「過去を経験したことで現在が良くなるの?」地下鉄(メトロ)に乗って Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
過去を経験したことで現在が良くなるの?
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総合55点 ( ストーリー:45点|キャスト:65点|演出:60点|ビジュアル:70点|音楽:80点 )
例えば靴磨きの場面の少年たちの行動とか、時間旅行で場面が急に変わるところでの登場人物たちの演技とか場面の演出がわざとらしくて説明的で質が低い。
時間旅行の続く物語も唐突だし、それで自分が生まれる前の若き親の過去を見たところで、断絶するほど不仲だったひどい父親の行動を今更どうにかできるものでもないだろう。傲慢で暴力を振るい家族を犠牲にして子供たちの人生を狂わせた彼が、過去はもっと違う人間だったということだけで許されるんですか。彼が死ぬからということで悪い部分を忘れて綺麗な部分だけを取り出しているようにも思える。
そしてみち子は都合が悪くなると自らの始末をしていなかったことになって解決ですか。楽しみにしていた子供を誕生前に失った親に対して「ごめんね」だけで済むんですか。雨の石段を転がして都合よく胎児だけ殺せちゃうんですか。憎かった父親との和解という主題を前提に、いろいろと物語を無理しすぎてませんか。物語の不整合な部分だけでなく、この展開が好きになれない。
影を背負った雰囲気の岡本綾の存在は良かったし、主人公の堤真一の演技も悪くなかったが、時間旅行の理由や物語の展開に納得がいかずすっきりしない。一番良かったのは最後のsalyuの歌「プラットフォーム」かな。
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