劇場公開日 2007年7月28日

「夕凪と桜の意味」夕凪の街 桜の国 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0夕凪と桜の意味

2020年7月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

忘れたふりしてきただけかな
そんなことしたって、無かった事にできるわけじゃないのにね

この言葉が心に強く残りました
つらい記憶だから思いだしたくない
だけど忘れてはいけないこと
たとえ忘れた気になっていても、それは本当にあったこと
たとえこの事を知らなくても、それは確かにあったこと
その時、その街で、幸せに暮らしていた人々がどうなったのか
その時はその一瞬でさえなく、後から追いかけてさえくることを

世代を超えて伝えていかないとならないことです

夕凪が終わるまで、風は吹きません
まるで時が止まったような
それが夕凪
いつまでも記憶の中で、どんよりと止まった時間
それが夕凪の街

団地のある街はおばあちゃんと母が死んだ街
夕凪が止まって風が吹き出したから
二人は死んで、自分は生まれた
桜は平和の象徴
風が吹きはじめて、時は流れていく
桜吹雪のように記憶も散って行く
それは街だけ?
それは戦後の日本ぜんぶのこと
だから街ではなくて、桜の国
桜吹雪が吹いています
もう葉桜のようになっているのかもしれません

私達は毎年花見で満開の花見をするように、あの原爆忌の日くらいは、あの日あの時何があって、どうなったのか、それからもどう苦しんできたのか
満開の桜の花ように、その記憶をたくさん、いっぱい自分のものにしないとならないと思いました

毎年桜祭りがあるように、永遠に続けていがないとならないことです

藤村志保のおばあちゃんが素晴らしい存在感でした
特に皆実と打越との結婚を期待して暖かく見守っていたフジミが、皆実が原爆症で儚く死んだこととで、旭と京花徒の結婚に強く反対するシーンの激しい悲しみの重さは心を打ちました
それを乗り越えて七海は生まれてきたのですから

あき240
れいすけ(休眠中)さんのコメント
2021年8月2日

私の気づかないところに沢山気づいていて、さらに映画の素晴らしさに触れました。夕凪はそんな意味が!

れいすけ(休眠中)