明日、君がいないのレビュー・感想・評価
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リアル
人は独りぼっちでは、生きていけない。 この映画を観ると良くわかる。 1人でも本当の絆を結べる相手がいたなら。 彼女は積極的に、自ら手を差し伸べていたのに…。 監督も制作時、この映画の主人公達と同年代の若者だった筈。 大人に成りきれない、ぎりぎりの不安定な感じが、画面全体に漂ってる。 リアルさが凄い。
気づかない
人はみんなそれぞれ悩みを抱えていて、苦しくて誰にも相談できない。助けて欲しいのに助けてと言えない。学校内の誰かが自殺するシーンから物語が始まります。重い内容の話でしたが若い世代から親世代に是非観てほしい映画でした。この映画の当時の監督は19歳だったそうで驚きました。
完璧な流れ
この作品、見始めるところから鑑賞後までの流れが素晴らしいと思います。 まず、冒頭に誰かが自殺します。緊張感と共に僕の目は画面に釘付けになりました。そして、「自殺したのは一体誰なんだろう」という点が気になりつつそれ知りたさに、つまりミステリー的な楽しみを持ちつつそのまま6人それぞれのエピソードへ。この6人は各々非常に社会的な悩みを持っています。悩みの範囲は実に広範なので、中盤はそれについて、自分ならどうするか?など色々考えながら見てしまいました。しかしそれだけではないのがこの作品のすごいところで、2ヶ所ほどどんでん返しというか、「マジか…」となるような秘密が仕掛けてあるところがポイント高いです。この秘密があるので何も考えずに見てても面白いんじゃないですか。 これら大方の要素が出揃ったところで「さて、誰が死ぬんだろう」と考え始めます。「こいつは○○だしないな…。じゃあ、こいつ…?いや…」という風に。そうこうしている内にあのオチ。自分で辿り着ければ感動もひとしおですが、大抵の人は気になって結末の意味をググるんじゃないですか?僕もそうでした。そこで監督の素性や結末の意味を知り、心底納得し、なんて計算しつくされた作品なんだと思いました。 内容はあまり気分の良いものではありません。しかし、説教くさいセリフもなしに観客に物語を疑似体験させ、ここまで考えさせる手腕は本当に見事で、これぞ映画的感動だと感じました。内容は気味の良いものではありませんが、心から見て良かった。と思える作品です
卓抜した技巧で青春群像を
オーストラリアの新鋭ムラーリ・タルリ監督が、わずか19才で取り組んだという映画です。 友人を自殺で失い、その半年後に自らも自殺しかけたという実体験を元に、2年の歳月をかけて作り上げたといいます。 「自殺」というモチーフに関心があって観てきました。 6人の高校生のエピソードを、時間と視点を巧みに交錯させながら描いていきます。 インタビューを交えながらの語り口といい、伏線をふんだんに散りばめた構成といい、ダイナミックで流麗なカメラワークといい、とても映画制作が未経験だとは信じられない驚くべき技巧の作品です。 若いエネルギーで作ったというより、卓抜したテクニックで表現されています。 登場人物のうち自殺したのは誰なのかというサスペンスをからめ、舞台はほとんど学校のみという空間で少年たちの内面に迫ります。 同性愛や身体障害という苦悩を抱えた少年、成績優秀で小説や音楽の才能もある少年、女生徒にもてるスポーツマンなど、様々な個性を持った人物たちが互いに係わり合いながら話は展開していきます。 初めから自殺の動機をうかがわせる少年もいますが、何の悩みもないと思われた少年たちも、実は誰にも言えない秘密や葛藤、とんでもない問題などを抱え込んでいることが、次第にあぶり出されてくるのです。 決してあざとくない自然な演出も秀逸でした。 (ただラストシーンだけが、リアリズムに欠ける感があったのが残念です。) みずみずしくも生々しい青春の苦しみを、鮮烈に見せつけてくれた一作でした。
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