Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン

劇場公開日:

解説

在日コリアン2世の映像作家ヤン・ヨンヒが、自らの家族を10年間にわたり撮り続けたドキュメンタリー。大阪市生野区で両親と暮らすヤン。朝鮮総連の幹部として人生を“祖国”北朝鮮に捧げた父は、30数年前に3人の息子たちを北朝鮮へ送り出した。しかし日本で生まれ育ったヤンは、そんな父の行動に違和感を感じていた……。両親やピョンヤンで暮らす兄の日常を映し出すことで、そこに潜む様々な問題や家族の絆を浮かび上がらせていく。

2005年製作/107分/日本
配給:シネカノン
劇場公開日:2006年8月26日

スタッフ・キャスト

監督
製作
稲葉敏也
撮影
ヤン・ヨンヒ
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映画レビュー

4.0洗脳教育を受けていてもなお何かが引っ掛かる

2024年12月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

朝鮮学校の模範優等生の朝鮮帰国での違和感。
平壌の日常・実情
朝鮮を崇拝する両親との確執。

母の愛は深く切ない

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jiemom

4.5未知なる祖国  在日一世のアボジと二世の娘

2024年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

楽しい

朝鮮民主主義人民共和国、そこは一党独裁の恐ろしい国。しかし監督のヤン・ヨンヒにとっては愛しい兄たちが暮らす国でもあった。

本作では北朝鮮への帰国事業で離れ離れになって暮らす兄たちへの思い。そして差別と貧困の中で必死に生きてきた在日一世の両親のもとで民族教育を受けながらも日本で自由に生きてきた二世である監督の両親への思いがつづられている。

アボジの口癖は娘の結婚相手は同胞以外はだめ、国籍も変えてはいけないだった。朝鮮総連幹部として金日成に忠誠を誓い、北の言うがまま地上の楽園に兄たちを帰国させたそんなアボジに対して娘はわだかまりを感じていた。
金日成の銅像の前で嬉しそうに写真撮影を楽しむアボジたち、古希の祝いのスピーチでも金主席に忠誠を誓うと述べるそんな父に対して娘は違和感を抱き続ける。
もちろん在日として自身も差別を受けてきたヤン監督だが、在日一世であったアボジたちが受けてきた差別はその比ではない。それは充分に理解している。自分が一世だったなら同じ様に金主席を崇めていたかもしれない。
アボジたちとは違い、ある程度の自由を謳歌できた二世だからこそアボジたちの姿に違和感を感じていたが、そう感じることができたのも在日の生活向上のために活動してきたアボジたちの苦労あってのことだった。だからこそ兄たちを帰国させた父を憎み切れない自分がいた。

北朝鮮帰国事業で北は地上の楽園として大々的に宣伝され、9万3千人もの人々がその見知らぬ祖国へ渡った。そのうちの6千8百人ほどが日本人配偶者だった。
当時は誰もがそれを人道的事業として疑わなかった。日本で差別と貧困に苦しむ在日同胞の生活向上のため、また朝鮮戦争後の祖国復興に貢献できるとしてそれを信じて総連は帰国者を募った。そして日本政府も厄介払いができるとして事業を後押しした。総連の大々的な勧誘活動、訪朝した日本の記者団による北への好意的な報道も帰国を後押しする。
大戦後の当時はソ連を筆頭に東欧では社会主義国の台頭が見られ、差別と貧困に苦しむ人々が平等をうたう社会主義に魅了されたのも無理はなかった。また南の韓国は李承晩の独裁政権下でもあったことで人々は未知の祖国に一縷の希望を託した。

しかし、帰国者からの手紙で徐々に北の実像が明らかになる。地上の楽園などとは名ばかりで帰国者たちの生活はたちまち困窮した。また多くがスパイ容疑で収容所送りにされた。
それら事実を知ったのも後の祭り、帰国希望者は減少するがそれでも北は帰国者を送り続けるよう指示を出す。総連は労働党の意向には逆らえない。そのうち総連幹部の家族にも白羽の矢が立った。逆らえば粛清は免れない。アボジは泣く泣く次男と三男を帰国させるが、唯一手元に置いておきたかった長男さえも金日成の生誕祭の貢物として送るよう命令される。先に送った息子たちがどういう目に会うかわかっていたため拒否することはできなかった。

