劇場公開日 2007年7月28日

「全部温かい物語」河童のクゥと夏休み 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0全部温かい物語

2021年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

プライムにあったので久々に観てみました。
河童との生活を描いたファンタジックなお話に見えますが、結構社会風刺な側面のある作品。
いじめの連鎖、過剰なマスコミの報道姿勢、理性をなくした人々の在り方。それらを子どもの目線で問いかけるようでした。
人間の醜さばかりが目立つ中、「おれを見つけたのがお前ぇ達で良かった」の言葉で救われる気持ちになれます。
それと、ありのままの描かれた子どもたちが昔の自分とも重なるようで、何だかとても懐かしく思えてくるんです。
多分舞台が自分の生まれ育った埼玉っていうのもあるんでしょう。
風景・鉄道・バスなどとても馴染みがありました。
声は職業声優でなく、これはとても良かったと思います。
特に子どもたちがぴったりで、妹のひとみはその生意気さも手伝ってとてもリアリティがありました。
若草 による楽曲も昭和っぽさも物語にぴったりでしたね。
何よりこの企画をずっと温め、途中諦めかけながらも何とか作り上げた原恵一監督の情熱が伝わって来ます。
物語の最初からその終わり方まで、ずっと子どもの発想そのままで不思議で一杯なんですが、それも含め全部温かい物語です。
やっぱり良い作品でした。

白波