劇場公開日 2007年9月15日

ミス・ポター : 映画評論・批評

2007年9月11日更新

2007年9月15日より日劇3ほかにてロードショー

ポターの才能とピュアな魂を愛する人たちが作った美しい水彩画の世界

ピーターラビットのお皿やカップは見たことがあるが、作者のビアトリクス・ポターのことはこの映画を見るまで何も知らなかった。そして、ビクトリア時代にこんな女性作家がいたのかと驚かされた。というのもポターは、作品の世界観はもちろん、恋愛、結婚、対人関係、生活環境、社会のあるべき姿に至るまで明確なイメージを持ち、頑固にそれにこだわっているからだ。完全にイメージを実現させるか、それがダメなら何もないほうを選ぶ。All or nothingだ。その姿勢は、最初の絵本の出版から、後年、湖水地方の開発に反対して土地を買い続けることまで一貫している。農民は土地を売って一息つき、中産階級は家を手に入れ、その時点では開発も悪くないと思いがちだが、100年後の今は、中途半端な開発が環境破壊の連鎖を呼ぶことが証明されてしまった。ポターは100年スパンで物を見る人間だったのか。

封建的なビクトリア時代、裕福な結婚だけが女の幸せと信じる母親に育てられた娘が、なぜこんなにも自意識が強く自由で自立した人間になったのか。この映画はポターの才能とピュアな魂を愛する人たちが作った美しい水彩画の世界だが、彼女の強いキャラクターが形成された過程をこそ見たかった。

(森山京子)

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