「陰で支える者への賛歌」バックダンサーズ! かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)
陰で支える者への賛歌
自ブログより抜粋で。
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でも、基本的には旬の女性アイドルとダンスを堪能するためだけの薄っぺらいアイドルダンス映画、っていう印象。ただ、この映画、嫌いじゃないのよ。
なんでこの映画が理屈を超えて魅力的なのか考えてみたんだが、ひとつにダンス映画として、とにかくダンスで魅了するという軸が終始ぶれることなく、しかもそれに成功していることが大きい。一芸に秀でた映画とでも言おうか。
それに、添えられた隠し味も効いている。
実はこの映画、マネージャー・茶野ら脇役たちこそが真の主役と言ってもいい。そのことは『バックダンサーズ!』というタイトルには、陰で支える者への賛歌の意味があることからも自明だろう。
この映画は、バックダンサーズが成功していく物語であると同時に、陰で活躍する裏方たちが彼女らを成功へ導くサクセスストーリーでもあるのだ。
そう考えれば、バックダンサーズはことあるごとに「なんとかして!」とお願いするだけで、実際には茶野の奮闘記となっているのも合点がいくだろう。
そんな中でもこの浮世離れした成功物語映画をぐっと地に足がつくところまで引き寄せている一番の陰の立役者は、売れないオヤジバンド“スチールクレイジー”だ。
陣内孝則、つのだ☆ひろらが演じるこのバンドは、いうなれば伝説にまで登り詰めるバックダンサーズと表裏一体の存在。
浮き沈みの激しい音楽業界にあって売れなくても続けていくこと。そのことの大変さは多くを語らずとも想像に難くない。
本来の主役であるはずのバックダンサーズたちにはまるで生活感がないのに、このおじさんたちの口からは「またバイトしなきゃ」やら「バンド五つ掛け持ちしてる」といった生々しいセリフがぽんぽん飛び出す。しかし決してそこに悲壮感はない。好きなことをやり続けられる喜びに裏打ちされた悟りのようにあっけらかんと発せられる。これこそがこの映画の神髄なのだ。