「傑作時代劇(内野聖陽の演技を堪能しました)」あかね空 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
傑作時代劇(内野聖陽の演技を堪能しました)
2006年。監督:浜本正機。脚本に篠田正浩の名前も。
人情小噺みたいな感じかと、予想して観ましたが、とても感動作でした。
最近、内野聖陽さんにハマってます。
「きのう何食べた」のゲイの美容師。あのいかつい顔で中身は乙女(おとめ)のギャップが
たまらない。
「JIN-仁-」の坂本龍馬のコミカルで豪快な演技もすてきでした。
この映画では京都で修行した豆腐職人の永吉(内野聖陽)の人情時代劇です。
永吉は上京して江戸の深川で「京や」という名の豆腐屋を開くことになります。
町人商人姿が、とても凛々しく美しい。
チャキチャキの江戸っ子・おふみ(中谷美紀)と、世帯を持ち豆腐屋は繁盛することに。
そして16年の月日が流れ、3人の子供の親となった永吉とふみ。
長男の栄太郎の博打狂いが、運命を変える事件に発展します。
ふみが栄太郎に甘いんです。
理由は栄太郎の幼い日に起きた火傷事故。
ふみは負い目を持っていて、ついつい栄太郎を甘やかしてしまいます。
栄太郎は賭場の賭け金を悪徳商人(中村梅雀)から借金を重ねて・・・これが罠で、
賭場を仕切るヤクザの傳七親分(なんと内野聖陽の二役)の餌食になることに。
借金の形に店を取り上げる算段です。
この傳七親分の扮装がすごい。
入道のような丸坊主。剃った眉毛。睨みつける形相・・もう極道そのもの。
この二役が「一粒で二度美味しい」
ファンには堪えられません。
原作は山本一力の直木賞受賞作です。
冒頭に石橋蓮司と岩下志麻の夫婦が祭りで一人息子を見失います。
この話がメインになるかと思ったら、映画では生き別れの息子のその後は分からずじまい。
でもこのエピソードも、いいアクセントになっていました。
なんと言っても、ラストをまとめる傳七親分の《粋な計らい》
気持ちよーく観終えて、後味最高の仕上がりです。