「「硫黄島からの手紙」とこの映画を観て感じたこと。」父親たちの星条旗 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
「硫黄島からの手紙」とこの映画を観て感じたこと。
2週間程前に「硫黄島からの手紙」を観ました。
私には「硫黄島からの手紙」の方が、クリントン・イーストウッド監督が、
日本人のこの戦争を俯瞰からみて好意的に公平に描いているように思えました。
日本兵は米軍の戦艦100隻位に海を占領され、何万人かの米兵が上陸してきて
人海戦術でかかって来た。
洞窟から機関銃を撃つ日本兵は脅威でしたが、米軍は洞窟に火炎放射器を撃ち込み、
日本兵は生きたまま焼かれたのです。
その描写もちゃんとあります。
そして米兵はたった一人顔が分かる人物として、捕虜になったサムが重要な役を
演じています。
日本人衛生兵はなけなしのモルヒネをサムに投与します。
それでも死んでしまったサムが身につけていた母親からの手紙。
それは息子の無事を祈る愛情溢れる手紙で、読んだ日本兵はアメリカ人も日本人も、
母親が息子を思う情に少しも違いはない・・・そう思うのでした。
とてもクリントン監督は日本人に公平で優しいです。
翻って「父親たちの星条旗」はアメリカ軍・上層部の醜さを晒しているかのようです。
硫黄島の摺鉢山の頂上に若き米兵6人が立てた「硫黄島の星条旗」
この写真は新聞で報道されて、第二次世界大戦を象徴する有名な写真になりました。
そして米軍の広報官は旗を立てた3人の米兵を「軍事国債を庶民に売るキャンペーン」の、
広告塔にしたのです。
そして米軍の3人は騒ぎ立てる報道の過熱に翻弄されます。
しかし、息子が戦死した母親にとって、「硫黄島の星条旗」を掲げた一人が息子だった・・・その事実が母親にとって《支えになった》慰められた・・・
と聞くと、複雑な気持ちになりますね。
せめて息子は英雄だったと信じたい。
しかし、レイニーが別人を間違って報告して、さらに混迷してしまう。
この「父親たちの星条旗」は「勲章」「戦争の英雄」「勝利の旗を掲げた一枚の写真」
それらの裏側を描いていてアメリカ人には皮肉な映画なのではないでしょうか?
2作を観て、英雄と呼ばれても浮かばれない。
戦争に駆り立てられ戦死した若者たちが日米問わずに尊い命だったし、
イチ兵士にとって、「敵兵」は便宜的にそう呼ばれるだけで、なんの罪もない
「ただの若者」に過ぎなかった。
戦争の犠牲者はいつの時代も、罪なき兵士たち。
>私には「硫黄島からの手紙」の方が、クリントン・イーストウッド監督が、日本人のこの戦争を俯瞰からみて好意的に公平に描いているように思えました
→同感です。アメリカ人が作った映画なのにアメリカ贔屓という感じでも無く、違和感も無かったです。当時の資料を入念に調べて映画を製作したことが伺えて、好感が持てます。
琥珀糖さん
コメントを頂き有難うございます。
世界中の誰もが( 恐らくプーチンも。。 )早く戦争を終えたいと思っているでしょうね。
武器の供与…難しいところですが、ウクライナの多くの皆さんが、ロシアに屈したく無いと強く思っていらっしゃるようです。ドキュメンタリー等を見る限り、ですが。
何故、今も尚戦争をするのか、悲しい事ですが、琥珀糖さんが仰る通り、1日も早く戦争が終わる事を祈るばかりです。