狩人と犬、最後の旅のレビュー・感想・評価
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ノーザンライト
極北の地で狩人として暮らすノーマン・ウィンター。本人が本人役として演じているのか、ドキュメンタリーなのか、どちらなんだろう。 髭が凍るほどの冷気。こんな寒いのに湖に落ちるって、恐ろしい。犬で暖をとり、震える手でやっとの思いで火をおこす。熊にも遭遇するし、狼ともニアミスする。次から次へ、野生動物が登場、みんな美しいなあ。そり犬たちもかわいい。特にハスキー犬の目がきれい。 淡々とした描写ながら、なんか危険が迫りそうと思わせるところがニクい。撮影の仕方がうまいのかな。人間を拒むような厳しい自然の風景が圧巻。 大昔のテレ東地上波放送を録画で。
犬と熊さん
森林伐採のおかげで年々動物が減っていく現実のため自給自足の生活もままならない。の暮らしに慣れてしまっていると、とても生活できないだろうと感じてしまう。 夏には川をいかだで下り、冬は犬ゾリで颯爽と氷原を渡る。町へ出ては狩猟した動物の毛皮を売って暮らしている。そんなある日、愛犬が死んでしまう。今年こそは引退するぞと心に誓うノーマン・ウィンター。友人からシベリアンハスキーの子犬を貰い受けるが、アパッシュと名付けられたこの犬はレースにも向かないどうしようもなくダメ犬に思われた・・・ このトラッパー。動物を狩っているのだから自然破壊に繋がると考えがちだけど、全く逆。彼らがいないと生態系もくずれてしまうらしい。森林伐採などの人間による開発のほうがずっと自然破壊をしているのだ。 予告編を何度も見ているおかげで、氷の張った湖に落ちてしまう場面や、がけを滑り落ちてしまう山場にも驚かされなかった。元々、ノーマン・ウィンターとその妻本人を主人公にしているので、ドキュメンタリー風でありながら、無理にストーリーを持たせている。ここがどうも心の琴線に触れなかったようです。どうせなら多くを語らないノーマン・ウィンターを淡々と撮り続けてくれたほうがよかったのではないでしょうか・・・ とはいえ、ロッキーの自然と人間、そして小動物の生命力にみなぎる映像には癒されました。彼らは熊とも仲良しだったのかもしれませんが、最近自宅の近くでも発見されたようで、個人的にも熊さんとは仲良くしなければならないなぁ~と思いました。
違う自分を探す旅
自然から多くを奪わず、傍らに寄添い生きる狩人。
犬ぞりを操り、北極圏の地を縦横無人に駆け巡る。
樹木の大量伐採の影響から、獲物が年々減少していた
先住民達でさえ、狩を止めて毛皮の仲介などに転じていた。
少し気を抜けば、死が訪れる厳しい環境だからこそ・・・
妻と犬たちとの安らぎの時間が心に染み入る。
シンプルで質素な喜びで心から幸せになれる。
私自身とは正反対の生き方だ。
都会で生きる私達は快適で便利な毎日が保障されている。
でもなぜか、心の中は複雑にささくれ立って幸せと言い切れない。
金、家族、愛、名声、環境で、他人と自分を比べると・・・
競争社会の疲れと共に、得体の知れない恐怖に苛まれる。
もっとシンプルな価値基準で生きる選択はいつでもできるのだ!
