「自然賛歌」狩人と犬、最後の旅 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
自然賛歌
総合65点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:80点|音楽:75点 )
「シートン動物記」で有名なシートンの書いた「森のロルフ」という森に住む狩人の話を読んで影響されたりして、子供のころはこのような厳しくも雄大な生活に憧れたものだ。残念ながら水道も電気もインターネットもある快適な文明生活に浸ったまま軟弱な大人になってしまうと、自分が今からこのような大自然と共に生活することはもう無理である。
だから小説の世界そのままに、今猶現実に壮大な自然の中でたくましく生きる現役の狩人の生活を垣間見ることが出来るのは喜ばしい。厳しいし危険だし金銭的には裕福とは言えないが、彼には自然と共に生きることが最高の生き方であろう。だが彼の住む山奥にも文明がやってきて彼も歳をとって山の生活の引き際を探る。狩人が自然に与える影響の話があり新旧の犬の話があり年上の友人の話がありで、寂しさと希望がもつれ合う展開であった。
しかしせっかくのこのような狩人の話なのだから、狩りとか罠とか山奥で普段の生活をどうしているのかという具体的な描写の場面がもっと欲しかった。鹿をしとめて以降は動物の毛皮がいくらか出てくるだけでは臨場感がない。山の自然の風景が実に美しいし、湖の氷の場面などの撮影はなかなかのものだが、移動の描写と町での場面ばかりが印象に残る。また物語の展開が淡々としていて、こちらはもっとはっきりしてほしかった。
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