「あ、タイム・リープできる回数が減ってる・・・6回、5回、4回、今何時だ?9回、8回・・・と増えたりしない。」時をかける少女(2006) kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
あ、タイム・リープできる回数が減ってる・・・6回、5回、4回、今何時だ?9回、8回・・・と増えたりしない。
「時かけ」などと略してしまうと落語の「時そば」を思い出す方も多いようですが、映画『UDON』に対抗して「時かけそば」なんてのを発売すれば売れるのかもしれないなどと考えながら鑑賞していたら、居眠りしてしまった主人公紺野真琴の数学の小テストが“解きかけ”であることに気づいてしまった。結果9点。
最初にこのタイムパラドクスの名作に知り合ったのはNHKの連続TVドラマ『タイム・トラベラー』でしたが、木下清演ずるケン・ソゴルの不気味なイメージが今でも鮮明に浮かび上がります。また、大林監督の『時をかける少女』では原田知世のアイドル映画っぽい作りだったので、実際の知世ちゃんもラベンダーの香りがするんだろうな~などと妄想を膨らませてしまった記憶があります(ネタです)。そのままのストーリーをアニメにしても面白くないだろうという心配は杞憂に終わり、全く別のストーリーだったのでホッとしましたけど、この兄ちゃんがケン・ソゴルなんだろうなと決め付けてからは「早く未来名を名乗れ!」などとヤキモキしてしまいました。
しかし、オリジナルの芳山和子は紺野真琴の叔母さんとなって登場する。タイム・リープについて「年頃の女の子にはよくあることよ」などと言われて納得してしまう真琴も千昭にバカ呼ばわりされる証なのかもしれませんが、芳山くんだって異常な体験をしたんだからそんなに軽々しく言わないでよ!などと心の中で笑ってしまいました。それでも原作を尊重するかのように芳山くんの写真立ての隣に飾ってあったのがラベンダーの造花だったような気がして、ちょっとだけ嬉しくなってしまいます。
ボーイッシュでピュアな感覚の主人公や、二人の男に恋する純情な少女たち。なんだか昔の少女漫画風で清々しい気持ちにさせてくれる。リープするときに空を飛ぶポーズや転げて登場する微笑ましい光景も楽しめました。細かな時間旅行を端折ることによってその部分を観客に委ねるところも潔かったと思います。