ルワンダの涙のレビュー・感想・評価
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30年前のジェノサイド
みてました あの頃TVのニュースで。沢山の遺体が道に転がってあからさまに。いつの時代?、みたいに意味のわからん、フツ族がツチ族に対するホロコースト。貧困と教育の無さが引き起こす無差別殺人。ラストシーンに安心しましたが。
フツ族による少数民族ツチ族の迫害。『ホテル・ルワンダ』でも描かれていたように、これが現実に起こっているんだと衝撃を受けた。
似たような状況下ではあるけど、現地の言葉を知らないジョーがとった行動は「世界は知らない」理由からTV中継しようと考えるのだ。大統領が飛行機墜落、首相は暗殺、あちこちで虐殺が起こっている。ツチ族は“ゴキブリ”と蔑まれ、徹底的な人種差別。「ナチがユダヤ人に行ったことを覚えてるか?」という言葉が絶妙だった。
国連軍が学校内にいるため、民兵たちもうかつに手を出さない。しかし彼らは命令に忠実なため自衛のためにしか武器を使わないのだ。夥しい数の死体の悪臭。忍び寄る恐怖。途中、フランス軍がやってきたけど、フランス人を救出するだけ。そんな中、逃げ出そうとするツチ族たちはあっけなく民兵に虐殺・・・校外に出ても平気なのはジョーやクリストファー神父(ジョン・ハート)だけなのだ。まるでゾンビ映画のような撮り方・・・だけど、ルワンダ人目線で撮ってないのが難点。
白人TVレポーターのレイチェル(ニコラ・ウォーカー)の言葉は辛辣で、「ボスニアのときは殺された白人女性を母親だと思うとやりきれないけど、殺されるのが黒人だとただの黒人にしか思えない」。このことも影響してたのか、どうも感情移入できず、むしろドキュメンタリーを見ているような気分に。
国連軍と白人の引き揚げ・・・神父は最後にトラックでツチ族を連れて脱出するが、彼は殉死してしまう。マラソン好きの少女マリーは逃げる・・・ジョーに裏切られた気持ちになっていたけど、走る、走る・・・5年後にジョーを追いかけて再会。「死にたくなかった」と語るジョーは彼女と結ばれることはないだろうなぁ・・・恋愛的にはちょっと虚しい。マリーにとっては初恋のあっただけに・・・
映画本編では涙も出なかったのに、エンドロール前にエキストラ出演やスタッフの中に虐殺を免れたツチ族の方々の紹介。泣けた・・・特に、殺されなかったけどレイプされHIVに感染した女性とか。
原題の意味は、学校の周りを死体を漁る犬を撃とうとする国連軍に対して神父が嫌味を言ったこと。
人間の支配欲があちこちにひずみを生んでいるんじゃないんだろうか
この対立の根っこがやっぱりわからなくて、思わず調べてしまった。
結局、とっても簡単に言ってしまえば、ルワンダを占領していた西欧諸国が、その時々の都合でツチに権力を持たせたりフツに権力を持たせたりしていたことで、お互いの間のラインが色濃くなり、それぞれが被支配者であるときに募らせた憎しみが、大統領暗殺という事件をきっかけに、ジェノサイドという方向に噴出した……ということらしい。
きっかけを作ったのは、西欧諸国のご都合主義なのかもしれない。
そして、紛争時にもそれぞれの背後にアメリカとフランスがいたわけで。
ルワンダの人たちは何族だろうと被害者だよね……。
恐ろしい、悲しい。
何がここまで人を残虐にさせるのか…。
我々には馴染みの薄い遠いアフリカの小国で実際に起こった恐ろしい出来事をテーマにした映画です。
殺される側と自分との間に距離を感じることは卑怯の極みだと教えてくれる映画でした。
一見の価値十分すぎる程に有りです。
涙無しには見れなかった…。
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