劇場公開日 2007年3月10日

「どうにもならない現実」パラダイス・ナウ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5どうにもならない現実

2013年3月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:70点
ストーリー: 75
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 65
音楽: 60

 テロリズムというものを、自爆するパレスチナ側からとらえた作品。一方的にテロを敵視する西側映画ばかりの中で異色といえる。そして明らかな被害者であるパレスチナ人が中心となることで、テロに走る人々をわかりやすく描かれている。このあたりがどこかの国から侵略されているわけではないパキスタンやサウジアラビアといった国のテロリストと違う点であろう。

 イスラエルの占領政策によって、本来そこにいたパレスチナ人は経済的に窮乏しているばかりでなく、多くの圧迫を感じている。その中でまともな職もなく困窮した人々が、イスラエルに対して強硬手段に出るのはある意味当然の流れと言える。
 だがそれはイスラエルによる報復攻撃を呼び込み、それに対してイスラエルにさらなるテロ攻撃という負の連鎖を積み重ねてしまう。主人公は力による報復がさらなる不幸を呼び込むことに気がついていくが、だからといって何もしなくても不幸な現実がよくなるわけでもない。パレスチナ人が虐げられる以上はこの問題は続くだろう。
 結局テロを思いとどまるものがいたとしても、テロを続けるものはなくならない。彼らは被害者であるから加害者となったのだから。有効な解決策は今のところない。イスラエルとパレスチナが共存共栄の道を選ばない限り、この問題は続いてしまう。

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Cape God