「ちょっと期待はずれ」幸せのちから ラフマニノフさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょっと期待はずれ
自分の子供も男の子だし、ウィル・スミスはアカデミー賞に
ノミネートされたし、実の親子の共演だし、実話を元にした
話だし、もう、泣ける要素十分のはず、何ですけどねぇ。
まったく、泣けませんでした。いや、ガッカリしたかな。
主人公のクリスがどんな苦労をしようとも、どんな境遇にあ
おうとも、最後には採用され、幸せが待っていることを観客
は知っている。ならばその過程をいかにうまく見せ、クライ
マックスを感動的にもっていくかが、最重要課題だと思うの
ですが、どうもこの作品は、そこがうまく描けていない気が…。
個個のエピソードが行き当たりばったりで、散漫。クリスが
時折自分勝手に見えてしまい、どうも応援する気になれない
です。だいたい、生活が苦しくなったのは、自分自身の責任
であり、逃げた奥さんの言う事のほうがよっぽと正しいと思
えてしまうのですよ。それって、作品のテーマとしては失敗
でしょ?
泊まる場所を確保するためとはいえ、息子の「キャプテン・
アメリカ」フィギアを放置するのも後味が悪いし、何より息
子に怒鳴り散らし、バスの順番を待っている客に怒鳴り散ら
すクリスは、どうなんでしょうねぇ。それほど切羽詰まって
いる、というのを描きたいのかもしれないけど、逆効果です
よ、あれじゃ。
研修の過程もいまひとつ不明瞭で、クリスが選ばれるか否か
の緊張感も伝わってこないし、研修を1日残して、結果が出
てしまうのも拍子抜け。最大の見せ場である、クリス採用の
シーンも、あまりのあっさりさに「もう終わり?」と、テレビ
に向かって言ってしまったほど(笑)。
この作品、予告のほうがよっぽど「泣けた」なぁ。そういえば、
『シティ・オブ・エンジェル』もそうだったっけ(笑)。関
係ないですが。
そうそう、、もうひとつ、この作品とは直接関係ないけど、サ
ンディ・ニュートン(あえて、タンディ・ニュートンとは書き
ませ ん)がみょーに老けちゃった印象で、ちょっち寂しかっ
た。 『M:I-2』、大好きなので…。