「地震・雷・火事・親父」胡同(フートン)のひまわり 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
地震・雷・火事・親父
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“地震、雷、火事、親父”
父親を知らずに育って来た息子《向陽=向日葵》に対し、強制収容所から戻って来た厳格な父親は容赦ない教育で抑え込む。その為に父と子の20年以上に渡る確執が始まる。
これは時代に取り残された父親の話であり、取り壊される長屋の街並みと比例して急速に発展する近代化の波は決して‘待った’をしてはくれない。
父親は自分の行って来た事が間違いだったのを自覚している。だからこそ将棋を指すのも、猫に餌をあげるのも“後悔の念”が心の中にあるからなのだ。
親が子の事を想う気持ちの大きさと、国が国民総ての事を思って推し進める政策。
映画はこの厳格なる父親同様に“少子化を勧める”中国政府に対するアンチテーゼとも受け取れなくは無い。
それにしてもこの頑固親父振りは観ていて堪らない程の懐かしさがある。
初めて息子の絵を見つめる佇まいはどうだ…私はこの辺りからラストにかけて涙が止まらなくなってしまい実に困った。
ただ父親が言う‘息子の才能’が途中それほど感じられないのが少し残念でしたが…。
親は子を‘選定’出来るが、子は親を‘選べない’それは生まれて来た時の《宿命》だから。
(2006年8月11日Bunkamura ル・シネマ2)
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