「スクリーンに映るのは"生"の世界か、それとも"死"の世界なのか」楽日 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
スクリーンに映るのは"生"の世界か、それとも"死"の世界なのか
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※初日最終回上映前に出演者の三田村恭伸さんより挨拶があり、「本当はお祭りの様な作品だったのが削ぎ落としていったらこうなりました。これが果たして映画なのか?とも言われています。」との事。
老舗の映画館が今日閉館を迎える。
全編でほぼワンシーンワンカットが続き独特の世界に支配され、セリフは僅かに2シーン11ヶだけである。
登場人物の殆どはまるで亡霊の怨念に魂を売り渡した様に館内を徘徊しており、一体誰が“生”で誰が“死”なのか解ら無い。その為に自分の存在をアピールしたくても出来ず、触れ合えたくてもままならない。
そしてみんなが煙草を吸い、煙をくゆらせては遠くを見つめる。それはあたかもファーストシーンに映るかっての映画館が華やかな頃を愛おしむ様であり、本当の観客である老人2人が画面上では対峙している。
以前撮られた『HOLE』の様に外は大雨が降り続き雨漏りが激しいが、女従業員が小便器の水を止めると同時にこの華やかな小屋も終焉を迎える。
上映終了後の2人の会話の「誰も○画を観ませんなぁ〜」の一言が監督から発せられる映○に対する愛情を物語っていると言えるでしょう。
傑作だと思います。
※以下続編にあたると言われる『迷子』の方もお読み下さい。
(2006年8月26日ユーロスペース/シアター2)
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