その時からアボジたちは仕送りを続けた。総連幹部の親族である息子たちはピョンヤンに暮らせるエリート層だ。しかしそんな彼らでさえアボジたちからの仕送りが生命線だった。

古希の祝いの席でアボジは胸につけきれないほどの勲章をつける。祖国に貢献したとして贈られた無数の勲章。それはブリキにメッキを施しただけの安っぽいおもちゃのような勲章である。それを身に着け親族を集めての盛大なパーティーを行った。
金主席の肖像画を背にした自分の姿を撮影した写真をアボジは息子たちや親戚に焼き回しして配った。
それはこの北朝鮮で暮らす彼らの後ろ盾となるものだった。金主席に忠誠を誓い祖国に貢献した総連幹部である自分と親族の間柄ということは彼らにとってお守りになると信じてのアボジの行動だった。

信じた祖国は拉致などを行うとんでもない国だった。しかしそんな国に対していまさら反旗を翻すわけにもいかない。家族を人質に取られてるも同じだからだ。アボジたちが娘の前で金主席に忠誠を誓う姿がどこまで真意によるものかは明らかではない。娘であるヤン監督もそこまでは聞けなかった。
ただ、拉致の報道に対してポロっとカメラの前で本音を漏らしてしまう。あれはやってはいけないことだったと。

アボジやオモニたちが当時、見知らぬ祖国北朝鮮に一縷の希望を抱き信じたことは無理のないことだった。韓国も日本もアメリカも信じられない彼らにとってのよりどころはそこにしかなかった。
いつかは祖国が統一され家族がいつでも会えるようになればという思いもむなしくアボジは息を引き取る。

いまだに南北統一への道は険しい。南北の経済格差は東西ドイツのそれとは比べようもないくらい大きく、また北は核保有国でもある。連邦制にする方法もあるが、なかなか話は進まない。また大国同士の思惑も見え隠れする。中国にとっては自国と地続きの国が自由主義の国になれば都合が悪い、また逆にアメリカにとっても朝鮮戦争が休戦中である方がそれを口実に日本に朝鮮国連軍基地を置いておけるメリットもある。日本にとっては北への戦後賠償の問題や難民の流入といった懸念もある。周辺国も今のままでいてくれた方が何かと都合がいいのだ。

元はといえばソ連の南下を嫌って当時の米国が38度線での分断統治を提案したのが民族分断を生んだ悲劇の始まりだった。ドイツと違い分断の責任は朝鮮の人々にはなかった。
アメリカの歴史家で朝鮮半島の歴史の専門家であるブルースカミングスは朝鮮半島が分断されたのは祖国アメリカのせいだと断言している。大国の都合で分断された朝鮮半島、統一を成し遂げるのにも大国側にそれなりの責任があるのではないだろうか。

以前からずっと気になっていた作品。今回「スープとイデオロギー」を見た機会にヤン監督の三部作を一気見した。
このアボジとオモニはちょうど私の両親と同じ世代で同じ大阪の地元に近い生野区ということもありとても親近感がわいた。今となってはお二人とも鬼籍に入られており寂しい限りではある。

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レント

4.0リアルに感じた

2024年10月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

楽しい

日本の報道では北朝鮮はどこか遠く変な国に映りますが、本作では北朝鮮国民が身近に、そしてよりリアルに感じられました。彼らは決して特別な人間ではないですし、日本民族も大戦後に分断されていたら、朝鮮民族と全く同じ運命を辿ったと思います。だから、他人事とは思えませんでした。

私は当たり前の様に日本国籍を持ち親戚も国内にいます。アイデンティティについて考えたこともないくらいです。だけど、私がアボジやオモニの様な立場だったら祖国を求める様になるかもしれません。だから、アボジやオモニの気持ちを同じ人間として理解できました。

アボジもオモニも口には出しませんが、帰国事業で息子を北朝鮮に送り出したことを後悔してますよね。あの時代は韓国は軍事政権で、北朝鮮は楽園と言われていたので、送り出す気持ちも分かるなあ。結局は祖国に裏切られた訳ですが、自らのアイデンティティを否定するようでそれを認めたくはないですよね。だから、政治というのは

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ミカ

5.0アボジは済州島出身。故に在日大韓民国人のはずだ。矛盾は続く

2024年10月24日
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アンドロイド爺さん♥️

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