「良質な雰囲気ではあるが…。ダニエルクレイグのファンならおすすめ。」レイヤー・ケーキ きーとろさんの映画レビュー(感想・評価)
良質な雰囲気ではあるが…。ダニエルクレイグのファンならおすすめ。
ダニエルクレイグが007、ジェームズボンドに抜擢されたきっかけになったと言われている作品です。
『キングスマン』などで有名なマシューヴォーン監督の監督初作品でもあります。
冒頭の演出がクールで洒落ていて期待が持てました。モノローグで主人公周辺の立場や信条を説明してくれるのでストーリーに入りやすかったです。
危険なことに関わらないようにしてきた主人公が徐々にごたごたに巻き込まれていく様子には引き込まれました。
ストーリーは凝った作りになっている分、複雑ですね。登場人物も多い。キャラ付けはそれとなくされてはいるのですが、この人誰だっけ…となってしまわないように注意が必要です。
セリフ回しや構成の仕方でもう少しわかりやすくできたんじゃないかなという気もします。
クールでスタイリッシュな映像作りが好きでした。
キャラクターとしてはモーティが好きでしたね。出番は多くないですが、ボスへの忠義に厚いところや、恐ろしさを見せる反面、冷静な判断力も持ち合わせていることも感じられて良かったです。
ラッキーも変わり者っぽくて本作には珍しくゆるい雰囲気が好きでした。やり手ならではの余裕からくるゆるさだったのだろうか。彼の登場で気が抜けたところでのあの展開も良かったです。
ダニエルクレイグは知的な雰囲気が格好良かったですね。007でも思いましたが、スタイルがいいのか姿勢がいいのか、スーツがめちゃくちゃ決まっています。本作の衣装はどれも似合っていて、とても素敵でした。彼のファンなら観て損はないかと思います。
ちょい役でトムハーディや、後に再び007でダニエルクレイグと共演するベンウィショーも出演してます。
全体的に良質感は漂っているのですが、なんとなく盛り上がりに欠けます。伏線回収や真相が明かされる時はなるほど、とは思えましたが、それがおもしろい!には繋がらないというか。爽快感がないように思います。その爽快感のなさも裏稼業の煩わしさを表す、演出の一環なのかもしれませんが。
ラストの主人公のセリフは、私はそれが語られていないことに気づかず最後まで見たので少しびっくりしましたし、「こちら側」に話しかける演出も好きです。ですが、だからなんなのか、という気も。そこに物語的な意味があればもっと良かったかなと思います。