
悲しいけどすごい真理。
堺正章を尾行した田中麗奈と中越典子良かったね。被爆したおばあちゃん、息子(弟)と被爆した妻にその娘と息子。3代にわたり引き継がれたものかだりの深みに感動しかない。優しい。優しさに溢れている。
そして深い深い悲しみ。何回も泣きました。差別。痛み。親子愛、恋愛、兄弟愛、人間愛。
これがヒューマニズムだ。ヒューマニズムをひしひしと感じられる作品だ。
人間が人間らしくいかなくて、人間が人間らしく扱われない社会は破綻している。
日本人はもれなくこの映画はみたいな。
見るべき。被爆した国として。
目を背けないで見ないと。
素晴らしい。大感激しました。
夕凪と桜の意味
忘れたふりしてきただけかな
そんなことしたって、無かった事にできるわけじゃないのにね
この言葉が心に強く残りました
つらい記憶だから思いだしたくない
だけど忘れてはいけないこと
たとえ忘れた気になっていても、それは本当にあったこと
たとえこの事を知らなくても、それは確かにあったこと
その時、その街で、幸せに暮らしていた人々がどうなったのか
その時はその一瞬でさえなく、後から追いかけてさえくることを
世代を超えて伝えていかないとならないことです
夕凪が終わるまで、風は吹きません
まるで時が止まったような
それが夕凪
いつまでも記憶の中で、どんよりと止まった時間
それが夕凪の街
団地のある街はおばあちゃんと母が死んだ街
夕凪が止まって風が吹き出したから
二人は死んで、自分は生まれた
桜は平和の象徴
風が吹きはじめて、時は流れていく
桜吹雪のように記憶も散って行く
それは街だけ?
それは戦後の日本ぜんぶのこと
だから街ではなくて、桜の国
桜吹雪が吹いています
もう葉桜のようになっているのかもしれません
私達は毎年花見で満開の花見をするように、あの原爆忌の日くらいは、あの日あの時何があって、どうなったのか、それからもどう苦しんできたのか
満開の桜の花ように、その記憶をたくさん、いっぱい自分のものにしないとならないと思いました
毎年桜祭りがあるように、永遠に続けていがないとならないことです
藤村志保のおばあちゃんが素晴らしい存在感でした
特に皆実と打越との結婚を期待して暖かく見守っていたフジミが、皆実が原爆症で儚く死んだこととで、旭と京花徒の結婚に強く反対するシーンの激しい悲しみの重さは心を打ちました
それを乗り越えて七海は生まれてきたのですから
今では『この世界の片隅で』が有名ですが
閣僚による「原爆投下しょうがない」発言が世間を賑わせた今夏(2007)。さらに原爆症認定問題もクローズアップされているなか、素晴らしい映画が登場したように思う。
それでも、避け続けていた被爆者団体との面会を急いだのは、内閣支持率低下を食い止めようとしただけなのが情けないところだ。科学的に因果関係を解明できてないという口実は、裏を返せばそれだけ核兵器には未知なる影響力が存在することを示しているのだし、逃げ口上そのものが核容認の本音をも感じさせてしまう。
被爆者の苦悩は物理的な苦痛だけではなく、伝染するというデマによって起こる差別も大きいことは、先日観た『ヒロシマナガサキ』でも明らかにされていました。その差別があるがために、自身が被爆者であることを言えない立場にしたり、自殺してしまう者も多かった。周りの人が皆死んでいるのに自分だけが幸せになることができない、死んだ人に申し訳ない・・・などと生き残った者の苦悩。『ヒロシマナガサキ』でも被爆者のそうした本音を知ることができたし、映画『父と暮らせば』でも心打たれたものだった。
原爆による直接被害を描いた作品は数多くあれど、生き残った被爆者をテーマにした映画はまだまだ少ないように思う。戦後生まれの日本人が人口の75%を超えた現在、原爆が投下された日も知らない若者がいることも嘆かわしい事実なのですが、原爆症認定率の低下にも驚かされるのです。長年の苦痛に耐え、被爆したことをも隠していた人が、症状が悪化してやっとの思いで申請したら却下されるのである。
映画はそうした政府や行政に対する怒りをぶつけるような内容ではなく、静かに叙情的に被爆者の心を描いたもの。ただ、前半「夕凪の街」では、「誰かに死ねばいいと思われた」とか「やった!また一人殺せた」などといった、今までにない戦争や原爆そのものを憎む直情的な言葉も登場するので、そのシーンでは心が痛む。また、原作漫画にはなかった防火用水への合掌や、悲惨な様子を描いた絵によって『ヒロシマナガサキ』をも思い出して涙を禁じえることができなかった。
二部構成となっている後半「桜の国」では、安らかに眠る死者への鎮魂の想いを感じさせられるのですが、現代に生きる被爆二世の差別や、生きていくことの力強さがじんわりと響いてくるのです。薄幸の女性を演じた麻生久美子とボーイッシュで現代っ子的な田中麗奈の対比もさることながら、ケロイドの傷痕を曝け出しても誰も口にしない銭湯の様子とピチピチお肌が眩いくらいのラブホのバスルームのシーンが絶妙なコントラストとなっていました。さらに、伯母の死や父が敢えて選択した被爆者との結婚を見て、七波が生まれてくる決意をしたという、世代を越えてもしっかりと融合する脚本もよかったです。
〈2007年8月映画館にて〉
ちょっと綺麗すぎ?
