「転がる石は転がるままに」ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
転がる石は転がるままに
史上最強のロックバンド《ザ・ローリング・ストーンズ》の創始者&初代リーダーだった男ブライアン・ジョーンズの栄光と挫折、謎の死に迫った作品。
ビートルズよりストーンズ派の私は、彼の妙に殺気立った存在感が好きだった。
身体全体から溢れ出すダークでギスギスしたオーラが誰よりもセクシーでカッコ良かったのだ。
バンドロック、サイケデリック、ヒッピー、フリーセックスetc.当時、流行していた怠惰的カルチャーの象徴だった彼は、私生活でもロックの如く破滅へと向かっていく。
アルコール、セックス、ドラッグ、暴力沙汰etc.トラブルは数知れず。
正にライク・ア・ローリング・ストーンそのものである。
やがて、音楽の創作方針でもメンバーと対立を深め、孤立化。
更なる破滅へとひた走っていく。
手に負えなくなったメンバーは、彼にバンドからの脱退を通告。
遂にクビを斬られてしまう。
その直後、自宅のプールにて溺死体で発見される。
ドラッグの過剰摂取説、持病の喘息発作説、他殺説etc.様々な憶測が乱れ飛んだが、真相は未だに明らかになっていない。
享年27歳。
奇しくも好敵手ザ・ビートルズが解散した年と同じ1969年の出来事である。
どんな楽器でも上手く弾きこなす腕を持っていたらしく、天才がゆえの孤独や苦悩が当時の空気そのままに美しいほど痛々しく描かれていた。
脱退直前から運命の日当日まで彼と親交を深めていた建築士の視線で物語が進んでいくため、ミックやキース達との軋轢や音楽事情を期待しているストーンズファンには物足りないかもしれない。
あれでは単なるヤクでラリラリのゲス野郎ではないか。
まあ、せやから追放されたんやろね。
天才と変態はまさしく紙一重である。
では最後に短歌を一首
『人生は やりてぇことを やりゃあいい 転がる石は 転がるままに』
by全竜