「完璧な流れ」明日、君がいない えらさんの映画レビュー(感想・評価)
完璧な流れ
この作品、見始めるところから鑑賞後までの流れが素晴らしいと思います。
まず、冒頭に誰かが自殺します。緊張感と共に僕の目は画面に釘付けになりました。そして、「自殺したのは一体誰なんだろう」という点が気になりつつそれ知りたさに、つまりミステリー的な楽しみを持ちつつそのまま6人それぞれのエピソードへ。この6人は各々非常に社会的な悩みを持っています。悩みの範囲は実に広範なので、中盤はそれについて、自分ならどうするか?など色々考えながら見てしまいました。しかしそれだけではないのがこの作品のすごいところで、2ヶ所ほどどんでん返しというか、「マジか…」となるような秘密が仕掛けてあるところがポイント高いです。この秘密があるので何も考えずに見てても面白いんじゃないですか。
これら大方の要素が出揃ったところで「さて、誰が死ぬんだろう」と考え始めます。「こいつは○○だしないな…。じゃあ、こいつ…?いや…」という風に。そうこうしている内にあのオチ。自分で辿り着ければ感動もひとしおですが、大抵の人は気になって結末の意味をググるんじゃないですか?僕もそうでした。そこで監督の素性や結末の意味を知り、心底納得し、なんて計算しつくされた作品なんだと思いました。
内容はあまり気分の良いものではありません。しかし、説教くさいセリフもなしに観客に物語を疑似体験させ、ここまで考えさせる手腕は本当に見事で、これぞ映画的感動だと感じました。内容は気味の良いものではありませんが、心から見て良かった。と思える作品です
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