監督自身が有名な冒険家で、ドキュメントと見まがう程のド迫力。
可愛い犬たちが、湖の氷の大きな穴に人間もろ共落下するシーン。
なんとも複雑な思いにかられる、人間の為になぜそこまで・・・
過酷な自然に寄添う彼に、簡単に虐待だとは言い切れない
日本で言えばマタギみたいなもの。
ロッキーの山の中、電気のない、自給自足の生活。 都会にはない、ゆうらかさと、無くしたものが 確かに存在する。 確かに憧れではあるが、俗物てある私には 取り敢えず無理だ。 美しい自然とシベリアンハスキー達の愛らしさが 心を和ませてくれます。
自然賛歌
総合65点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:80点|音楽:75点 ) 「シートン動物記」で有名なシートンの書いた「森のロルフ」という森に住む狩人の話を読んで影響されたりして、子供のころはこのような厳しくも雄大な生活に憧れたものだ。残念ながら水道も電気もインターネットもある快適な文明生活に浸ったまま軟弱な大人になってしまうと、自分が今からこのような大自然と共に生活することはもう無理である。 だから小説の世界そのままに、今猶現実に壮大な自然の中でたくましく生きる現役の狩人の生活を垣間見ることが出来るのは喜ばしい。厳しいし危険だし金銭的には裕福とは言えないが、彼には自然と共に生きることが最高の生き方であろう。だが彼の住む山奥にも文明がやってきて彼も歳をとって山の生活の引き際を探る。狩人が自然に与える影響の話があり新旧の犬の話があり年上の友人の話がありで、寂しさと希望がもつれ合う展開であった。 しかしせっかくのこのような狩人の話なのだから、狩りとか罠とか山奥で普段の生活をどうしているのかという具体的な描写の場面がもっと欲しかった。鹿をしとめて以降は動物の毛皮がいくらか出てくるだけでは臨場感がない。山の自然の風景が実に美しいし、湖の氷の場面などの撮影はなかなかのものだが、移動の描写と町での場面ばかりが印象に残る。また物語の展開が淡々としていて、こちらはもっとはっきりしてほしかった。
美しいユーコンの風景
映画の情報にロッキーって書いてあるけど、これはロッキーじゃなくてユーコンだと思う。アラスカに近い方ですね。 ノーマンウィンターていう、主人公は本人が演じていて、ドキュメント/ドラマだとか。 実際にこういう生活、少しはあこがれもあるけど、すごい大変だし、怖くないかなって思う。ドーソンには、現実に罠猟師の人とか、ゴールドマイナーとかが住み着いてそう。 ゴールドラッシュの時代から進化してないというか、時が流れてない気がするな。 あとずっとお風呂入れなくてくさそう。。。とか、変なリアリティをもって見てしまいましたw
「イントゥ・ザ・ワイルド」より好き
前々から気になっていた本作は2004年製作のフランスなどが合作した作品。この手の、人間の自然生態系との関わりを描いた作品になると、ほんとにフランスはうまい。 主人公はロッキー山脈の自然の中で狩人として妻と、そして犬たちと生活を営んでいる初老の男性。長年そういった生活スタイルを誇りを持って続けていたが、近頃は企業の森林伐採によって生態系が崩れ、思うように狩りができない。自分もやはり狩人を引退して、人間社会に戻るべきなのか否か。 本作のレンズは、そんな狩人の悩みに焦点をあてるのでなく、そんな状況でそれまでと変わらず妻と犬たち、そして数少ない友人との触れ合いに当てられているのです。 自然の生態系を守るためには、人間は弱い生物をどんどん狩っていかなければならない。そうやって数を調整し、一部の種族が異常に繁殖するのを防いでいる―こんな語りなどは、なかなか慧眼に富みとても勉強になる。 自然の中で、人間がもつ役割はちゃんとあるが、この映画が秀逸なのは次のメッセージである。 それでも人間は自然の中で生きていけないのだ。 つまり野生動物や犬たちのように、厳しい自然に生きていける身体能力を、人間は、持っていないのです。 先に見た「イントゥ・ザ・ワイルド」は闇雲に自然を崇拝し、そこに同化しようとする人間が描かれていたが、本作は荒野の中にいる人間を通して、自然との共生とはなにも野生に帰っていくことではないのだという大人なメッセージがある。 地に足をつけた描写で、淡々と狩人の生活を描き、観る人の想像力に力強いメッセージを宿らせる本作は、アート作品として素晴らしい出来栄えでした。
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