キャッチボール屋のレビュー・感想・評価
全2件を表示
10分100円のキャッチボール屋。まともに働いても最低賃金法に抵触してしまう・・・?
リストラされ故郷の仲間と飲んでいたのも束の間、次の朝は何故か東京の公園で目を覚ましたタカオ(大森南朋)。どこにでもある風景だったが、そこでは変わった商売をしている者がいた。最近、役者として出演することが多くなった庵野英明がその先代キャッチボール屋だ。何の目的でやってきたのかも思い出せない大森南朋は庵野に店番(?)を頼まれるが、そのまま7代目キャッチボール屋をまかされることになった・・・ 寝泊りするアパートまで提供され、失業中だからこそできる「まぁやってみるか」的な安易な気持ちで引き受けてしまったキャッチボール屋。万年補欠だったが高校時代は野球部員だったので気にもならなかったのかもしれない。やってみると、ちょっと変わった人たちばかりと知り合いになり、人生の岐路に立たされ悩むこともばかばかしく思えるほど。いつもランチの食べ残しをくれる謎のOLキタキマユもその一人だけど、特別な関係になるわけでもなく、ほんわかした気分にさせてくれる。 メインとなるのは、毎日キャッチボールの相手をする寺島進。そして、甲子園で5連続敬遠されバッティングフォームを崩して社会人野球でも開花しなかった松重豊。実際に甲子園で5連続敬遠されたのは松井秀喜(ちなみに、1992年星稜対明徳義塾のその試合は甲子園で観戦しました)。当時のマスコミをはじめ高校野球ファン全てが騒いでいた出来事でしたが、「勝負したかった」とコメントを残した河野投手も可哀想でした。石川県内では未だに明徳義塾の人が多いのも事実・・・鑑賞中も思い出さずにはいられませんでした。 この映画で最も良かったと思えるエピソードは、“10時半に山口百恵の「夢先案内人」をかけること”です。コインランドリーで出会う謎のアジア女性(キム・ホジョン)とともに、いい話だな~と感じました。しかし、温かさは伝わってくるものの、映画全体としては雑然とした雰囲気がちょっと残念。峰岸徹のエピソードもかなり浮いていた。キャッチボールをするというテーマはとても素敵なので、一方通行的な印象を持たれないような工夫があればよかったのかもしれない。監督の今後に期待。
全2件を表示