「パレスチナのイスラム過激派。殉教者。自爆テロリスト。そういった言葉...」パラダイス・ナウ supersilentさんの映画レビュー(感想・評価)
パレスチナのイスラム過激派。殉教者。自爆テロリスト。そういった言葉...
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パレスチナのイスラム過激派。殉教者。自爆テロリスト。そういった言葉に喚起されるイメージ。僕らは彼らを得体の知れない悪魔だと思ってはいないのだろうか。血も涙もない殺人鬼と思ってはいないだろうか。この映画で描かれたテロリストはとても優しい目をしている。母を愛し、友を愛し、国を思う。殉教者として選ばれた二人の若者の2日間を丁寧に描いたこの映画で僕たちは何を学ぶ事ができるだろう。
同胞を売った裏切り者、密告者として捕えられ挙げ句の果てに殺された父を持つ主人公。彼は自らが殉教者となることで全てを帳消しにしようとする。父を巻き込んだユダヤ人への復讐、父を殺した同胞への復讐。自らの死をもってその全てに終止符を打とうとする。
敵に口実を与えるだけで、テロは何も解決しないという英雄の娘。一度は作戦を決行しようとするが、その女性に感化されたこともあり、友情故に作戦を止めようとする男。その友情故に一人で作戦を実行しようとする男。尊ぶべきその素晴らしき友情がパレスチナという宿命から逃れる事はなく、優しい目をした青年は優しい眼差しのまま自爆攻撃を決行する。
子供が乗ったバスを前に作戦を見送った彼が考えた平和とは何か。救いとはどこにあるのか。
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