劇場公開日 2007年8月4日

怪談 : インタビュー

2007年8月6日更新

「ザ・リング2」でハリウッド・デビューを果たした中田秀夫監督が、三遊亭円朝の怪談噺「真景累ケ淵(しんけいかさねがふち)」を尾上菊之助、黒木瞳主演で映画化した大作時代劇「怪談」。実に5年ぶりの日本映画となる中田監督に、初めての時代劇に挑んだ心境、そしてハリウッドと日本の映画製作の違いなどについて語ってもらった。(聞き手:編集部)

中田秀夫監督インタビュー
「時代劇だと、人と人の間にある壁や情念がハッキリと浮かび上がるんです」

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――堂々たる大作時代劇でした。中田監督にとっても、国内で撮った映画としては最も大きな作品だったのではありませんか?

「そうですね。撮影期間を3カ月間とってもらったのも初めてだし、美術にしても、照明にしても、スタッフの数にしても、今まで僕が経験したことのない規模でした。やっぱり準備にきっちりと時間と手間をかければ、このようなクオリティになっていくんだなっていうのが分かりましたね。どうしても日本映画って、予算が限られているからか、時間に追われるんですよね。日々の撮影で、『今日これだけ撮らなければいけない』っていう『こなす』っていう感覚になってきてしまうんです。僕は気が小さいから、一日一日きちっと撮り上げていきたくて、ペース配分してしまうんですよ。本当は、もっとわがままに粘って撮ればいいところでも、『この辺だろう』っていう感じで割り切ってしまうんです。もちろん、延々と撮っているわけにいかないのも分かっているんですけどね。ただ、今回の作品でいうと、自分の中でOKを出すスタンダードをかなり上げることが出来たと思います」

日本映画を手掛けるのは5年ぶり 中田秀夫監督
日本映画を手掛けるのは5年ぶり 中田秀夫監督

――一瀬プロデューサーとの新作についての会話の中で、今回の原作である「真景累ケ淵」がパッと出てくるあたり、やはり時代物の怪談を撮りたいという思いはあったのでしょうか?

「(撮りたい気持ちは)、どこかであったと思います。20年ほど前に巣鴨で五街道雲助さんによる『豊志賀の死』を聴いたんですけど、それがゾクゾクっとするくらい怖かったのを強烈に覚えているんです。それで、時代劇で怪談をとなったときに、例えば『四谷怪談』だと、最近も深作(欣二)監督が『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(94)を作っているし、自分自身で武士の話にはあまり魅力を覚えなかったんです。それと、今までの自分のホラーだと、『リング』の貞子を筆頭に、正体が分からない『得体の知れない恐怖』を描いていましたが、今回は幽霊の正体が豊志賀という女性の情念というのがハッキリと分かってますよね。それが今までとは違うところだと思うんです。だから、この映画は『幽霊が怖い話』ではなく、『女が怖い話』なんです」

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インタビュー2 ~中田秀夫監督インタビュー(2)
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