「中途半端すぎる」幸せのちから nao-eigaさんの映画レビュー(感想・評価)
中途半端すぎる
主人公の成功を心から「おめでとう!よくやったね!」
と祝福できなかった。
主人公があまりにも中途半端すぎた気がする。
確かに主人公には
チャンスをものにする力、
押しの強さ、
めげないタフさ、
数学的能力・・
といった、魅力的な部分もある。
しかし、「それ自業自得じゃないか?」
と思うような点が多かったのも事実だ。
大金をはたいて医療器械を買い込んだり、
タクシーの料金を払わなかったり
駐車違反の罰金をとられたり
気性が激しかったり・・・。
とにかく計画性がなく、つっぱしる。
それで妻や子供を巻き込む。
正直褒められた人間ではないと思った。
また、主人公と子供がどんなに悲惨な状況にあったか
(トイレで一泊シーンはこたえた・・・)、
一日一日をどのように過ごしたか、
その中での親子の絆
という描写はたくさんあったけど、
主人公が20人のうちの一人に選ばれただけの
「立派な仕事ぶり」の描写が少なかったように思える。
主人公が他の19人よりもどれだけ頑張ったのか。
他の19人と主人公はどこが違ったのか。
主人公の仕事への頑張りをもっと描いてほしかった。
悲惨な状況だからといって、選ばれたわけではない。
仕事をよくこなしたから選ばれたのだ。
なのにこの映画は悲惨さばかりに焦点を当てすぎていた印象・・・。
この映画最大の感動シーンも素直に祝福できなかった。
感動系の音楽もしらじらしく感じてしまった。
また、離れ離れになった妻も
最後出てくるかと期待したが、出てこないまま終わり。
父親の計画性のなさに振り回され、
母親とも離れることになった子供が
不憫で可哀想だなあ・・と思った。
ハッピーエンドのはずなのに
観終わったあとに爽快感がなかった。
幸福感もあまりなかった。
残念。
テンポや演出は割とよかったと思う。