「この世界の片隅に」を知って、改めてDVDにて鑑賞。
リアルタイムにポスターは見ていたのかもしれないが・・・
当時は、なんだか説教くさそうな印象を持ってしまい、まったく情報収取すらしなかった。ただ、この映画を当時観て、原作漫画に行きつくかは微妙。
本作は原作のアニメ化より実写のほうがしっくりくる気もするが、少々綺麗すぎるようにも思う。
内容は悪くないと思うが、原爆についてもっと深く知ろうと言うほどの希求力には欠けている気もする。
まぁ、実際の映像を見せられてもちょっと引いてしまうのだが(それなりの心構えを持って見ないと)。
堺正章はどうなのかな~~~~~~と言う印象(ちょっと浮いている?)。原作の人物はもうちょっと頑固おやじ風にも見えるのだが。
2度目の奇跡‼︎
この世界の片隅に(映画)‥‥これが1度目の奇跡、同(原作)、夕凪の街 桜の国(原作)、同(DVD)という順番で鑑賞、読了しました。
この2ヶ月半、まだ行ったことのない広島なのにずっと旅をしている(場所も時間も自在に)気分のままですから、あっという間に作品世界に入り込んでしまいました。
従って、原作との比較やら、映像表現がどうか、みたいなお手並み拝見的な意識は全くなく、ただ原作と同じ世界を追体験するだけという、奇跡的に幸運な出会い方でこの映画を味わう事ができました。
麻生久美子さんの皆実さんは始めからこの人だったんじゃないか、というくらいイメージも合ってて、あの儚さや喪失感が目の前の現実のように思えて涙が止まりませんでした。
その他の出演者も恐らく全員、原作に惚れ込んで、その世界観を大切に慈しみ、愛おしんで、辛く切ないこともあるけれど、きちんと伝えていかなくては、という強い思いに溢れた中で作られた映画なのではないかと感じました。
関係するすべての方々に、心から、ありがとう、と申し上げます。
この世界の片隅に、のレビューでもたまに見かける『被害者の立場からしか描かれていない偏りのある映画』というニュアンスのコメントがありますが、そうでしょうか?
両作品とも、読了後、或いは鑑賞後に『我々日本人はなんて愚かな戦争をしたんだろう』という痛みが強く残ります。
近隣諸国に侵略戦争を仕掛け、あまりに無謀な対英米戦争まで始めた挙句、ヒロシマとナガサキの悲劇をまねいたことが、すずさんや皆実さんを通して否応なく想起させられます。
『暴力に屈するんかね』というすずさんの叫びには、他国を暴力で従わせ、自国民も暴力的に統制してきた国家が、より巨大な暴力の前にあまりに呆気無く崩壊するという、日本人にとってできれば見たくない不都合な真実が込められていると思います。作中の人物にとってはもちろんそこまで検証できる事実は知る由もなく、率直な感情の吐露ですが、そのような人達の人生を淡々と描くことで、とてつもなく愚かな加害者でもあった日本人の姿もあぶり出されていると私は思います。
原作もお勧めします
若干湿っぽい気がするが
知ることで,もう他人事ではない。
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